北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【1818】Domaine Gachot-Monot Saint-Aubin 2016

 
www.vivino.com
 
 このワインも楽天のウエムラさんの福袋でゲットした品。ブルゴーニュ中核エリア、コート・ドールの南部地域(コート・ド・ボーヌ)のなかでもややマイナーなサン・トーバン、その一級でもない畑の、なんだか聞いたことのないワインの作り手ともなれば、自分で意識的に買うことは絶対に無いだろう。こういうのこそ、福袋でしか出会いようがないので大いに期待したいところ。
 
 で、コルクを抜こうと思ったら、コルク上面にアオカビが結構ついている。これはちょっと嫌な滑り出し。もしかして吹きこぼれ経験があったりするんだろうか。おそるおそるコルクを抜くと、コルクからなんともいえない変なにおいがする。すごく不吉だ。ワイン本体は、ややグリーンがかった薄い白色で、薄色系のシャルドネとして矛盾しない。香りを確かめると、なんとなくコルクっぽい匂いがするような気がするが、これはコルクを見つめてしまったせいかもしれない。香りはシャブリに近い、ちょっと米ぬかも入った、でもたいていのシャブリよりも花っぽい清々しいフレーバーが感じられる。 
 
 おっかなびっくり口に入れてみると……おおむねセーフと言えそうな。非常にこざっぱりとした飲み心地の、それでいて蜜まみれのリンゴみたいなさわやか&スイートな味が口のなかに広がる。ブルゴーニュの高級な白ワインにあるような難しい構造だのなんだのではなく、とにかく清々しいシャルドネに全振りしましたといった体裁で、これはこれであっぱれ。
 
 ※翌日も、こざっぱりとした佇まいは健在。ぜいたくリッチ路線を完全に捨てた、割り切った構成のおかげで救われたワインだと思う。ブルゴーニュのやたらと値段の高い路線とははっきりと距離を取って成功していると思う。この作り手のことは、記憶しておこう。
 

【1817】Cono Sur "Bicicleta" Syrah 2017

 
コノ・スル ビジクレタ シラー 現行
 
 この、コノスルの一番安い「ビシクレタ」シリーズは煮込み系料理の具材としてたびたび補充されるもの。今回は約1年ぶりにシラーが来たので再び試飲してみることにした。(前回記録はこちら
 
 まず見た目は、不透明感ばつぐんの真っ黒黒な赤ワイン。わずかにカラースペクトルが青色方面に傾いているかもしれない、パープルな印象を与える赤ワイン色だ。
 
 香りは、マジックインキとかマッキーを連想させる、見た目にふさわしい有機化合物系の匂いに、今回はわずかにニスみたいな方面の匂いもいるような気がする。赤系果実でなく黒系果実を連想させるものがある。
 
 口に含むと、タンニンがわーっと来るんだけどあまりとげとげしくはない。でもって、少しコーヒー風味を伴ったこってりとした果実味が口のなかに広がる。甘味もたっぷりあって、コーヒーやタンニンも相まってかあんこを連想する瞬間もある(ただ、カベルネフラン系のワインにあるようなよもぎまんじゅうみたいな雰囲気というよりは赤福が時々連想させられる、みたいな)。少なくともグラス一杯飲むぶんにはとてもいいシラーだった。

【1816】Domaine Mouton Givry 2015

ドメーヌ ムートン ルージュ
 ※リンク先は、無印ジブリではなく、もうちょっと凝った名称がついている品です
 
 このワインは、楽天のウメムラというお店のワイン福袋に入っていたもの。福袋のいいところは、自分でワインが選べないところ。自分でワインを選ぶと、やれ好みのエリアだ、安定してそうなヴィンテージだ、定番の作り手だと、どうしても偏ってしまう。でも福袋なら何が出てくるかわからない。これからは時々福袋をやってみよう。ちなみに、これが生まれて初めて買った福袋です。
 
 で、こいつは「ジブリ」。ブルゴーニュのなかではマイナーエリアで、アニメ会社なこの土地のワインはもちろん買ったことがない。さてどんなワインでしょうか。
 
 まず見た目。わずかに赤茶色がかった、透明度の高い赤ワイン。カベルネメルローに比べれば薄目だけど、赤ワインらしさはある。香りは、梅系・チョコレート系がふんわりと匂いたって、そこにローソクもちょっと。僅かに革製品かハムの欠片みたいな肉系の匂いが混じっている気がする。そのあたりも含めて、ブルゴーニュ地方のそんなに高くない赤ワインの凝ったやつ、といった雰囲気。
 
 口に含むと、いきなり革製品&ハムがどっと来て怯む。苦みもかなりのものだし、タンニンがどっかんどっかんと渋みをくれている。果実味はキューと恐ろしく酸っぱくて、これらがどれも味のスカラー量としては大きい。なんだこれは。荒くれ者じゃないか。もう口のなかでよだれがドバドバ出ちゃうほどしっかりとした酸味があって、これがまたちゃんと果実味と融合していてまずくない、というか美味い。でも荒くれ者ですよ、まったく洗練されていない。若いからか。この作り手がそうだからか。それとも、ジブリとはそういう産地なのか(いや違うと思う)。
 
