北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【1702】Golan Heights Winery Hermon 2016

 
ゴラン ハイツ ワイナリー ヘルモン 2017
 ※リンク先はヴィンテージが異なります
 
 このワインは、白ワインが異様においしいイスラエルのワイナリーのもの。赤ワインは期待していないながら、様子をみるために一番安いブレンドワインを買ってみた。
 
 見た目は不透明で暗い赤ワイン色。で、香りのほうはあんこと杉と線香と甘い香りで、ボルドー系のせぱーじゅって感じがする。それと香料系が僅かに混じっていてなかなか面白い。
 
 口に入れると、穏やかな飲み心地。ボルドーの多くの赤ワインよりも糖度が高いのか、甘さが口にひろがり、あんこの風味と相まって口が緩むような感じ。タンニンはあるけれども、それを上回るおおらかな風味。なおかつ、杉やインクのニュアンスもしっかり喉に流れ込んでくる。
 
 グラス2杯目ぐらいになると、果実味が強まって、まるで良いローヌのワインのような雰囲気を帯びるように。苦みやオリエンタルな香料気分もいや増して、展開のあるワインという風情になってきた。蜂蜜風味さえ帯びている。ボルドーの熟成ワインのコピーとはちょっと方向性が違うかもだけど、これはこれでバランスのとれた面白いワインではある。さすが、ゴランハイツワイナリー。残した半分の明日の様子も楽しみだ。
 
 ※翌日。少しメルローっぽいピーマンが漂うようになり、と同時に森の下草みたいな、ちょっと熟成路線にシフトした。昨日ほど甘味メインではない。これもこれで悪くはない。いいワインだった。
 

【1701】Cono Sur Organic Sauvignon Blanc 2016

コノスル ソーヴィニオンブラン ヴァラエタル
 
 コノ・スルのオーガニックは味が濃い感じがして得意ではないけれども、ソーヴィニオン・ブランという、割と尖って苦手な品種なら逆に良いんじゃないかと思って選んでみた。
 
 まず見た目。爽やかな白ワイン色で、ソーヴィニオン・ブランというより、安いブルゴーニュ白ワインやソアーヴェを思わせるような感じ。香りは品種のテンプレどおり、黄桃のような匂いとヨモギ団子のような甘くて薬草っぽい匂い、そこから畳のような匂いに変わってくる。
 
 口に入れると、畳の風味が口いっぱいに広がる。そこからピーマンが飛び出してきて、とても野菜野菜している。もっと甘くてトロピカルな「オーガニック」かと思いきや、初手では別の「オーガニック」が出てきてびっくりさせられた。それでも旧世界のソーヴィニオン・ブランに比べると肉厚で圧が強い。妙な表現だけど「重厚な、どっしりとしたソーヴィニオン・ブラン」だ。こんなのもあるのか。
 
 ※翌日になると、あの野菜っぽさが弱くなって旧世界のソーヴィニオン・ブランにぐっと近づいた。こっちのほうが食事には合わせやすそう。ただ、このワインの唯一無二の個性は退いた。良し悪し。
 

ワインの記録が1700回を超えた

 

 
 今更なんだけど、最近、「シャルドネって最強の白ワインじゃね?」とまではいかなくても「シャルドネの世界を巡っているだけで一生必要なんじゃね?」的な気持ちになることが多くなった。もちろん、リースリングの高級品とか、イタリアの土着白ワインにも心惹かれるのは変わらない。でも、シャルドネという品種の柔軟さ、節操のなさをもっと知りたいと思うようにもなった。
 
 本家ブルゴーニュシャルドネだけでも、さっぱりとした口当たりと爽やかな美味さでバランスを取った平格&マコン型、とにかくミネラルがあって細身のシャブリ型、ふっくらとして人をたぶらかすムルソー型があって、新世界のシャルドネだって、バター味の豊かなタイプ、フランスに近いバランスタイプがある。チリワインのシャルドネは完全に独立した世界のように感じるし、南仏やシチリアシャルドネはトロピカルで肉厚なやつが多い。で、イタリア中部~北部でつくられたシャルドネは、うまく言えないんだけど、フランス型のようでやっぱり違うような気がする。
 
 こんなに有名なぶどう品種だのに、こんなに表情が違うワインができあがるシャルドネは、なんてワイン初心者泣かせなんだろう。こいつのせいで、「ワインはとらえどころがない」って諦める人もいたりするんじゃないだろうか。さりとて、各地のシャルドネの典型をみんなが知るなんてこともなさそうだし。
 
