北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【1503】Chateau Lacoste Garzac Bordeaux 2014

 
シャトー ラコスト ガルザック
 ※リンク先は現行ヴィンテージです
 
 ボルドーの安ワインには独特の哀愁というか、ブルゴーニュの安物には無い穏やかさがあって割と好き。しかも安くて見向きもされていない。で、こいつは以前に2012年を飲んだ時に結構おいしかった、シャトー・ラコスト・ガルザック。
 
 まず見た目。思った以上に不透明なワインレッド。黒っぽい。ボルドーってこんなだったっけか。で、香りは、小豆を煮たような香りと、少々のピーマン、今回はミントやインクっぽさは感じない。
 
 口に入れると、ピーマンっぽさを帯びた果実味がぐわっと広がった。想定していたよりも果実味と酸味が濃い。でも、上顎部に広がる煙突風味は、いかにもな感じ。ピーマンと溶け合っているようでなかなかに良い感じ。安ボルドーらしい、するすると入っていく感覚は健在で、甘味は控え目、呑兵衛が普段飲むなら、これぐらいスルっとしていて圧迫感の少ないワインのほうが気楽だ。デイリーとして飲むぶんには良いように思った。
 
 ※翌日もあまり姿が変わらず、疲れた身体によくしみる。難しいところがなくてありがたい。このワイン、もう売り切れてしまったけれども、見かけたらまた買おう。新世界系の赤ワインにはない良さがあると思う。
 

【1502】Pala Vermentino di Sardegna "i Fiori" 2015

 
ヴェルメンティーノ ディ サルデーニャ パーラ
 
 安くて美味いイタリア白ワインの産地のひとつ、サルディニアの、知らないメーカーに手を出してみた。品種はヴェルメンティーノなのでわりと馴染みがあるので、比較するにはちょうど良さそう。
 
 まず見た目。まずまず普通の白ワイン色をしていて濃くも薄くもなく。香りは、ライム系台所洗剤を連想するような、爽やかで揮発性のある香りがツーンと来る。ちょっと揮発性のある香りでもある。
 
 口をつけると、苦みを少し帯びた、微妙にリースリングに近い雰囲気。ちょっと高めの温度だからかもだけど、いつものサルディニア産ヴェルメンティーノに比べると甘味が強くて酸味ゴリゴリ系とは感じない。ただ、二口、三口と飲み進めると、石灰岩のような風味が露わになって同族感がある。それでも妙に飲み心地に張りがあり、ハチミツめいた甘味がついて回っているので、予想外にリッチな雰囲気を湛えている。酸味ゴリゴリを期待していたのでちょっとびっくりしたけど、一般論としては、これは良いことなんだろう。
 
 ※翌日も、酸味と甘みと苦みと適度な豊満さで、とてもバランスの良い、けれどもヴェルメンティーノらしさを損ねるほどでもない、とても良いワインだった。ピーキーなヴェルメンティーノは嫌だ!という人にはすごくオススメ。コスパにも優れたワインだと思う。サルディニアはこれだからやめられない。
 

【1501】Domaine Michel Lafarge Bourgogne Passetoutgrain "l’Exception" 2012

 

 
 
 朝の段階では久しぶりにブルゴーニュのまじめな一級を飲もうと思っていたけれども、喉が少し痛いので鼻が利かないかもと思い、格下げしてパストゥグランにした。これなら飲みやすくて元気が出るでしょう。メーカーは、ヴォルネ村のお気に入り、ミシェル・ラファルジュ。
 
 まず見た目。オレンジ色がかっていて、ものっすごく薄い。ヴォルネのメーカーが作っているせいか、すっごくヴォルネっぽい((でも、このラファルジュのつくるヴォルネのワイン自体は、ヴォルネにしては濃いほうだと思うけれども))。香りは、甘酸っぱいベリー系のやつと、和菓子系のようなほっこりとした粉っぽい甘い香りもする。
 
 口をつけると、甘酸っぱさが炸裂。さっぱりとした飲み心地でタンニンはかなり少ない。口当たりが柔らかくてスルスルと入っていく。ちょっとアセロラっぽく、軽々としている。軽々としているんだけど、ちょっと引っかかりどころがなさすぎる第一印象。その後も、内実がこみ上げてこないというか、2012年の平格ブルゴーニュの良くないところを彷彿とさせるところがあって合格点がつけられない。ラファルジュですら2012年が駄目ってことなのか、ラファルジュに限って駄目なのか、このボトルがたまたま駄目なのか。でも、今まで呑んできた印象と総合すると、2012年はやっぱりアレなんじゃないか。手元にもう少し2012年のボトルがあるので、もうちょっとだけ調べて、音沙汰なければもうやめよう。
 
