北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【1769】Camille Giroud Volnay 2014

 
カミーユ・ジロー ヴォルネ(メゾンもの) 2014
 
 続いて、カミーユ・ジローという、楽天などで見かけることはあっても買ったことのない造り手の、若いヴォルネ(村名格)。
 
 色は割と普通。やたら薄いわけでもなく、もちろん濃いわけでもなく、中庸。まるで平格ブルゴーニュみたいだ。けれども香りは初手から桐箱のような香りが漂い、その奥からフレッシュベリー系のさわやかな匂いを伴っている。
 
 口に運んでみると、酸味がとにかく溌剌としている。酸が若い!若いという言葉がぴったりで、ザ・若飲みという様子。なにしろ酸が若々しいから、生のイチゴのような果実味がしじゅう炸裂する。なにか、食べ物が欲しくなるワインで、そちらのほうも捗った。
 

【1768】Domaine Michel Caillot Meursault le Limozin 2002

 
ミシェル・カイヨ ムルソー
 ※リンク先はヴィンテージが異なります。また、村名格畑がリムザンではありません。

 こいつは、メーカーの名前は知っているけれども飲んでみたことのないムルソー(村名格)。ムルソーはくつろげる感じの楽しいワインが多いので、そうであって欲しい。
 
 まず、色。かなり濃い山吹色をしている。香りは初手からムルソー!それも若いムルソー!ハチミツとアップルパイのようなあまーい香りがこみあげてくる。
 
 果実味はフルーツポンチを含む、シャルドネとしてはちょっと南のほうっぽい感じの美味さが来た。ちょっと大理石っぽいフレーバーがあってストラクチャーを感じさせるけれども、それほど目立つほどでもない。酸味も軽いところでまとまっている。で、ちょっぴりきのこ系のフレーバーも来たから、熟成もちゃんとしているのだろう。
 
 やや小粒な出来栄えではあるけれども、ムルソーにあって欲しい要素はみんな揃っているワイン。いいんじゃないでしょうか。
 

【1767】Cono Sur "Bicicleta" Chardonnay 2017

 
コノ・スル ビシクレタ シャルドネ
 
 今回、ブラインドテイスティングのチャンスがあった。お題は「目隠しした状態で、コノスル最安値のシャルドネ(本品、サンプルA)と、ゴランハイツワイナリーのいつものシャルドネ(サンプルB)を比較試飲し、どちらがどちらか当ててみる」というもの。見た目で当てることができず、シャルドネグラスではなくコップを使っての試飲なので香りもあまりわからない。果たしてどうか。
 
 コップで香りを確かめると、意外に区別がつきにくい。ゴランハイツワイナリー側には石灰岩っぽい香りがあるはずだけど、微弱。はちみつっぽい匂いも微弱。考え始めると意外にわからなくなる。サンプルAに口をつけてみると、両者とも、それなりはちみつっぽくてそれなり酸味がある。サンプルBのほうが酸味が弱く、ややバターっぽくはあるけれども、コノスルだってわざとらしい風味を出すかもしれない。
 
 ただ、二口目になって少しわかってきたのは、サンプルAの酸味は後味が長いけれども「植物の茎」のようなえぐみがあるということ。サンプルBのほうが酸味は弱いかもしれないけれども、えぐみは残らない。本当はサンプルBのほうに強い石灰岩風味を感じられれば楽勝だったのだけど、コップだからか、二つのサンプルで混乱しているのか、はっきりわからない。それでもえぐみはコノスルの最安値にはあってもゴランハイツワイナリーには無かったはず。よってサンプルAがコノスルとみた!
 
 結果は……アタリ!改めてシャルドネグラスに注いでみると、見た目はやや薄めの白ワイン。で、飲み進めるほど植物の茎っぽさが伴うようになり、酸味もそういう方向に引っ張られるようになってきた。ゴランハイツワイナリーのそれをシャルドネグラスに注ぎなおすと、やはり格の違いがよくわかる。こういうの、もっとやったほうがいいのかもしれない。

【1766】Casa Vinicola D’Angelo "Ars Poetica" Aglianico del Vulture 2014

 
【カーサ ヴィニコラ ダンジェロ】 アース ポエティカ アリアニコ デル ヴルトゥレ [2014] 
 
