ヤルデン シャルドネ [2015] ゴラン・ハイツ・ワイナリー
このワインは、イスラエル産のシャルドネ。なんとなく目に留まったので買ってしまったもの。コテコテなんじゃないかと予想しつつ抜栓。
まず、グラスに注いでみると、かなり山吹色側に傾いた黄色っぽい色をしている。なかなか生意気な面構えをしている。で、香りを確かめると、白桃と台所用洗剤の香りがどっかんと来て、その後に、もうちょっと黄色っぽい果物の香りと、蜂蜜っぽさがやってきた。あとはあれだ、フルーツポンチの液体の匂い、ああいう甘い匂いが漂ってくる。
口にしてみると、まさにフルーツポンチのような甘い味わいが口のなかに炸裂、その後に、すこしゴワっとした酸味が口のなかに広がった。酸味にはある程度の苦みと僅かなえぐみがあるかもだけど、一番印象に残る点は、サルディニア産の白ワインにでもありそうな、スカッとしたニュアンスを伴っているところ。あと、百合やヒヤシンスを思わせる、妙にさっぱりしたところがあって、クッキーや蜂蜜やナッツもなくはないんだけど、ムルソーを真似た、というのとは雰囲気がだいぶ違う。
とはいえ、風味が豊かでバリエーションもなかなか、価格を考えればお買い得の部類に入るシャルドネではありそう。これは、また買うような気がする。
※二日目。苦みを帯びた強いミネラル、です。蜂蜜クッキーと、爽やか&ミネラルがせめぎ合っていて、とても飲み心地が良い。昨日も感じたけれども、サルディニアの、たとえばアルジオラスがシャルドネを作ったらきっとこんな感じになるんじゃないのかな、というような。これは意識しておこう。
【1570】Argiolas "Perdera" Monica di Sardegna 2013
アルジオラス ペルデーラ
このワインは、以前に飲んでおいしかった記憶のある、サルディニア産のワイン。抜栓してすぐから、翌日にかけて十分おいしいワインだったと記憶している。はたして今回も大丈夫か。
まず見た目は、透明度の低い、かなり暗い赤ワイン。香りは、初手では梅系お線香っぽかったけれど、すぐにおはぎや草餅のような、和風の甘い香りが混入してくる。その奥に梅ジャムみたいなニュアンスも。初手でこれだけ香りが来れば十分。
口に入れると、コクのあるしっかりとした口当たりの次に、梅ジャム~梅お線香じみた梅系の果実味が鼻腔をかけあがってきた。酸味はほどほどで、タンニンはそれなりあるけれども口当たりが良く、バサバサ感は気にならない。
で、今回は、フランス・ローヌ地方のジゴンダスや、イタリアはヴェネト州のアマローネもかくやというような、ギュッとした果実味がミルキーな口当たりを伴って立ち上がってきて、人をたぶらかすような甘さを伴ってもいる。それでいて堕落するほどでもなく、思ったよりも品が良い。やはり狙い目か。
※翌日になると、香りの集中力が一層高まって、お香を炊いているかのように突き抜ける香りになってきた。エキゾチック!良かったです。
【1569】Louis Latour Bourgogne Chardonnay "Cuvee Latour" 2015
ルイ・ラトゥール ブルゴーニュ キュヴェ・ラトゥール ブラン [2014]
※リンク先はヴィンテージが異なります
色は、あまり黄色っぽくない、平角ブルゴーニュとしてはよくありそうなもの。香りは、ツーンと爽やかな香りが中心で、蜜っぽさはあまりない。
口に入れると、くせの少ない、なで肩のシャルドネ。苦みや酸味はしっかりあるけれども、肩をいからせるようなところがなくて、軽いところでバランス良くまとまっている。ルフレーヴのつくったマコンなんかと比べても、いっそう爽やか系・スレンダー系だけど、そこに割り切ることでシャープな飲み味でとても良い。たとえばアルファ・ゼータの割とおいしいシャルドネに比べると、このワインのほうが生命力の発露はみられず風味も弱いんだけど、生命力や風味を抑えて品の良いところでまとめているのはこちらだと思う(で、新世界の同価格帯シャルドネの多くは、アルファ・ゼータよりも更に生命力や風味の強い領域にいるとも思う)。そりゃあ偉大なワインには遠いけれども、普段呑みはこれぐらい軽いほうが望ましいし、雑味も感じられず、終始良い感じだった。
