北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【1722】Mastroberardino Greco di Tufo 2016

 
マストロベラルディーノ グレコ・ディ・トゥーフォ
 
 このワインは、南イタリアナポリが州都のカンパーニャ州で作られる土着品種白ワイン。イタリアの白ワインの一類型な、ゴワっと&スカっとした酸味と、いい匂いを特徴としたものだと記憶している。作り手は、カンパーニャ州のワイナリーとしては草分け的存在のマストロベラルディーノ。わりと期待しての抜栓。
 
 まず見た目。色合いは、すごく標準的な白ワイン。濃すぎず、かといって緑色や杏色に傾き過ぎるでもなく。香りは、水仙系のすごく酸っぱそうなやつが来るけれども、ちょっと冷やし過ぎたのが災いして、あまり強くない。
 
 で、口に入れると、水仙-ヒヤシンス系の花の香りと酸味がグワーと口から鼻にかけて充満する。唾液がどんどん出るタイプ、食欲をそそるワインだ。やせぎすな感じというより豊満、酸っぱくて細いワインでなく、酸っぱくて太いワインなあたり、カンパーニャ州の白ワイン然としている。更に飲み進めると、石灰岩に寄った、ゴワっとした炭酸風味がやってきて、いよいよグレコ・ディ・トゥーフォらしい体裁に。さすがカンパーニャ州の老舗。納得のいく展開だった。
 
 ※翌日は、もうちょっとだけ蜂蜜寄りの味わいになって、これはこれで良かった。酸味が勝つかと思いきや、そうでもなかったのが興味深い。
 

【1721】株式会社ハイディワイナリー 輪島 禅の里わいん マスカットベリーA 2015

 
輪島 禅の里わいん マスカットベリーA
 ※ヴィンテージは現行と思われます。
 
 このワインは、石川県能登地方でつくられた赤ワイン。品種は、日本でしばしばみかけるマスカットベリーA、経験的には、ちょっと冷やして飲んだほうがよさそうな気がしたので、冷蔵庫で少し冷やしてからの抜栓。 
 
 まず見た目。赤ワインとしては薄い色で、ボトルから注ぐ時には薄紫~薄ピンクといった色合いにみえた。グラスに入ってしまうと、歳をとったブルゴーニュ赤ワインに近いような薄さ。香りは、初手で醤油・パン・家畜のような匂いが混じってワインっぽくない感じがする。でも、ベリーAの初手はちょっと変わっていた気がするので、品種的にはおかしくない。ジャムっぽい果実味の匂いの手前に、やはり動物質な匂いが混入している。
 
 口をつけると、通常のワインとは方面のかなり違った新鮮な果実ジュースが来た!軽快な飲み心地でタンニンも軽い、でもって動物質を漂わせつつも、ジャムやジュースというより果物まるかじりなフレッシュネスを伴った甘酸っぱい感覚が口に残る。くせはあるけれども面白いワインだ。
 
 ※二日目も、動物系の匂いは健在。新鮮さは少し損なわれた。初日に飲んだ時ほどの鮮烈な感じではないので、品種からいっても、初日に飲んであげるべきだった。
 
 

【1720】Bouchard Pere et Fils Monthelie Premier Cru Les Duresses 2014

 
ブシャール モンテリ レ・デュレス
 
 久しぶりにブルゴーニュの赤ワイン、それも、ピノ・ノワールが飲みたくなったので、この、モンテリ一級をあけてみることにした。このレ・デュレスという畑はコント・ラフォンの品を飲んだことがあるので、それにどの程度迫れるかが見所。
 
 まず見た目。赤茶色のピノ・ノワールで、ブシャールのやつってだいたい赤茶色っぽさが強いので、こいつも例外ではないと感じる。香りは、初手からチョコレートと土っぽさが漂っていてなかなかの雰囲気。
 
 口をつけると、ちょっとアセロラ&タマネギっぽさがあって傷んでいるかな?って心配が。熱劣化している?でも、とてもコクがあってふかふかとした飲み心地で、ワイングラスと自分の鼻腔の間にチョコレートがもうもうと漂ってくる。果実味もあるんだけど、チョコレートの匂いとタンニンと苦みが優勢な雰囲気。でもって、これぞモンテリの力なんだろうけれど、ワインののどごしに栄養が宿っているというか、このワイン、やけに力が湧いて来る。このあたりは、コント・ラフォンが作った同じ畑の品に相通じるところがあって、そのお手軽版としての面目は十分に果たしている。でもって、飲み進めるとサクランボのようなかわいらしさと、その樹木のような風味が立ち上がってきてなかなかのもの。意外に侮れない。
 
 ※二日目になると、酸味が勝って果実味が痩せた感じになった。残念ではあるけれども、土っぽさが残って残滓としては悪く無い。でも、初日に飲んでしまうべきワインではあった。
 

【1719】Saint Cosme Little Basket Press White (N.V.)