 ※二日目。少しだけ、華やかなミルクチョコレート系の風味を帯びるようになったけれども基調は変わらない。残念。
 

ワインの記録が1500回を超えた

 

 
 ワインの記録もこれで1500回。ちょっと飽きた、というと語弊があるけれども、「凄いワイン」を気合入れて飲む根性がだいぶ廃れて、「貯蔵エリアに転がしておけばまあいいや」的な気持ちになってきた。
 
 「世の中には凄いワインがたくさん存在する」。もう、そんなことは十分にわかっている。じゃあ、これより高みを目指しますか、そのためにウン十万円も積み上げますかと言われると、ちょっと怯んでしまう。ワインの道に「コスパ」という概念はすこぶる相性が悪いけれども、美食家でもあるまいに、これまでに経験した以上の超絶体験を求めてバクチを撃ち続けるのはどんなものなんだろうか。既知の十分に素晴らしいワイン達とそのストック、それと普段飲みには十分に耐えられる低価格帯~中価格帯のワイン達で、それで十分なんじゃないか。
 
 まだ、ワインのフロンティアは沢山あって、例えばシャブリの特級、例えばボルドーのあれこれには興味あるけれども、あまり無理はせず、のんびりやっていきましょう、みたいな気持ちになってしまった。現在のブルゴーニュとイタリア中心のワインライフでも、なんにも困っていないのだ。困っていないことに、困っている。
 

【1500】Louis Latour Corton-Charlemagne Grand Cru 2005

 
ルイ・ラトゥール コルトンシャルルマーニュ 2006
 ※リンク先はヴィンテージが異なります
 
 まず見た目。すごく黄色い、というよりオレンジ色がかった色で輝いている。香りを確かめると、第一印象は「石」。すごい石の香りだ!蜂蜜みたいなフレーバーは控え目で、石と、寒い地方のシャルドネにありそうな清々しい香りが漂ってくる。あと、少しローソク。
 
 口に入れてみると、ここにはバッチリ蜂蜜が存在していて、ほんの少しアンズっぽさも伴っている。ムルソーほどじゃないけど、リッチな果実味も伴っていて、余韻の広がりが素晴らしい。ミネラルな構造性もカチカチとしていて、このあたりは上級シャブリの骨太さに相通じるところがある。
 
 二杯目。アンズとキノコがもうもうと立ち込めて、今度は酸がキリリとしているような。これは楽しい!さすが特級、表情が豊かで、どれも印象深い。そしてコントレックスのようにミネラルがきつい。さらに飲み進めると、蜜蝋が物凄い勢いでグワーっとこみ上げてきたりもする。かと思えば、やけに乳酸めいた、ヤクルトのような甘味がこみあげてくることも。
 
 以前のシュヴァリエ・モンラッシェに比べるとキメが荒いとは感じるけれども、そんなのは些末な問題、なるほど、たいしたワインでした。これが特級とみなされることになんの違和感もありません。
 

【1499】Torrevento "Bolonero" Castel del Monte Rosso 2012

 
ボーロネーロ カステル・デル・モンテ ロッソ
 
まず見た目。そこそこ明るい赤ワイン色をしていて、普通な感じがする。香りは、ほっこりとした和菓子風の甘味と粉っぽさを予感させるものがあり、そこに梅系線香の香りが混じる。イタリア中南部の赤ワインの酸っぱそうな雰囲気と、イタリアワインにありがちなおおらかさ、どっちもありそう。
 
 口をつけてみると、意外とバランスの良い果実味中心の構成。タンニンは柔らかく、苦みもほどほど、少しトマトのような野菜っぽいエキスもあって、気楽な雰囲気が漂っている。こういうのはランチにつけたらうまそうだなぁとかちょっと思う。明るく快活でさっぱりとしたワイン。とやかく言いながら飲むものではなさそう。
 
 ※翌日。良くも悪くもテーブルワインっぽさ全開。トマトっぽい野菜系エキスは健在で、このあたりが、野菜たっぷりの食事には良い印象をもたらすのかも。悪くないけど、単体ではあまり冴えないワインじゃないかと思った。ガンベロロッソでグラス×3ってのが信じられないけど、イタリアワインらしいといえばいえる。こういうワインは新世界にはほとんど無いわけで。