シャトー・イガイタカハ・クロスド・ウイング・シャルドネ2013
近くのワイン屋さんで「ムルソーっぽいワインください、でも、オーボンクリマは無し」と言ったら、お勧めされたのがこちら。日本っぽいデザインのほどこされたカリフォルニアのシャルドネ。どんな感じでしょうか。
まず見た目。かなり黄色っぽくて、なるほどムルソーという感じがする。「山吹色の白ワイン」と言ったらこれでしょう。香りは、すごくクッキーっぽくて、少し湿った、憂いを帯びたような調子がある。その後ろから、台所洗剤系のさわやかなフレーバー、シャルドネ本来というか、シャブリに相通じるような清々しいグリーン系の香りが吹き込んでくる。おお、「オーボンクリマは無し」と言うニュアンスが店長に伝わっていたんだろうか。
口をつけてみると、まずリッチなバターとクッキーが来る。リッチだ!ところが、そこから爽やかな北方のシャルドネの風味がこみ上げてきて、リッチなバターとクッキーの風味を下支えしてくれる。いや、うまい、ついついグラスが進んでしまう。これは、なかなか良いですね。
※翌日は、もう少し「塩っぽい」「クラッカーのような」風味を伴ってスタート。色調も、少し濃くなった気がする。相変わらずビスケットっぽくもあり、ナッツでもあり、豊かな果実味と、それを下支えする爽やかな酸味のバランスも良い。二日目だからか、アンズのニュアンスすら漂っている。価格を考えると非常に善戦しているし、かなりムルソーっぽい。ありがたや、ありがたや。
【1564】Marcel Lapierre Morgon 2015
モルゴン ラピエール
※リンク先はヴィンテージが異なります
このワインは、より上級の品と一緒に手に入れた、モルゴンのワイン。なんと蝋で封印されている(ただし実際は合成樹脂っぽい)。2015をあけるのは早飲みもいいところだけど、二日目に期待で様子見のために開けてみることにした。
まず、グラスに注いでみると、グラスの辺縁がさすがに少し青みがかっている。黒々としているけれども透明感がちゃんとある色合い。香りは、初手ではローヌの赤ワインにありそうな、バイオレット~カシスのようなトーンの高い香りと、ボジョレー系にあって欲しいほっこりとしたチープな匂いが融合した匂いが香り立ってきて、ぎょっとした。それとアルカリ土類金属、マグネシウムとかそのあたりを連想させる、土っぽい香りがどんどこ来る。
口に入れてみると、意外なほどなで肩、甘くて柔らかくてミルキー、でもって、やはり、アルカリ土類金属。凄いミネラルが豊富で、金属っぽい、というより軽金属っぽい風味が口のなかに響く。ただし、これはカルシウムではなく、それ以外の何かを思わせる。乾いた色の土が思い起こされる。
でもって、噛みしめるほど果実味が湧き出てきて、土の風味と一体となって大変おいしい。このおいしさは、アルジオラスのモニカのおいしさに通じているし、こういうワインは元気が出る。早く飲んでもこれだけ美味いってことは、明日はどんな姿になっているのやら。すごく楽しみだ。
※一日挟んで3日目。口当たりが円やかになっている。そして、森の匂いと抹茶の匂いを合わせたような、得も言われぬ、ワインとしては上等の部類に入りそうな香りがこみあげるようになってきた。蜜~ポートワインを連想させる、甘い雰囲気も伴っている。古タイヤの気配すら!
これらは、まったく想像もしていなかった。口当たりが円やかなのに、アルカリ土類金属系の鉱質風味はいまだ健在。考えさせられるボジョレーだ、これは「考えさせられるワイン」ですよ!
