北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【1646】Canaja Gold Rosso Verona 2010

 
カナヤ セレツィオーネ ゴールド ロッソ ヴェロネーゼ 2010
 
 このワインは、だいたいアマローネなワインをヴェローナ近郊で作っているメーカーのもの。ヴィンテージが古いものがみつかったので挑戦してみることにした。
 
 まず見た目。暗くて赤い、いかにもアマローネ系の濃いワインレッド。透明度は低めで、ねばついている。香りは、イタリアワインにありがちな軟膏系の匂いと、カカオのたくさんなチョコレートの匂いがする。すごく濃い。
 
 口に運ぶと、じゅくじゅくジャムっぽい果実味がこみあげてくる。初手は苦味やチョコレートよりも果実が優勢で、そこにコーヒーみたいなこくを伴っている。これはこれで旨味のあるワインではあるけれども、アマローネのコピーとしてはちょっと方向性が違う気はする。飲み進めても、あまり奥深さや変化がみられるでもなく、まあ、果実味もあるしジャムもあるしだけど底が浅いし変化も乏しい。決してまずいワインではないけれども特筆するほどアマローネに迫っているとも感じなかった。
 
 ※二日目もあまり姿が変わらない。頑丈なワインではある。
 
 

【1645】Golan Heights Winery "Yarden" Galilee-Galilaa Chardonnay 2015

 
ゴランハイツワイナリー ヤルデン シャルドネ
 
 このワインは、つい先日もあまりの美味さに大喜びしたイスラエル産の白ワイン。お手頃でおいしいので複数本買っていたので、今回また飲んでみることにした。
 
 まず香り。今日は、フルーツポンチと夕張メロンといったシャルドネのなかでもリッチでちょっと南国っぽいフレーバーが初手で来る。クッキーや蜂蜜はその後から追いかけてくる展開。見た目は、あいかわらず黄金色っぽくて、まるでムルソーのようだ。立派な色をしている。
 
 口に言えると、まさにフルーツポンチと夕張メロンと蜂蜜。くつろいだ味で、リッチそのもの。それでいて、酸の気持ち良さを見失うことはない。ときに、石灰岩のような荒々しさを伴うのも似つかわしく、相変わらず面白いワインだ。素晴らしいワインだった。
 
 ※二日目は、夕張メロンのような風味が前景に出て、ちょっと新世界シャルドネ風ではあるけれども満足できる出来。酸と果実味がしっかりしているので、夕張メロンが迫ってきても空虚さを伴っていないのは美点。ブルゴーニュの一級や(ソゼとか、ルフレーヴのつくった)最高級の平格シャルドネのような酸のきめ細かさは無いとしても、総合力とコストパフォーマンスを考えれば十分にお買い得。完成度が高すぎる。
 

【1644】Comtes Lafon Volnay Santenots du Milieu 2013

 
ヴォルネイ プルミエ・クリュ サントノ・デュ・ミリュー [2013] 
 
 このワインは、コント・ラフォンが作っているヴォルネ(ただしサントノ)の赤ワイン。ヴォルネファンとしては捨て置けない名品だし、それでいて価格的にも何とか手に入らないことがないギリギリの水準。でもって、このボトルは市場価格の約半分の値段で叩き売られていたので、「わけあり」を承知のうえで購入してみた。
 
 まず抜栓時にちょっと驚く。なんと、コルクが屑コルクだ!コント・ラフォンの印字はされているし長いコルクでもあるけれども、屑コルクは屑コルク。コルクの上に張られたコント・ラフォンのシールは本物っぽくみえるけれども、こいつは大丈夫なのか?
 
 グラスに注ぐと、他の赤ワイン品種に比べれば明るく薄い、ピノ・ノワールらしい色彩。けれどもヴォルネ産のピノ・ノワールにしては暗いほうだと思う。香りは、初手ではミルクチョコレートが少し弱く匂う程度で、その後から、以前、ヴォルネサントノで感じた香木系の香りが厳かに立ち上がってきた。甘い煮豆やジャムの要素も。香りの押しは正直あまりしっかりしていないけれども、バリエーションはかなり豊か。
 