 シャルドネは間違いなくおいしくて奥の深いワイン品種だけど、「俺が好きなシャルドネ」の個人差も大きそうな品種だ。「みんなで一番好きなシャルドネを持ち寄りましょう」会をやったら面白そう。自分なら……酸っぱくて清々しい匂いのするやつを持ち寄りたい。
 

【1700】Festivo Reale Tiara Spumante Demi-sec (N.V)

 
www.vivino.com
 
 このスプマンテボローニャの近くでつくられたものだそうで。品種は「トレッビアーノ・ルビコン」、トレッビアーノ系ってことは割とゆるい味なんじゃないかと想像される。ざっくりと飲んでみましょう。
 
 まず、グラスに注いだ見た目は、細かな泡がゆっくり立ち上り、スプマンテにしてはマシなほう。香りは、意外にもメレンゲのような匂いがふわっと鼻をよぎった。これもマシなほう。
 
 口に入れてみると、ほんのり甘味が漂うながら、酸味がこれまた意外にもある程度あって、飲めないほどひどくない。スプマンテらしい軽いつくりだけど、シャンパン以外のDemi-secにありがちな地獄生温い甘味感は乏しく、軽いところでさっぱりとした飲み口でまとめられている。苦みや重みがないのでカラッカラのワインだけど、スプマンテってそういうもので、へたにシャンパーニュや新世界のスパークリングワインのマネするよりはよほど良いように思う。これは、こういう飲み物。
 

【1699】Georges Lignier et Fils Morey-Saint-Denis Premier Cru Clos des Ormes 2013

 
ジョルジュ・リニエ モレ・サン・ドニ 一級 クロ・デ・ゾルム
 ※リンク先はヴィンテージが異なります
 
 グラスに注いでみると、赤茶けた、それでいて色の薄い、いかにもブルゴーニュのちょっと古い赤ワインでございという風采。香りは……アセロラっぽいやつとチョコレートが立ち上がってくるけれどもちょっと弱い。おまえ、それでも一級か。
 
 ところが口に入れる段になるとローソクが匂い立ち、味はこってり、それでいて重さを感じさせない構成。アセロラ&チョコを基調にしつつも、香しさがあってタンニンとの調和がすごい。チョコミルクとオーガニックな野菜ドリンク的な何かと少しばかりざらっとした舌触り。凄いワインではないとしても、なかなか美味い飲み物じゃないか。
 
 しばらく待つと、香料のかぐわしさが加わってきて、それでいてダレず、軽やかな姿を維持している。それと、果実味が熱を帯びてきて、蜂蜜も炸裂するようになってきた。このあたりは、コート・ド・ニュイのなかでは相対的に安物といえど、たいしたもの。それと、もしかすればこのボトル、飲み頃が迫っていたのかもしれない。一応半分を明日に残してターンエンド。
 
 ※翌日は、全般に小柄になってしまった感はある。蜂蜜が弱い、香料が弱い、などなど。初日で飲んでしまうべきだったのかも。

【1698】Cono Sur Reserva Especial Chardonnay 2016

 
コノスル エスペシアル シャルドネ
 ※リンク先は現行ヴィンテージです
 
 コノ・スルは安くてまずまずおいしいチリワインだけど、そのなかではシャルドネは苦手な部類。なので無印を買うのがちょっと怖い。なので、とりあえず一個格上のリゼルバクラスを久しぶりに飲んでみることにした。イタリアやフランスの安シャルドネとの比較が楽しみ。
 
 まず見た目。薄くて緑色がかった、すごく爽やかそうな色をしている。香りは、ほんのりトーストっぽくもあり、台所洗剤みたいな爽やかさもある。ただし蜂蜜っぽさはあまり来ない。ここだけみると、ヨーロッパの安シャルドネみたいな雰囲気。
 
 ところが口に入れるとメロンの皮&プリンスメロン&きゅうりといった、ウリ科の植物を思わせる風味と、ふくよかな中盤の膨らみ、若干弱い酸といった組み合わせ。ヨーロッパの寒冷な地方でつくられたシャルドネとはぜんぜん違って、南国、とりわけチリでつくられたシャルドネという感じがする。同じチリ産の「モンテス・アルファ シャルドネ」にびっくりするほど似ていて、この路線はチリなんだなという感じがある。これはもう、「チリ産のシャルドネ」という個別カテゴリーがあると認識したほうがいいんじゃないかというぐらい、一種独特の世界をつくっていて、微妙に(特に新世界産の)ソーヴィニオン・ブランにも似ている。まずくはないし、これが好きって人がいるのも想像できるけれども、自分の好みではないなぁとは思う。
 
 ※翌日もおんなじ感じ。あまり面白く無かった。