北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【0682】Pierre Matrot Volnay Santenot 2008

 

 
 久しぶりに大物ワインと対峙する元気が溜まったような気がしたので、コート・ドール一級ワインを探していたら、こいつに目が留まってしまった。せっかく元気なんだから、風味濃厚系を選べばいいものを、でもヴォルネが呑みたくなっちゃったからしようがない。
 
 色合いは、薄いけれども少し暗さを伴った感じの朱色で、ブルゴーニュの赤、特に2008年のヴォルネ近傍の赤としてはいかにもそんな色なのかなという感じがする。グラスに注ぐ段から強い芳香がフワリと漂ってきて、グラスから直接匂いをかぐと、照りのある派手な香り――チョコムースにストロベリーシロップを少しかけて、ローソクでコーティングしたような匂いがしっかりと感じられる。あとこのワイン、なんとなく「砂」を連想させる匂いがする。「土」とか「森」っていうより「砂」、あるいは「干上がっている時の河原」のような……。
 
 口をつけてみると、最初のアタックは柔らかく、けれども数秒後にキュイーン!とした酸味が口のなかいっぱいにこみあげてきた。うへぇ!酸っぱい!この時のダンジェルヴィーユヴォルネフレミエ 2008も酸っぱかったけれど、こいつはもっと酸っぱくて、そのかわりもう少し果実味が前景に出ている。それとあんまり水っぽく無い。2008年のヴォルネ系って、とにかくこんな感じなのかな。しかし香りは相当なものだし、味わっていくにつれて、果実らしさと鰹だしっぽさ、そして梅っぽいブルゴーニュ赤らしい風味が強まってきて、なにやらぎゅうぎゅう詰めの雰囲気に。ダンジェルさんちのフレミエとはかなり違った方向に形態変化させつつある。鰹だしから転じて、軽い塩味さえするような気もする。
 
 2008年は負けヴィンテージとは言うけれども、このヴィンテージのヴォルネからは、なにやらブルゴーニュらしさがもの凄く濃厚に漂っていて、こういうの嫌いにはなれそうにない。2009年はコテコテでまだ蓋を開けるのが早そうだけど、2008年は貧弱なお陰か、今呑むにはちょうどいいのかな。