※二日目も、とても軽やかでさわやか、少し苦みが増したかな? 程度。おいしかったです。
【1568】Marcel Lapierre Raisins Gaulois 2016
ラピエール レザン・ゴーロワ 2016
このワインは、先日とても良くて来たモルゴンに遭遇してびっくりした、ラピエールが作っている格下のがぶ飲みワイン。とはいっても、全部の葡萄をモルゴンの区画から摘んでいるというので、どこか、モルゴンらしさのあるがぶ飲みワインであって欲しいところ。少し冷やしてから飲むことにした。
まず見た目。明るい!そしてショッキングピンクみたいな、異様に明るい色彩を帯びていて、蛍光塗料でも混じっているんじゃないかと思うような、明るい色合いをしている。香りは、すごく粘土臭い。嫁さんは「このワインは納豆臭い」と言っていたけれども、ただの土とか、いつもの森の下草とか、そういう比喩ではなく、もっと臭くて独特な、凄い匂いを宿している。
口に含んでみると、そんなに濃くないアタック、でも滋養たっぷり、こってりとした口当たりで、タンニンは非常に柔らかく、果実味がじわじわと口のなかにこみあげてきて、後味の段になると「うめえなあ……」としか言いようがない。
※二日目も、初手では納豆のような臭みが感じられた。これがこのワインの弱点なのか。ただ、そこを通り過ぎれば円やかな口当たりで元気の出そうな滋養たっぷりなボジョレー-ガメイ系のワイン。スミレのような香り(ただし、イタリアのキアンティ系のそれとは系統が違う、語彙力が欲しい)もたっぷりとしていて満足感がある。たいへんおいしくいただけた。
【1567】Marcel Servin Chablis Grand Cru Les CLos 2013
このワインは、よく通っているワイン屋さんで「シャブリの特級を飲むだけの甲斐性が無い」って話をしたら勧められたシャブリの特級。「2013年モノで、信じにくいかもしれませんが、今が飲み頃です」とお勧めされ、半信半疑で買ってみたもの。
まず、色。シャルドネとしては標準的で、さりとて平格ブルゴーニュ白ほどは薄くない黄色っぽい色。普通だと思う。
香りを確かめると、蜂蜜の匂い、というよりソーテルヌに近い、熟れた南国の果物のようなニュアンスが漂っている。シャルドネなのに、本当にソーテルヌのような香りがする!あるいは、枇杷の匂い。ソーヴィニオン・ブランにもどこか似ている。たまげた!
口に入れてみると、レモネードのようなソフトタッチ酸味で、アタックは柔らか。ところが、そこから沸き立ってくるミネラルはどうだ!圧倒的なミネラルがこのワインの骨格の異様な太さを構成していて、これが、ソフトタッチな酸味を押しのけて骨っぽいミネラルをゴロリと形作っている。香りはソーテルヌに似ているところがあるのに、甘さ控えめにしてミネラル超絶骨太、そして、海の塩で作った食塩のニュアンスすらある。味わいは、先日のルイ・ラトゥールのコルトンシャルルマーニュに似ているところもあるけれど、あちらよりも禁欲的、謹厳な感じがする。
ところが、抜栓から8時間後あたりから、急激に果実味が、それも、よくできた非-主流の柑橘類を噛みしめるような強烈な果実味(ただし、いつも飲んでいるシャルドネとはかけ離れた)を伴うようになってきた。すだちやユズと言いたくなるが、それにしては充実感があって、シュナン・ブランにも似た変な癖がある。で、鉱質風味は相変わらず。これは、へんてこなワインだ!へんてこだけど、シャブリとは元来のシャルドネの性質を持っている、という。だとしたらシャルドネって一体どういった可能性を秘めた品種なんだろう?ただ、このワインは余所の高級系シャルドネなんかに比べると、打ち解けず、偏屈で、変人的で、もしシャブリの上級バージョンがこういう性質だとしたら、高値がつかないのはしようがないと思った。