北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【0733】Chateau Mouton-Rothschild 1994 《KAREL APPEL》

シャトー・ムートン・ロートシルト [1994]年
 
 五大シャトーのワインは、いつ頃にどんな風に呑めばいいのか?一本だけあるこいつを温存していても宝の持ち腐れ&ブルゴーニュ系とイタリア系で貯蔵庫を統一しようと思って、いっそ開けてみることにした。94年というのはそんなに良いヴィンテージではないらしいけれど、五大シャトーだけあって、まだ呑むには早いかもしれない。けれどもエイヤと抜栓。
 
 ちなみに今回は、昨日のカントメルルの残りと比べながら呑んでみようと思って、カントメルルを少し残しておいたうえで抜栓してみた。まず、色。全然現役っぽい若々しい色をしているけれど、さすがにカントメルルの隣に並べると少しだけ茶色がかっているような印象は受ける。でも濃度は殆ど変わらず、おそろしく濃く、ジャボジャボ注いだ後は泡立っている。匂いはどうか。まだつめたいのか、開けてすぐなので閉じているのか、匂いはグラスの奥に引きこもっているような。とはいえ、あまり煙たい匂いは全面に出ていなくて、クッキーのような甘い匂いの次に煙ってくるかな、という滑り出し。
 
 口に入れてみると、意外なほど酸味がしっかりしていて、酸っぱさ先行。「ふくよか」に程遠い。ただ、その酸っぱさがえらく滑らかで、コーヒーのような香り(この品種でコーヒー?)と煙たさを伴っている。カントメルルに比べるとお酒の体格は軽く感じられる。ところが余韻が長い!酸味の軽い余韻と柔らかいコクが数分程度口のなかに残存する。タンニンは淡い。ここでカントメルルにいったん戻ってみると、酸味が若くてきついと感じられ、さすがに若々しいと感じられて、年齢の差が感じられるところ。
 
 で、水で口を十分に洗った後にロートシルトに戻ってみると、埃っぽさがパワーアップして感じられる。あれ?さっきとなんか違うぞ?なぜか梅の匂いが強まって、時にはキノコの匂いが混じることもある。それと果実味が段々強まってきているような…これはちょっと凄いかもしれない。そうこうしているうちに、嫁さんが「ガス臭い」と言うようになって、なるほど言われてみれば都市ガス臭いかもしれない。匂いの複雑さはさすが。カントメルルの二日目と比べても品の良さが一枚上、こういうところはさすが五大シャトーというところなのか。なんだか凄そうではある。
 
 ※二日目は、さらに軽い感じでリスタート。都市ガス臭さはいまだ健在。色が少し黒ずんで茶色がかった感じに変化したようにもみえる。滑らかで複雑そうな面持ちだけど、昨日の後半と違って「凄い」という感じは受けない。ところがリスタートして時間が経つと段々重くなってきて、やっぱりキノコのような匂いを伴った凄いやつが這い上がってきた。臭気が下降しやすいのか、グラスをゆらすとよく匂う。やっぱり凄いワインだった。