【1563】Mont Plaisir Viognier 2015
今日の夕食はカツオのたたきを中心としたさっぱりとしたもの。それでワインを連れたいと思って選んだのは、ヴァン・ド・ベイ規格の、いかにも安そうなフランス産のヴィオニエ。スクリューキャップのボトルに入っている。
まず、色。かなり黄色い。ヴィオニエって黄色いワインだったっけか? 香りは、蜜系の甘いやつと、スイカズラやスズランあたりを連想させる香りがぷーんと漂ってきてうまそう。ヴィオニエらしい。
口に入れると、スカッとした酸味で少し石灰系のミネラルがあるように感じられる。ヴィオニエらしいボディの豊満なワインで、そのせいで、酸味があるとはいえ、ワインの真ん中に空洞があるような感覚は否めない。けれども、こいつは石灰風味のおかげで善戦している。ワインを一定以上冷やせば、さほど気になるほどではなく、蜜とふくらみとすがすがしい香りを堪能できる。
※二日目も、安ヴィオニエにありがちな空洞感にあまり悩まされることなく、さわやかに、それでいて風味たっぷりの良いテーブルワインでした。
【1562】Paul Beaudet Saint-Amour 2015
ポール・ボーデ サン タムール
このワインは、クリュ・ボジョレーのひとつサンタムールのもの。このサンタムールのワインはほとんど飲んだことがない。ヴィンテージが若いので、抜栓してしばらく放置してから飲み始めた。
まず、見た目。かなり不透明で、濃い色彩。あまり青色っぽいカラースペクトルは感じられない。グラスの表面がぴちぴちと空気に呼吸していて、とても元気そうにみえる。
香りは、初手からわけのわからない香りがする。ボジョレーっぽいチープな甘い香りは控え目で、梅系線香にパラフィンを大量にぶっこんで、玉葱エキスとジビエエキスを足したような、相当な香りがこみあげてくる。このワインはヴィンテージが若い。若いうちからこうなのは、一体どういうことだろう?
口に含んでみると、柔らかな口当たりで、香りに比べてマイルドで、ボジョレー・ガメイ系の風味のソフトタッチで飲み心地の良いところがしっかり来る。かと言ってペラペラには程遠く、飲むたびに手ごたえがある。軽いワインなんだけど、充実感があり、そういう飲み心地を飾るかのように、線香系の風味やチープなチェリーお菓子っぽい甘みが伴っている。かといってべったりと甘いのでなく、どこか風味に抑制が利いていると感じる。やるじゃないか。
※二日目は、昨日の香りに比べてだいぶマイルドになった。人前でインパクトがあるのは初日。一人でじっくり飲むなら二日目。二日目になって、初日はちょっと派手過ぎたんじゃないかという気がした。ワイン会のような場所では、そういう派手なワインのほうが人目を惹きそうなので、ボジョレーでびっくりさせるには良いワインだったのかもしれない。
【1561】Alpha Zeta "C" Chardonnay 2015
アルファ・ゼータ C シャルドネ
暑くなってきたので、いい加減な白ワインを飲んでやろうと思って選んだのは、アルファゼータのシャルドネ。安くて、でも、おいしいシンプルな品であって欲しい。さてどうでしょう。
まず、グラスに注いだ見た目は、少し白っぽい、本家ブルゴーニュでいえばマコンのような見た目。で、香りもマコンに似ていて清々しさを伴った蜜の香りがぷわーんと湧いて来る。価格を考えれば上等。
口に入れると、酸味のしっかりとしたシャルドネの味。ちょっと植物系のエキス感があるというか、苦みに茎っぽさがあるのが欠点といえば欠点だけど、この価格帯でそこをとやかく言うのは酷というもの。マコンの互換ワインとして、デイリーワインとして十分な出来栄えだと思う。飲んでスースーするワインだ、ありがたい。
※翌日。少しトマトのような風味が出てきて、繊細な北部のシャルドネっていうより、肉厚な南部のシャルドネといった雰囲気に。蜜と茎っぽさは変わらず、繊細な北部/肉厚な南部という違いはあれ、デイリーワインとしてはよくできている感じだった。アルファゼータ、良いメーカーだと思う。
【1560】Don Felix Vino Blanco (N.V.)
今日のご飯はカルボナーラ。これを作る過程で白ワインをあけなければならなくなったので、料理用ワインのこいつを少し失敬することにした。アルコール度数は10.5%、ここまで低い度数の白ワインは久しぶり。
グラスに注ぐと、少し緑色がかった薄い薄い白ワイン色。テーブルワインらしく、これはこれでいいのでは。香りは、ほんの少しだけヒヤシンスと台所洗剤の中間みたいな香りがほのかにする。
口をつけると、爽やかなワインかと思いきや、甘ったるいくどさが伴っている。冷蔵が足りないせいかもだけど、きつい。ただ甘いだけでなく、なんだか、いろいろ誤魔化している感じがする。そして妙に酒臭い。そのうえギスギスとした雰囲気も感じる。なんというか、γ-GTPが高くなりそうな。これはグラス一杯もいらないかも。やめておきます。