 口をつけると、ゆったりとした口当たりでお出迎え。ミルキーでこってりしたスタートが、数秒後には凝縮果実系、さらに苦みと適度なタンニンを伴ったしっかりとした口当たりに辿り着く。ほんのりベーコンのような風味もある気がする。若干苦みが強いかもしれないし、若干香りのパワーが弱いかもだけど、風味のバリエーションと迸る生命力からは、コント・ラフォンをほうふつとさせるものがある。もし偽物だとしても、よほど巧くつくられた偽物か。たぶん、本物だけど少し悪い環境に曝されて捨て値で流通していたとか、そういうのじゃないだろうか。定価で買っていたら憤慨していたかもしれないけれども、入手価格にみあった程度のワインなのは間違いない。
 
 そうこうするうちに、果実味と香木っぽさが猛烈な勢いになってきて、ほんの少しスパイシーな風味も帯びるようになった。つくづく魅せてくれるワインだ。
 
 ※二日目は酸味が勝ってしまってバランスのとれたワインとは言えなくなってしまった。やはり、ちょっと弱っていたんじゃあるまいか。それでも、酸が勝っているがために鉄っぽい迫力みたいなものを伴うようにもなった。そして香木っぽさやこってりとした味わいは健在。
 

【1643】Valdivieso Extra Brut (N.V.)

 
バルディビエソ バルディビエソ エクストラ ブリュットNV
 
 まず色合い。シャンパーニュとしては薄めだけどスパークリングワインとしては標準的。いくらかシトラス&青りんごの風味がある。泡モノの常として、あまり風味は強くない。
 
 口をつけると、とにかく軽いシトラスと酸味。スパークリングワインとして標準的な風味ながら、重いところがなく、まるでイタリアのスプマンテを思わせるような軽さがある。バルディビエソの「エクストラ ブリュット」でこれだとしたら、もっと軽い平格は(もし存在するとして)一体どんなに軽いんだろうか。とはいえ、このクラスのワインに変に重厚さや複雑さを求めてもロクなことがないので、これはこれで割り切った構成なんじゃないかとも思った。
 

【1642】Domaine de la Mordoree Lirac 2014

 
リラック・ルージュ レーヌ・デ・ボワ [2014] (ドメーヌ・ド・ラ・モルドレ)
 
 このワインは、ローヌのなかでも全然縁のなかった「リラック」というエリアの品。果たしてどんなものなのやら。
 
 まず見た目。黒々とした濃いワインながら、いくらか青色がかっているところがあり、若いワインに見える。粘りがあっていわゆるワインのあしが長い。匂いは、ちょっときつい香料系列の風味があるけれども目立たない。
 
 口に含んでみると、香料系、線香系の風味がたっぷりと広がっている。ただ、このワインには、同じローヌでもジゴンダスなどに比べて白ワインのような爽やかさが伴っていて、そのせいか、シュナン・ブランでも混ぜてあるんじゃないかと思ってしまう。もちろん、ワインのラベルをみると白ワインの品種は含まれてなくて、なぜ、こんなに白ワインっぽい赤ワインなのか不思議な感じがする。それでいて、舌触りはこってりしていてローヌらしさもあるといえばある。なかなか一筋縄ではいかない。
 
 ※翌日は、果実味、苦味、甘味、酸味、すべての面でスケールアップ。爽やかさはあるも赤ワインにあって欲しいものはだいたいある。それと、ざらざらした口当たりとミルキーな口当たりが両立していてなかなか飲み応えがある。
 

 

【1641】Sella e Mosca Vermentino di Sardegna 2016

 
セッラ・エ・モスカ ヴェルメンティーノ ディ サルディニア
 ※リンク先は現行ヴィンテージです
 
 見た目は、この品種にしては濃い目の黄色、というか若干黄緑色で蛍光っぽい色彩にもみえる。香りはほんのり花束の香りに石灰岩。このメーカーのヴェルメンティーノらしい、ごわっとした匂いがする。
 
 口に含むと、まさに石灰、というかスカッシュ!な荒々しい石灰系の風味が口に広がって、まるである種の炭酸水のよう。白ワインの風味としては、レモンのような酸っぱさに、案外と蜜の甘みが伴っていて喜びがある。良くも悪くも炭酸のごときゴワっとした酸味があるので荒々しい味にまとまっていて、お上品な白ワインとは言い難いけれども、価格帯も飲む目的もそんなお上品なものではないので、これはこれでいいと思う。
 
 ※二日目は相対的に丸くなったと感じられる。炭酸から微炭酸になったとでもいうような。シーフードとは良い相性。旨かった。