北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【1735】Joseph Faiveley Blagny 1er Cru "la Piece Sous le Bois" 2014

 
ブラニィ プルミエ・クリュ ラ・ピエス・スー・ル・ボワ [2017] フェヴレー
※リンク先はヴィンテージが異なります
 
 このワインは、以前に飲んだ時に意外に面白いというか、単純においしいとは言えないけれども奥行きの深いところをみせてくれた一品。今回、夏場に飲んでしまうべきワインリストのなかにこいつが入ってきたので、簡単ではないのを承知のうえで抜栓してみた。
 
 まず見た目。明かりに照らせばガーネット色の輝きにみえるけれども、それでもピノ・ノワールでつくられたワインとしては暗い色、赤茶色っぽくなっている。前回はまだ青紫色がかっていて若いイメージだったとログにあるけれど、これはそういうイメージがあまり沸いてこない。で、香りはごっついチョコレートに少しプルーン系の匂いを混ぜたような。ローソクっぽさとバニラっぽさを伴ってもいる。とりあえず、かなりおいしそうな匂いだ。
 
 口をつけてみると、前回に比べるとタンニンが丸くなっていて、ちょっとくたびれたような風味(タマネギ系風味、というか。それと熟成してきたブルゴーニュワインにありがちな鰹だしの風味)を伴っていて、序盤から穏やかなワインの姿になっている。口当たりがツルツルっとしていてキュッキュッって音がしそうな飲み心地だ。で、チョコレートっぽい香りにアセロラ系果実味の味。ちょっと甘味が少な目なのも、このワインには似合っている気がする。路線として、大人の飲み物だ。
 
 ※二日目。前回と同様、森の下草のような風味と凝った果実味がいや増していて、明らかに二日目のほうが迫力があり、チャーミングでもあり、滋養に富んでいる。ブラニー一級、無名なエリアだけどなかなかみどころのあるワインとみた。見かけたら買っておこう。ひょっとしたら2014年のブラニーが優れているだけというオチが無いとは言えないにせよ。

【1734】株式会社ハイディワイナリー 輪島 禅の里わいん 甲州 2015

 
禅の里わいん 甲州 2015
 
 このワインは、先日マスカットベリーAを試した石川県のワイナリーのワイン。今度も日本独自品種の甲州、果たして国産らしい風味かどうか。
 
 グラスに注いでみると、ほんのり緑色がかった、無色に近いワイン。シャルドネなどに比べると「薄いグリーンなワイン」という印象。香りは、マスカットに近い香りがするけれども、マスカット純系のモスカートやミュスカデに比べると、本当の果物マスカットに近いおいしそうなやつが香ってくる。それとパラフィンだ。パラフィンっぽい揮発臭がほんのり添えられている。
 
 口をつけてみると、今度はミュスカデに似ていると感じるけれども、パラフィンっぽさと苦みがあって面白い味がする。今までにも甲州の安物を飲んだことはあったけれども、そのときに感じた「苦いミカン水」という感覚に近いものがあるけれども、この甲州はえらく骨太というか、苦みがそのままミカンの皮と接続して、重量のある飲み心地をかたちづくっている。それでいて、瑞々しさを決して忘れることがないため、気持ち良くグラスが進んでしまう。甲州というと、なにか飲みやすくて無難なワインというイメージがあったけれども、こいつはそうじゃない。もし外国のワイン愛好家に「甲州を飲ませてくれませんか」と頼まれたら、このワインを推薦してもいいんじゃないか。北陸でここまで太いワインが作れるとは思わなかった。記憶しておこう。
 
 ※二日目は、初日よりも線の細い印象になった。ただ、線が細くなってみると、意外にミネラルがあったことに気づかされた。つくづく不思議なワインだ。
  

【1733】Serego Alighieri (Masi) "Possessioni" Rosso Verona 2014

 
セレーゴ アリギエーリ ポッセッシオーニ ロッソ 2014 マァジ
 
 このワインは、おいしいアマローネを作っているセレーゴ・アリギエーリ(マァジ傘下)のIGTワイン。IGTってことは伝統とはちょっと違ったワインということで、実際、このワインはアマローネ-ヴァルポリチェッラ系のぶどう品種にキアンティ系のサンジョベーゼ種を混ぜてつくられている。わざわざ混ぜるからには、それなりのおいしさがあるのかどうかが見所。
 
 まず見た目。少し蛍光ピンクがかったところのあるワインレッド。黒々として透明度は低め、意外に国際品種の赤ワインと区別つかない気がする。香りはなんとビターチョコレートと床屋の匂い、それから豆料理だ!この、床屋の匂いってあたりはヴァルポリチェッラとあまり矛盾していない。
 
