北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【1697】Concha Y Toro Sunrise Cabernet Sauvignon 2016

 
コンチャイトロ サンライズ カベルネソーヴィニヨン
 ※リンク先は現行ヴィンテージです
 
 グラスに注いでみると、赤茶色で暗いワインレッド、普通の赤ワインってこんな色だよねというような。香りはあんこのような甘い匂いがもかもかとしていて、そこに杉やミントといった、この品種らしいフレーバーを伴っている。
 
 口に入れると、豊満な果実味にインクや墨汁のような味わいがぐわっと広がった。久しぶりのチリワインということもあってか、すごく大柄な味だと感じる。これ、糖度もめっちゃ高いんじゃないだろうか。まずまず美味いけれども、いささか単調なところは価格相応といったところか。
 
 ※二日目。まずくはないんだけど堅物。チリでつくられたカベルネソーヴィニオンとして全くおかしなところはないけれども、それ以上でもそれ以下でもなく朴念仁なワインという印象はある。
 

【1696】Cantina Santa Maria la Palma "Aragosta" Vermentino di Sardigna 2016

 
アラゴスタ フリツァンテ
  
 このワインは、サルディニア島でつくられた白ワイン。土着品種ヴェルメンティーノはだいたい当たりなので、安いやつを中心によく飲んでいる。これは、エビがラベルに描かれた覚えやすいやつ。
 
 まず見た目。すごく緑色がかったワインで、ちょっと気泡が混じっている。で、香りが抜栓直後からレモンスカッシュと石灰岩みたいな香りがどんどん吹き上げてきて、そこに台所洗剤が少々、といった感じ。すっぱくておいしそうだ。
 
 口に運ぶと、まさにスカッシュ!なしっかりとした酸味に、気泡にふさわしい、ちょっと炭酸っぽい味わいがする。石灰岩由来か、えらく鉱質風味が感じられてシャッキリする。シンプルなおいしさだけど、酸味が強いワインがお望みなら、こっちから入るのもアリだと思う。美味いし安いし癒されるし。
 
 ※ところが翌日になると酸味がグッと弱くなって、少しプリンスメロン風の風味が漂うワインに。こちらのほうが飲みやすいという人もいるかもだけど、個性は減ってしまった。初日に欲張ってしまいたかった。

【1695】Quinta do Noval 1937

 
キンタ・ド・ノヴァル ヴィンテージポート
 ※リンク先はヴィンテージが異なります
 
 一連の大宴会の〆に登場したのは、第二次世界大戦の前につくられたポートワイン。赤茶色の液体からは漆喰、セメダイン、すごく甘くて、一層わけのわからない、神妙な香料系の匂いが吹き上がってくる。ワインっていうより、鳩居堂で遭遇しそうな匂い。すごく甘いけれども、甘さを凌駕する香料の嵐に驚くほかない。シャトー・パプ・クレマン以来、とにかくおしよせる香料系のフレーバー。なんだろうね、これは。とりあえず自分が出会ったいかなるポートワインともかけ離れた一品だった。
 

【1694】Paul Jaboulet Hermitage La Chapelle 1978

 
エルミタージュ・ラ・シャペル ルージュ [1999] ポール・ジャブレ・エネ
 ※リンク先はヴィンテージが異なります
 
 さらに、ローヌ北部の古いワインの登場。色はごっつい黒々、すごく濃い。香りは、初手からビーフジャーキーが匂い立ち、「玉葱のような匂い」という話も。なるほど、確かにこのワインは玉葱っぽい。エルミタージュのワインって、多かれ少なかれ、こういう料理っぽい匂いがするけれども、こいつはとりわけビーフジャーキーやベーコンと玉葱を使った料理のような匂いがする。そこに、もの凄い量の謎めいた香料をぶっかけたような。ブルゴーニュの薫り高いワインは、しばしば香料が匂うけれども、こいつはもっとクセのある濃ゆい香料というか……なんと表現すればいいんだろう。
 
 で、口に運んでみると、これがやけに普通にエルミタージュしている。タンニンの主張も、シラー由来とおぼしき果実味も全然健在、だから「熟した」というより「まだ若い」という感覚がある。自宅で若い(そして安い)エルミタージュを開けている時に感じるのに近い感覚を伴っていて、こいつが40歳のワインとは到底思えない。このワイン、ここがゴールだとは全く思えない。さらなる発展の可能性があるように思われ、末恐ろしいとしか言いようが無い。
 

【1693】Chateau Pape Clement 1985

シャトー パプ・クレマン
 ※リンク先はヴィンテージが異なります
 
 さて、再びボルドーサンテミリオンの第一特別級と相まみえることになった。色合いは前回のトロロン・モンドよりも濃い。で、香りはこれもピーマンがぶわーんと香ってメルローいっぱいなワインという自己主張をしている。で、香りが面白くて「枝豆」がすごく香っている。豆系の匂いはボルドーのワインにはよくあるけれども、こいつは枝豆だ。それと関連してか、キンモクセイ系の匂いがもうもうとたちこめてきて、一層精気がはちきれんばかりという調子。なんだこれは。
 
 で、口に運んでみると、酸はあってもおおらかで、ふくよかさを伴ったワイン。ミルキーでシルキーな瞬間もあって、くつろがせてくれるところがある。香りは相変わらずぴちぴちとしていて、活き活きとした……というより生命体な感じすらある。ワイン、ことボルドーで、ここまで生命体なワインを感じたことは無い。これをまた飲みたいかと言われたら微妙なところだけど、総合力の高いワインなのは間違いないし、驚きを伴っていた。
 

【1692】Chateau Troplong Mondot 1988

 
シャトー トロロン モンド 2010
 
 で、サンテミリオン第一特別級のシャトー・トロロン・モンド、1988。凄いムルソーの後なのでちょっと霞むかもしれないけれども、ともかくやってみる。
 
 まず見た目。わりと赤茶色っぽい色彩。香りは初手からピーマンが飛び込んできて、そこに若干香料っぽさを伴っている。でもって、精気がある。(ブルゴーニュでいえば)ダンジェルヴィーユからしばしば感じるような精気。これはうれしい。
 
 口をつけると、まだまだタンニンがあって酸味もあるようなやつ。香料っぽさとピーマンっぽさが混じってか、石膏のような香りがすることもある。飲み進めるにつれて、口当たりの穏やかな雰囲気になってきて、メチャメチャ飛ばしているわけではないけれども、このワインなりに辻褄が合って端正な雰囲気になってきた。最初はピーマン飛ばしすぎと感じていたけれども、節度のあるところに落着してボルドー然とした気持ちになれた。