北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【1655】Etienne Rodier Bourgogne Pinot Noir 2014

 
[2014] ブルゴーニュ ピノ ノワール ヴィエイユ ヴィーニュ エレーヴ アン フュ ド シェーヌ
 
 夕食に、なんか軽いワインでも当てようかなと思った時、そういえば安いブルゴーニュの平格赤が買ってあったっけと思い出してあけてみた。豚の生姜焼きやポテトハムサラダがメインの夕ご飯に。
 
 まず色。ちょっと朱色がかった薄めのワインレッドで、平格ブルゴーニュらしい姿。平格は、へんに濃かったりするよりこれぐらいがいい。香りは、冴えないブルゴーニュ平格らしい、あんまりピンと来ない匂いだけ。なんとも安い平格らしい。
 
 口に入れると、酸味ほどほど、ニュニュっとした口当たりで、甘味も少ない禁欲的なもの。欲目の少ないワイン。ところが、こういうのって食事によく合う。夕食との相性は抜群、食卓で威張り散らすようなところは皆無で、普通の夕食と上手く付き合ってくれている。酸味が足りないってことはなくて、むしろちょうど良いぐらい。甘みや香りの強さが弱いところが、かえって食事の助けになっている気がする。実にしようもないワインだけど、サポート役に徹している感じがして好感が持てた。食後に余りを呑むと、単純に甘酸っぱくてこれも良い。現地の人が普段飲みで使うのってこういうワインじゃないかなぁと思った。
 
 ※こういうのは塩っぽいドイツパンに合うんじゃないかと思い、翌日あわせてみたら、やはり抜群だった。ブルゴーニュの一級や特級のような高貴なピノ・ノワールからはかけ離れているけれども、うんまい。うまい。こういう下っ端ワインの美味さの上部構造として、一級や特級、ぜいたくな作り手の平格を位置づけたい、とか思った。
 

【1654】Vina Belje Grasevina 2015

vinica.me
 
 このワインは、既においしいことがはっきりとわかっている、クロアチア産の白ワイン。国際品種で言えば、ソーヴィニオン・ブランに近い飲み心地だったと記憶している。スズキの刺身などと一緒にやってみることにした。
 
 まず色。薄くて少し緑色がかっている。とてもフレッシュなイメージを想起させる。香りは、黄桃の缶詰の汁みたいな甘いやつと、いくらか植物の茎やヨモギを思わせるやつが来る。かといって、一部のソーヴィニオン・ブランにあるような、変な灰汁の強さは感じられない。
 
 口をつけると、黄桃+すごく酸っぱい風味が炸裂。この酸っぱさはレモン系っていうより、やはり植物の茎~ヨモギといった、ハーブっぽい雰囲気の酸味。すごくふくらみと潤いがあって後味はかなり爽やか。よだれが出てくるワインだ。スズキの刺身や、その他の適当な料理を相手に、適当に付き合ってくれている。。

【1653】Domaine Marquis d'Angerville Volnay Caillerets 2011

 
ドメーヌ・マルキ・ダンジェルヴィーユ / ヴォルネイ・カイユレ [2011]
 
 この十年ぐらいで、ブルゴーニュの赤ワインは信じられないほど値上がりして、このヴォルネ地区のワインですら例外ではなくなった。この、ダンジェルヴィーユさん家の一級畑は定点観測ワインとして購入し続けたかったけれども、価格や入手難易度などの理由から諦めてしまった。(以前の対戦記録は、2010とか2007など) こいつは最後の生き残りで、年はあまり冴えないっぽい2011。本来ならもっと寝かせて飲むべきものだろうけれど、このヴィンテージだからと言い訳して抜栓してしまった。
 
 まず色。すごく薄くて透明感満点の、朱色に近いワインレッド。「これぞヴォルネ!」というイメージどおりの、一部の濃いロゼワインに迫るような色の薄さ。香りは、初手からミルクチョコレートが目立ち、そこに森の下草、ローソクが加わるような。それほど悪くはないけれども突出しているでもない。
 
 口をつけると、ほんのりとした口当たりに、ミルキーな甘さと適度なコク、果実味は意外と中庸でアセロラなどは連想せず、黒果実と赤果実の中間ぐらいの風味。でもって、とにかく軽量級のワインで重さというものが「無い」。飲み心地にコクがあり、タンニンも意外としっとりしているんだけど、とにかく飲み心地が軽い。軽いからペラペラかといったら全くそんなことはなくて、飲み応えがあって、果実味の自己主張もしっかりしていて、とにかく気持ちの良い軽い場所で焦点を合わせてきている感じがする。2010の記録を読んで思い出すと、この2011のほうがはっきりと軽いところでピントが合っていて、自分の好みなテイストだと感じる。というか、早飲みを許すタイプなんだろうか?
 
