北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【1672】Cantina Santa Maria la Palma "Aragosta" Frizzante (N.V.)

 
アラゴスタ フリツァンテ NV
  
 今日の夕食は、秋刀魚を中心にしたさっぱりワインが欲しくなるようなもの。味わうようなワインでなく、秋刀魚のオマケになるような品として、イタリアはサルディニア産の微発泡ワインを選ぶことにした。
 
 まず見た目。わずかにグリーンがかった薄めのカラー。泡は細かく少ないうえに、グラスにやけに大粒の泡がくっついている。このあたり、普通のスパークリングワインではなく、微発泡ワインという感じだ。香りはほとんどない。
 
 口に入れると、ちょっと苦みの利いた爽やかな味。ただし、サルディニアのヴェルメンティーノにしては酸味や石灰風味が乏しく、踏み込んでくるところがない。シュワシュワとした口当たりとテキトーな風味で、適当に呑むようなワインだ。でも、秋刀魚のお供としては十分ではある。夏に、適当な魚料理とやるにはよさそうなワインではある。ワインそのものに期待するようなタイプではない。
 

【1671】Argiolas Perdera Monica di Sardegna 2014

ペルデーラ 2015 アルジオラス
 ※リンク先はヴィンテージが異なります
 
 このワインは、以前から価格に比べて内実がしっかりしていると感じる、サルディニア島のワインメーカー・アルジオラスがつくるベーシックワイン。土着品種モニカでつくられたこいつは疲れた日にも旨かったはず。以前に呑んだ時はとても良かったと思う。豚肉炒めやグリルチキンあたりとやってみましょう。
 
 まず見た目。少し赤茶色っぽさあって不透明なワインレッド。黒々としていて底があまり見通せないような。香りは、初手では梅っぽさがツーンと来た後に、お線香・香料系の匂いがふわーんと。でもって、粘土みたいな土っぽさ、アルカリ土類金属っぽさ(やはりカルシウムを思わせる)をいくらか帯びている。
 
 口に入れてみると、やはりお線香・香料系のフレーバーが力強い。酸味も相当なもの。ただ、口当たりはソフトで穏やかな飲み心地なのは以前とかわらない。口のなかに、カルシウムっぽさを伴った土臭さが混じるのも良い。イコールではないけれども、どこかクリュ・ボジョレーを思わせるようなところがある(そういえば、以前もクリュ・ボジョレーを連想していたことを後で知ってびっくりした)。それでいて、同格クリュ・ボジョレーよりは安いわけだから、リピートしないわけにはいかない。やはり、隠れた名品。
 

【1670】Lanson Champagne Black Label Brut (N.V.)

 
ランソン ブラックラベル N.V.
 
 このランソンは、大手が手掛けるシャンパーニュとしては安く、その割に意外と硬派な味わいで好きなワイン。長らく入手できていなかったので随分と久しぶりの対面。グラスに注ぐと、薄い金色のシャンパーニュ色で、泡が盛んにこみあげてくる。香りは、奈良漬みたいなやつがフワッと匂ったところにメレンゲ・トースト系の香りが加わってくる。そう、この奈良漬みたいなやつが硬派って感じでランソン然としている気がする。
 
 口に入れると、やはり奈良漬っぽいフレーバーを口のなかに感じる。その後から、シトラス&青りんごな酸味と果実味が。奈良漬フレーバーに似つかわしいどっしりとした重量を伴ったシャンパーニュで飲み応えがある。かといって飲み飽きることなく、食べ物と一緒にやって邪魔になることもない。大手の造り手のシャンパンはどれもよくできているけれども、ランソンも例外ではなく、また機会があったら出会いたいなぁと思った。
 

