北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

ワインの記録が700回を超えた

 
 
 
 ワインの記録が700回を超えた。最近は、幾つかの軸ごとにワインを比べて楽しくてしようがない。あるジャンル・ある作り手・ある地域のあるヴィンテージ・ある品種、といった同一条件のもと、他のところが違っているワインをぶつけてきて味比べをすると、意外なほど違いに気づくような気がすることもあれば、さっぱりわからないということもある。本当は、ブラインドで飲み比べをしたほうがいいんだろうけれど、そこまでの条件は滅多に整わないので、とりあえず、ワインのラベルに書かれた多軸のうち一軸を一致させて、他を比べると凄く楽しい。
 
 ・同メーカー・同地域・同品種・同輸入業者のワイン、しかも同一ヴィンテージ
 同じヴィンテージのワインを同じメーカーから複数本買ってきて、違うタイミングで呑んでみるテスト。今のところ、大体同じ印象を受けることが多く、二回目は一回目に比べると“慣れ”や“過剰な期待”がバイアスとして入るせいか、感動が薄れるような気がする。
 
 一度だけ、直接輸送 vs 輸入業者という点以外は全く同じワインを試す機会があった。このときは直接輸送のほうが品質的に圧倒的に上のように感じられた。飲み頃の問題なのか、ワイン習熟度の問題なのか、輸送の問題なのか?
 
 ・同メーカー・同地域・同品種・同輸入業者のワインのヴィンテージ違い
 ヴィンテージだけ違うワイン。
 
 なかなか機会が無いけれども、ヴィンテージ以外はほぼ同条件のワインを飲み比べると、だいぶ印象が違ってびっくりすることもあれば、案外違わないように感じられることも。ブルゴーニュワインでやっているかと思いきや、過去ログを調べるとチリワインのコノスルで頻繁にやっていることに気づいた。
 
 ・同メーカー・地域バラバラ・同品種・同輸入業者のワイン
 地域が違うワイン(ヴィンテージも異なることも…)。
 
 現在、ブルゴーニュメーカーのニコラ・ロシニョールピエモンテバルバレスコ生産者組合で実行中。ボトルの当たり外れだけではたぶん説明のつかない、ヒエラルキーや味わいの違いはやっぱりあるような気がして、このあたり、心理的バイアスだけで説明がつきそうにない。特にブルゴーニュの平格と一級クラスは格の違いが歴然としていて、しかも一級は村ごとに顔つきがちゃんと違っていて凄く楽しい。ただ、この遊びに向いているブルゴーニュバルバレスコもお金がかかって仕方ないので、出来る範囲でチビチビとやるしかない感じ。
 
 ・同メーカー・異なる品種・同輸入業者のワイン
 同じメーカーの違う品種比べ。
 
 品種天国のイタリアワインでやりまくっていた。特にイタリア南部のマストロベラルディーノやフェウディ・ディ・サングレゴリオの白ワイン兄弟達や、シチリアのクズマーノの白ワイン群あたり。値段もあんまり無理しなくていいし。ところが思った以上に区別がつかなくて、最近はご無沙汰気味。南アフリカのワインでも、カベルネ系とメルロー系を短期間に味比べしてもあんまりわかんなかったり。難しい。
 
 ・異なるメーカー・同品種のワイン
 品種は同じだけど、メーカーや地域がバラバラのワイン。
 
 同じシャルドネでも、ブルゴーニュとカリフォルニアとシチリアとフリウリが全然違う様子だったりすると嬉しい反面、ブルゴーニュの筈なのにシチリア産にそっくりと感じられることもあるので、わかったようなわからないような。カリフォルニア産のピノ・ノワールにしても、チリ産にそっくりな事もあれば、ブルゴーニュのいい畑っぽい品に出会うことも。このあたりは「正確に地域と味を一致させようとする」よりも「この地域はだいたいこんな味になっている」というテンプレートを、名醸地ごとにイメージしておいて、そのイメージとの一致不一致を噛みしめたほうが精神衛生にいいような気がする。「おっ!まるでブルゴーニュのいい畑のやつみたいだ!」的な。
 
 ・異なる地域同士の、全体的比較
 アメリカ合衆国、フランス、イタリア、チリ、それぞれ最大公約数的なイメージみたいなものがあるようなないような気がしなくもないけれども、これが心理的バイアスによるのか、実際そういう感じなのかはわからない。けれども、そういうバイアスとも実態とも限らない漠然とした感覚も楽しみなので、今後も積極的にぼんやりしようと思う。

 [フランス]特にブルゴーニュは特級〜村名〜平格までヒエラルキーがしっかりしていて、一指標として頼りになる。好みという点ではイタリアだけど、飲み比べるならフランスのほうが座標系を意識しやすい。ブルゴーニュアルザスに限らず、この国のワインは酸味のテイストをものすごく大切している気がする。ボルドーなんかでも、酸が効果的で頬がほころぶような酸に結構出会う。いつも酸を意識してしまう国。
 [イタリア]イタリアワインも酸を意識させられる面白いワインが多いけれども、どうしようもなくしまりのないやつもいるし、ラベルやボトルの見掛け倒しもいる。フランスのAOC制度に比べると、イタリアのDOC制度はあてにならないし、メーカーを頼りにしようとすると、今度は妙な新ラベルをコロコロ出すメーカーやつくりかたを変えてくるメーカーもいる。そんなイタリアだけど、料理に合わせるという点では融通の利くワインが多いし、おいしい土着ワインもたくさんある。融通といい加減さが表裏一体になった世界、イタリア――まさにそんな感じで性に合う。
 [カリフォルニア]馬鹿高い価格帯のものは知らないけれども、3000円くらいのワインをみんなで呑むと明るい気持ちになれるワインが多い&デジタルなワインが多いので、パーティーにぴったり。一人で飲むと飽きそうだけど、最近ほとんど一人でカリフォルニアを飲まないのであんまり気にならない。
 [チリ]コノ・スルのお陰で、コストパフォーマンスが高いイメージ。シャルドネ以外の白が割と好き。低価格帯ならカリフォルニアより安定感があるような気がする。一人で一瓶明けようとすると飽きるけれど二日に分ければ割と楽しい。
 [日本]今のところ、日本酒めいた味の白ワインと、しみったれた赤ワインに遭遇することが多い。
 
 こんな調子だから、いつになったら飽きるのか見当がつきません。