 口に運ぶと、果実味が炸裂。じゅくじゅくの葡萄果実が口のなかに溢れて、さながらキアンティ、いかにもサンジョベーゼ。赤ワインとしては完全に軽量級で、タンニンはあるにせよ、さっぱりとした飲み心地。夕食とは屈託なく付き合ってくれる。二杯目をそそぐ頃には果実味がどっかりとしてきて一層活きのいい状態になった。デイリーワインとしてはよくできているけれども、価格を考えるとこれぐらいじゃないと困る、という部分もある。
 
 ※翌日になると、ますますもって明るく活きのいいワインになった。ただ、深みや複雑さとは無縁。おいしいワインではあるのだけれど、高評価とはいかないかな。

【1732】Tosti Asti (N.V.)

 

 
 今日はクッソ暑い日にアスティを。見た目は薄い白ワイン色ながら、甘い生姜のような匂い(寿司屋のがりのようなタイプでなく、ケーキに生姜を混ぜ込んだような)がふんわりと漂う。そして泡がごうごうとこみ上げてくる。
 
 口に入れると、意外とさっぱりとした飲み心地ながら、生クリームっぽさを伴った甘味と生姜っぽさがこみ上げてきてコッテリしているところもある。このワイン自体が夏のデザートみたいだ。気持ちよく飲める夏のワインだった。
 

【1731】Lincoln Estate Le Sashimi 2016

 
リンカーン エステイト サシミ ソーヴィニヨン ブラン 2016
 
 ジャケ買いでワインを買うのは邪道ながら、ときどき、ついジャケ買いをやってしまう。今回は、マグロかカツオの絵が描かれたサシミというワインをやってみた。名前はリンカーンだけど産地はオーストラリアとのこと。
 
 ソーヴィニョン・ブランでできているだけあって、色は薄目でほんの少し緑色かピンク色がかっているようにみえる。香りは、黄桃、メロン、きゅうり、といったこの品種にありがちな香りがぷんぷんする。そこに、猫や犬のおしっこのようなにおいが混じり、これもこの品種にはありがちだけど、自分は割と苦手です。
 
 口に入れると、さわやかな飲み心地に黄桃やメロンの風味が伴う、これまたソーヴィニョン・ブランの典型例をみるようなやつが来た。酸味がしっかりしていて味のふくらみもなかなかのもの。ソーヴィニョン・ブランは、ハーブっぽい味が優勢なことと果物っぽい味が優勢なことがあるけれども、これは後者のタイプ。新世界でつくられた品として妥当なものだと思った。
 
 ※二日目は、ふくよかさが剥げ落ちてちょっと酸っぱい雰囲気となった。飲めないほどのものじゃないけれども、初日のほうが面白かった&おいしかったとは思う。
 

【1730】Allegrini Valpolicella Superiore 2014

 
ヴァルポリチェッラ スーペリオーレ 2014 アレグリーニ
 
 このワインは、信頼できるヴェネト州の赤ワインメーカーのヴァルポリチェッラのスペリオーレ。ただ、「クラシコ地区」でつくられたものではないとのことで、そこだけちょっと引っかかる。以前にも飲んだことがあるので調べてみると、やっぱり表記に間違いはない。
 
 とりあえず抜栓。見た目は意外に黒ずんでいて、濃いワイン品種の赤ワインとさほど遜色ない。赤茶色のいい塩梅なカラーで、香りは、苺系のかなりフレッシュなやつがぷーんと漂ってくる。そこに、ちょっと肉系の香りとバニラアイス系の甘い香り、それと樟脳みたいなケミカルな匂いがちょっとだけ混じっている。とてもうまそう。
 
 口に運ぶと、意外にインパクトのある果実味とコーヒーとチョコレートががつんと来た。ヴァルポリチェッラって軽量級赤ワインだったと思いきや、なんかえらく手応え、ならぬ口応えがある。基軸は「葉っぱや枝のニュアンスの少し残る、特濃ベリー系」なんだけど、そこにチョコやコーヒーや肉系のニュアンスが絡みついて、序盤から飲み応えがある。こんなに飲みごたえのある、正統派のワインとは思ってもみなかった。
 
 ※二日目。なんというか、ブルゴーニュでいえばモンテリに近いような、滋養のあるワインで驚かされた。この価格・このランクを考えるとできる部類だと思う。やっぱりこのメーカーは信頼に値するのではないか。