 
サンコム リトルバスケット プレス 白
 
 このワインは、お手頃価格でおいしいワインを作っているローヌのサンコムというメーカーの、すごく量産型っぽいワイン。ローヌ地方の白ワインは正直あまり飲んだことがなく、好きでもないんだけど、はたしてどうか。
 
 グラスに入れてみると、割と普通の白ワイン。わずかに気泡が入っている以外は特徴は無い。香りは、深く吸い込むと水仙やヒヤシンスのような、ツンとした花の匂いが飛び込んでくる。その周囲に台所洗剤系の花の蜜も。ヴィオニエ中心なワインだろうか。あと、白ワインなのに少しだけ「くさい」匂いが混じっている気がする。
 
 口に含むと、まさに水仙系の香り、ふくらみ、それから苦みが口のなかに。あー、こういう白ワインですか、あんまり得意じゃないやつではある。ただ、このワインは飲み進めるにつれて肉付きが豊かになってきて、噛めるような白ワインになってくる。これは嬉しい変化だし、普段、この価格帯のシャルドネにはまず期待しない面白さ。蜜っぽい甘さすら伴うようになってきて、いっそう楽しくなってきた。好みの品ではないけれども、ちょっとリスペクトはしておきたい。このクラスでこの出来なら、格上を買ってもいい気がした。
 
 ※翌日は、少し肉付きが落ちたけれども酸っぱいというところまでは至らない。初日のほうが面白かったが二日目も十分においしかった。
 

【1718】Chateau Pesquie Le Paradou Grenache 2015

 
シャトー ペスキエ レ パラドゥー グルナッシュ
 
 このワインは、南仏でつくられているグルナッシュ(ガルナッチャ)。南仏の赤ワインは、ローヌのジゴンダスをのぞいてあまり得手ではないけれども、グルナッシュは割と好きな気がする。こいつはどうだろう。
 
 まず見た目。不透明ではあっても、ちょっとピンク色がかった赤紫色。香りは、梅系線香がバンバン来て、このあたり、メルローカベルネとは方向性がぜんぜん違う。非常に、お線香、です。これはスペインのガルナッチャとも違わない。
 
 口に運ぶと、香りからは想像できないほどまろやかな口当たり。攻撃的な酸よりも、しっとりとした、柔らかい果実味のほうが先行している。タンニンがほかほかとしていて、つっけんどんではない。これらがあわさって、とても飲み心地の良い第一印象がかたちづくられている。飲み進めても圧迫感が迫ってくることなく、意外にスルスルと飲める。これはいい普段飲みワイン、なかなかの好印象。
 
 ※二日目になって、少し前日よりも小柄になりつつも穏やかな飲み心地は健在。グルナッシュが好みなことを差し引いても、たぶんこいつは良い部類のワインだと思う。普段飲み価格帯のグルナッシュの入り口としてはいいんじゃないでしょうか。

【1717】Saint Cosme Little Basket Press Red (N.V.)

 
サン・コム・リトル・ジェームス・バスケット・プレス・ルージュ
  
 約一年ぶりに飲む、ローヌのジゴンダスがおいしいサン・コムの量販品ワイン。でも、おいしかったと記憶している。
 
 まず見た目。かなり不透明の赤茶色のワインレッド、カベルネなどに比べると茶色に色彩が寄っている。香りは、煮詰めたジャムと鼈甲飴の匂い、あとはザラメなんかを思い出す。「黄色っぽくて甘いお菓子」の雰囲気がある。そこに、いくばくかのお線香の香りもあってうまそう。
 
 口をつけると、お線香系の香りが先行、果実がたっぷりでジャムっぽく、けれどもお線香系の、ちょっとトーンが高くて揮発系の風味がしっかり寄り添って過度に堕落していはいない。あと、ベーコンやジャーキーの風味がちょっと宿っている。このためか、肉っぽい飲み心地があり、単体ですらおなかが膨らみそうだ。ローヌのデイリーワインとしては満足できる出来栄えだった。
 
 ※二日目は、やや酸味が強まり、腐葉土系の香りが強くなったけれども概ね同じ。おいしくいただけた。