 ※二日目は、小柄でとっつきにくいピノに転じた。昨日よりはまとまりが良い反面、構成がシュリンクした感はある。料理に合うワインではあった。
 

【1815】Sella e Mosca Vermentino di Gallura Superiore "Monteoro" 2016

 
セッラ・エ・モスカ ヴェルメンティーノ ディ ガッルーラ モンテオーロ
  
 このワインはサルディニア島の大手メーカー、セッラ・エ・モスカがつくっているヴェルメンティーノ種のワイン。「スペリオーレ」と銘打たれていて、イタリアワイン区分でも「DOCG」となっているので、いつものヴェルメンティーノよりはちょっといいかもしれない。
 
 まず色合い。シャンパンや、多くの安いシャルドネに比べれば黄金色っぽいけれども、その色彩が割と薄め。ヴェルメンティーノという品種は割と色が薄く、ときには緑色がかっていることもあるけれども、そのなかでは黄金色っぽさは濃いほうだと思う。わずかに気泡が入っているのは、このメーカーのヴェルメンティーノらしいところ。
 
 香りは、蜂蜜がほんのり匂うと同時に、ハーブのような、ひょっとしたらリースリング種と勘違いしそうなグリーン系の香りを伴っていて、うん、うまそう。梅っぽさもあるかもで、ここまでだと、ブラインドだったら辛口リースリングと答えてしまいそうな気がする。
 
 ところが、口に入れるとスカッ!と豪快な酸味が来る。こういうのは、サルディニア州やカンパーニャ州の白ワインじゃないとあんまりない。炭酸っぽいので、ワイン好きのなかにはこういうの敬遠する人もいそうだけど、これが目当てで買っているようなものだから個人的にはとてもいい。気泡のせいか、微炭酸めいたぷつぷつが感じられるけれども、これも個人的にはとてもいい。苦み、甘味もしっかりしていて、それでいてワインのボディは(白ワイン)としても軽い部類。高級感のあるワインではないけれども、美味くて疲れのとれる実のあるワインだと思う。うめえよ、うますぎる。
 
 ※翌日も路線は同じ。ただ、微炭酸がなくなったせいか豪快さがちょっと足りなくなった。普通のワインに近づいたともいえるけれども、初日のほうが面白かった。
 

【1814】Golan Heights Winery Galilee-Galilaa "Hermon" 2013

 
ゴランハイツワイナリー マウントヘルモン (赤)
 
 値段のわりにおいしい赤ワインを飲みたい、と思ったら今はこのイスラエルワインが一番。今日はそういう気分だったので懲りずにいただきます。
 
 まずコルク。おい、やけに短いぞ。早飲みとはいえ、こんなに短くて大丈夫なのか。で、グラスに注いでみると赤茶色がかった黒色・不透明な雰囲気のワインレッドが出てきた。香りは、初手ではクッキーとチョコレートと杉やヒノキの入浴剤、煙突系の匂いという感じ。これはボルドー系の品種構成なのかな?と思って英語で書かれた開設をみると、「カベルネソーヴィニヨン、メルローカベルネフラン、マルベック、プチヴェルド」と書かれている。ちなみにここのワインは裏ラベルが英語の時もあれば、ヘブライ語で書かれたものが回ってくることもある。ヘブライ語のラベルは読めないけれどもすごく格好良いので、それも楽しみのひとつ。
 
 で、口に含むと墨汁の香りが鼻をつきぬけてくる。そして染み渡るしっかりとした果実味、柔らかなタンニン。今飲んで幸せなスタイルで、難しいところがなく、果実味が豊かなのにそれだけで押してくるのでなく、落ち着き払ったミルキーな瞬間もある。こういうイージーなところはボルドー産の高価なワインとは対照的で、新しい産地の早飲み上等なワインならではといったところか。それでいて、ワインにはある程度の集中力と飲み疲れないだけのバリエーションぐらいはあるので、チープというほどチープでもない。うん、やはりこのメーカーのワインは信頼できる。そう思えるひとときだった。
 
 ※二日目はちょっと酸味が勝った感じで全体のスケール感もちいさくなってしまった。というより冷蔵庫で保管していたものを温度調整できないまま登板させてしまったのがいけなかったのだと思う。もっとあたたかい温度で挑むべきだった。
 

【1813】Gonzalez Byass Tio Pepe (N.V.)

ティオペペ ゴンザレス750ml
 ※リンク先はフルボトルです。
 
 出先で出していただいたワインがなんとシェリー。冬にシェリーはがぶがぶ飲めないので、出していただくぐらいがちょうどいい。飲んでみましょう。
 
 まず、見た目は白ワインにしては黄色っぽさの強い黄色透明色。ボンドのような強烈な匂いがあって、このシェリーらしさがある。
 
 口に運ぶと、ねとっとしたボンドっぽさにワインとは異質の、ワインだったら酸化しつくした残骸のような、とてもさっぱりとした飲み心地。求めるものが違うので、これはこれで気持ち良い。シャルドネなどにはないタイプのさっぱり感に絡みつくボンド感のなかに、コクがあるのが面白い。まったりとした、ちょっとクリーミーで口のなかに残るようなコクが、さっぱりした飲み心地と喧嘩しないで共存している。このコク感がとてもシェリーっぽくて嫌いになれない。どこでも手に入るのに、ちゃんとおいしいのは偉いことだと思う。