北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【1663】Kistler Dutton Ranch Sonoma Coast 2010

 
キスラー ダットン・ランチ 2010
 
 先日、ある記念日があったので、それにかこつけてあけたワイン。
 
 まず香りは、甘いグレープっぽさを伴った蜂蜜クッキーがわっと来る。すごい。予想通りだけど予想をまったく違わない。蜂蜜よりも果実・フルーツ缶詰系の甘い匂いが強く、想定していたよりも分厚いと感じる。
 
 口に運ぶと、おおっバターですね!バターの効いた、これまた期待をたがわない分厚いシャルドネの味がする。そこに塩分やミネラルの風味が伴っていて、初手から立体的な飲み応えを伴っている。すごく押しの強いワインなんだけど、大柄なところで均整が取れている。ブルゴーニュのバター系ワインであるムルソーに比べると、「大男」という印象がある。とにかくコテコテのシャルドネだけど、これは最初からそういう路線のワインなんだろう。
 
 ところが飲み進めると、やけに石っぽさが前に出てくる。石灰岩や大理石というよりは、石材店に迷い込んだような雰囲気があり、ワインに厳めしさを伴うようになってきた。口のなかで余韻がずっと、ずーーーっと残るという点では、ブルゴーニュの一級畑の大抵のワインよりも息が長い。ファンタジーRPG風に喩えると、このワインから連想されるのは「ストーンゴーレム」だ。
 
 もし、このワインに足りないものがあるとすれば「酸味」かもしれないけれども、酸が皆無というわけではないし、酸が雑に感じられるわけでもない。このワインは酸味を重視しない趣向なのだろうから、そこで減点するのはナシだと思う。リッチで大柄で厳めしい雰囲気があってナンボ、そこにスパイスすら伴ってきて大したもの。嫁さんは「クリームっぽい」と言ったけれども、クリーミーでもある。
 
 ※翌日は、少し酸味が勝ってきて、しかもそれが結構きれい。カーッとスパイスが盛り上がってくる場面や、石材店をバッチリみせてくれることもある。ううむ、得手なシャルドネとは言い難いけれども実力は評価せざるを得ない。やるじゃないか、キスラー。もう一度、もう少し軽いラインのものなら買っても良いかも。