 最近、南イタリアの赤ワインをろくに飲んでいなくて、思い切ってちょっと良いやつを買ったんだけどそれも知人に渡してしまったので、残ったのがこのアリアニコ。アリアニコは、カンパーニャ州産は高いけれども、カラブリア州産は安くて、これは後者。まずくはないけれど、あまりに単純だったり変に汗臭いことがあったりして、お買い得品をズバリと見つけるのが難しい印象は持っている。はたして、こいつはどうか。
 
 見た目は、赤茶色で黒っぽい、赤ワインとしてもかなり濃い部類。透明感もあまりなく、とにかく黒々。香りは梅系線香が全開、どこかスペイン産のガルナッチャにありそうな香りだと感じる。ほんのちょっと汗臭くて、ほんのちょっとルバーブっぽくもある。このあたり、南イタリアのワインとしておかしくはない。
 
 口をつけると、まずはフサッとタンニンが来て、それから苦みが。うん、苦い!そして濃いコーヒーのようなビターもある。果実味はあるけれども甘きに流れるでなく、がっしりとした赤ワイン、でもって、口に含むと香りにジャム系の甘いフレーバーが意識されはじめる。安いけれどもそれなり面白く、汗っぽさも退いてくれて助かった。
 
 ※二日目はコーヒー&ビターが少し弱まって、もうちょっと普通のワインぽくなった。アリアニコっぽさを楽しむなら初日かも。
 

【1765】William Fevre Chablis 2016

 
メゾン ウィリアム フェーブル シャブリ 2016
 
 ウィリアム・フェーブルは入手しやすいシャブリのなかでは安定したおいしさだと思っていて、我が家のお気に入りのひとつ。ここのシャブリ、自家産のぶどう(ドメーヌもの)と買い取りぶどう(メゾンもの)の間に越えられない壁があるっぽくて、今回のは後者のもの。それでも値段が手ごろだったので買ってしまった。
 
 まず見た目。比較的薄めで、緑色がかった色調。シャルドネでつくられたワインとしては、一番緑に近い色調なんじゃないかと思う。香りは、強烈に米糠!この米糠感はシャブリにありがちなやつで、例えばチリ産のシャルドネにはほとんど無い。そこに蜜っぽさとライムっぽさが混じって、価格を考えれば十分に美しい香りをしている。
 
 口に運ぶと、うわっと酸っぱい!わずかに米酢っぽさが混入した、とても酸のきいた味。上顎にへばりつくような、シトラス系の苦みも伴っている。ある面ではグレープフルーツっぽい。シャブリの特徴である、ミネラルな雰囲気は、それほど強くないかもしれないけれど、次第にレモンっぽい、よりシャブリ然とした味わいになってきて安堵した。酸っぱくておいしいワインです。
 
 ※翌日も、スイスイと飲める米糠系シャブリ。二日目はレモンっぽさが最初からある。ドメーヌものに比べるとやはり集中力が散漫なところがあるけれども、なにせメゾンものだからこれで十分。
 

【1764】Montes Alpha Pinot Noir 2016

 
モンテス・アルファ ピノ・ノワール
 ※リンク先は、これを書いた時点では該当ヴィンテージですが、以後は現行のヴィンテージに置き換わっていくと思われます
 
 チリ産のピノ・ノワールは本家ブルゴーニュとははっきり方向性が違うし、好きかと言われたらそうとも言えないけれども、長らく飲んでいない気がするので、確かめてみることにした。
 
 まず見た目。ピノ・ノワールとしては濃くて暗い色彩で、いかにもチリ産、という感じ。グラスのへりのほうでもしっかり色がついている。香りは、バニラとチョコの香りたっぷりで、その奥から、梅系の果実の香りがほくほくと盛り上がってくる。パッと香りを確かめただけだと、ブルゴーニュだったら北部の、ちょっと上等で派手系の作り手のワインじゃないかと思い込みそう。
 
 口をつけてみると、こってりとした口あたりに、梅系の酸味がキューンと伴っている。良くも悪くも樽っぽさがたっぷりで、オークの風味を相当につけてあるんだろうと思われる。余韻の長さはさすがに望むべくもないけれども、とりあえずのおいしさは相当なもの。同じチリ産でも、さすがに1000円前後のピノとは作り込みが違う。
 
 ※二日目は、僅かに森の下草っぽい香りまで漂って、なかなか頑張っている。樽っぽさは少し薄れたけれども、二日目のほうが総合力は上だと思う。