【1669】Chateau de Fonsalette Cotes du Rhone Reserve 2000

 
シャトー・ド・フォンサレット コート・デュ・ローヌ
 ※リンク先はヴィンテージが異なります
 
 二本目は、ローヌの赤ワイン。こちらもメーカー自体は相当なもの。
 
 ブルゴーニュ赤の後に見ると、さすがに濃い。ただ、そんなに不透明かというとそうでもない感じ。香りは、ひとつ前のものに比べるとつっかかってくるようなところがある。香木系統ではあるけれども、ニスみたいな揮発臭を帯びた有機化合物系の臭いが加わっている。「昔の歯医者のような」という表現も似合っているように思える。
 
 で、口に入れてみるとやはり濃い。タンニン強く、果実味もまだ残っていて、なんだかヨードみたいな匂いが口のなかに残る。このヨードって感じが歯医者っぽいのかもしれない。で、飲み進めるにつれて果実味がジュクジュクとしたジャムっぽさ、あるいは口のなかにまとわりつくべたべたした粘りみたいなものを帯びるようになってきて、手応えならぬ口応えが力強くなってきた。こちらも熟成ワインの良さがよく出ているのだけど、ひとつ前に呑んだルロワの平格ブルゴーニュに比べるとワインの濃さがしっかりと残っていて、いかにも「らしい」姿だった。
 
 このワインとルロワの余韻は帰った後もかなり残って、歯磨きをする時に、ワインの残り香を思い出すことができた。ありがたいありがたい。
 

【1668】Maison Leroy Bourgogne Rouge 2003

 
メゾン ルロワ ブルゴーニュ 赤
 ※リンク先はヴィンテージが異なります
 
 続いて飲んでみたのは、ルロワが作っている平格の赤ワイン。平格とはいえ、15年の歳月を経ているし、2003年はわりかし丈夫なので楽しみにしてみた。
 
 まず色。あまり濃くない赤ワイン色で透明感が高い。このあたりは、平格のブルゴーニュ赤として矛盾しない。香りは、いきなり香木~腐った切り株系。挑みかかってくるようなにおいではない。果実やチョコレートが匂い立つっていうより、発酵して香木~腐った切り株系にシフトチェンジが完全に終わっているような。平格でもここまで匂うのか。
 
 口に運んでみると、とても軽いワイン。果実味はこの時点ではあまり感じられず、平格の時間が経ったワインとしては、いくらかタンニンが残っている。とはいえ、それほどの渋みでもない。舌のちょっと奥にワインを転がしてゆっくり飲むと、このワインの香りが長く口のなかに余韻として残る。さすがのルロワか、穏やかでつっかかってくるところが無い。円満なやつだ。
 
 飲み進めると、果実味がしっかりとしてきて驚かされた。まだ果実味が残っているのか!きれいに熟成したワインだけど元気さの片鱗が口に残る、なかなかのワインだった。決して派手なワインじゃあないけど、隙の少ない仕上がり。平格としてはやたらよくできていて、さすがルロワおばあさんのワインといったところ。
 

【1667】Frederic Mabileau Chenin du Puy 2011

 
Chenin du puy 2014 - Domaine Frédéric Mabileau - Saumur Blanc - Frédéric Mabileau
 
 このワインは、以前にも飲んだことがあるやつで、一年ちょっと経過した後に再対戦するもの。確か、やけに人懐こいシュナンブランだったはず。
 
 まず見た目が以前と違う気がする。以前は「適度に黄色」だったのに、今回は「山吹色」。見た目だけだとムルソーのような、こってりシャルドネじゃないかと思ってしまう。香りも、初手では缶詰のアンズ、蝋燭、ハチミツみたいな感じで、シュナンブランのイメージから乖離している。
 
 口に入れても、その印象は変わらず。むしろオーソドックスな熟成シャルドネなんじゃないかというような味わい。甘味がたくさんあって、夕張メロンやバターが後味に感じられることさえある。なんだこれは。熟成しまくったシュナンブランって、こんなに芳醇なものになっちゃうのかと驚かされた。全開も蜜っぽかったけれども、こいつは蜜が更に深く踏み込んできて、リッチな白ワインと言いたくなる方面のものだった。おいしいかって? そんなの言うまでもない。