 そうこうするうちに、ワインに精気が宿ってきた。ブルゴーニュのワイン広しといえども、この精気がビリビリ感じられるワインはそう多くない。そして、ダンジェルヴィーユのワインに心惹かれた一番の理由も、この精気だったのだった。ヴォルネには、他にもおいしいワインを作る家があるけれども、この精気はやっぱりダントツ。猫柳や桜の枝を引きちぎった時に枝から感じられるような、あの凄いやつがワインに宿っている。軽いはずのワインにドスの強さが宿ってきて、濃厚なジャムのような姿や、蜂蜜のような姿もみせてくる。軽いけれども恐ろしいパワーだ、オフヴィンテージなのに、なんだこれは! もう、夢中になって飲むしかない。そうか、この凄みにかつての自分は惚れ込んでいたのかと思い出せた。こんなに凄いドメーヌだったっけか。うーん、また買いたいけれども価格が……。
 
 

【1652】Rivata Barbaresco 2013

 
リヴァータ バルバレスコ
 
 このワインは、日本で出回っているバルバレスコとしてはたぶん一番お手頃な品のはず。これを飲む機会がたまたまあったのでやってみることにした。近く、まずまずのバローロバルバレスコと同系)を飲んでみる予定なので予習がてら。
 
 まず見た目。淡い朱色のワインで、まるで少し年を取ったピノ・ノワールのよう。バルバレスコってば、こんなに薄い色だったっけ?と驚くような。香りは赤系果実の匂いがする。アセロラやザクロといった系列を思わせるような。それと漆喰、腐った肉。そのあたりがグラスのなかでくぐもった声をあげている。
 
 口をつけると、バターっぽい飲み口で驚いた。バターのような口当たりが長く残り、そこにアセロラ系が追従するような。酸味が舌の真ん中を滑り落ちていくけれども、口腔内のほかの場所にあまり酸が感じられない。バローロ-バルバレスコ系としては不思議な感じがするけれど、飲みやすいワインではある。
 
 

【1651】Poilvert Jacques Champagne Brut (N.V)

 
ポワルヴェール ジャック
 
 このワインは、ヴェリタスがしばしば商っている激安シャンパン。以前にも飲んだことがあったようで、その時は、シャンパンというよりスパークリングワインと言いたくなるような雰囲気だった模様。
 
 まず色。ちょっとオレンジ色っぽい色彩。ロゼってほどじゃないけれども、黒色系の葡萄がいっぱい使われているんじゃないかと思いたくなる。香りは、焼きリンゴ系の匂いが漂っていて色彩にお似合いな感じ。
 
 口をつけると、トーストのような雰囲気に、焼きリンゴと青リンゴのミックスみたいな甘くて酸っぱくてリッチな風味がぶわっと来た。こりゃあ美味い。苦みとコクをある程度伴っていて飲み応えがある。総じて、よくできた未知のリンゴ菓子を飲んでいるような感覚がある。典型的なシャンパンとは少し違うかも。そんなに悪くはないけれども、お買い得というほど突出しているわけでもないような。
 
 


 

【1650】Domaine des Lises "Equinoxe" Crozes-Hermitage 2016

 
クローズ・エルミタージュ・エキノックス[2016]ドメーヌ・デ・リセ(赤ワイン)
 
 しばらく風邪がひどかったのでワインご無沙汰していました。治ったところなので元気の出そうなワインを、ちょびちょびいただきましょう。
 
 黒々としたローヌの赤ワイン。ぎりぎり透明感があるぐらいの色調。香りは、初手で「ベーコン」。このエルミタージュのワインって肉系の匂いがすること多いけれども、こいつはやけにベーコンしている。しっかり嗅ぎ取って、深い葡萄の香りがやってきた。
 
 口に運ぶと、苦みを基調とした背筋の高いワインに、ジャムのような甘さ、マホガニーの家具のような匂い、それからベーコンなどが乗っかっているような。口当たりはシルクのように滑らかで、タンニンはしっかりしているのにゴワついた感じがしない。正直、このエルミタージュという区画のワインは苦手なんだけど、こいつはとても気軽に呑める。それでいて、香木系の家具みたいな香りがしっかりしているのはエルミタージュらしくて好感がある。うん、うん、こういうのいいですね。
 
 ※翌日も、香木系の家具みたいな香りがしっかりしていて「らしい」感じ。酸味が険しくなることもタンニンがビリビリすることもなく、バランスの良い帯域で、意外と寛がせてくれる。これならリピート買いしたいところ。
 
 ※三日目。相変わらずバランスが良い。香りや味が良いだけでなく、品の良さを伴っている。バッチリ。