北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【1950】Chateau Canon la Gaffeliere 1990

 
シャトー・カノン・ラ・ギャフリエール [2007]
 ※リンク先はヴィンテージが異なります
 
 続いてボルドーサンテミリオンの品。こいつは凄まじい発酵食品の香りがして、赤味噌と言われるとそうだと思うほど。土とキノコ、腐葉土といった香りがぷんぷん。色は濃く、タンニンがしっかりしていて、果実味はあるけれども渋みと苦味が優勢でしり込みしてしまう。ただ、時間が経ってくると果実がふくらんできて、カンゾウリキュールみたいな薬っぽい甘さも伴うようになって穏やかな飲み物になってきた。なるほどこんな風に飲めるのか、とても複雑な有機物っぽさのあるボルドーのワインだった。
 
 

【1949】Chateau de Beaucastel Châteauneuf du Pape Rouge 1996 (マグナムボトル)

 
シャトー ボーカステル シャトーヌフ デュ パプ ルージュ 2016 ファイミーユ ペラン
 ※リンク先はヴィンテージが異なります、また通常のボトルです。
 
 次はボーカステルのシャトーヌフ、ただしマグナムボトル!もちろん色は濃い系で、ベーコンのような香りと化粧箱のような香りが強い。犬のような匂いとおっしゃってた人もいたけれども実際そんな感じもする。なんとも野性的なワインだ。
 
 口に運ぶと、ますますそういう雰囲気が強まる。苦味と甘味に強力なワインで、化粧箱の香りが身体に染み渡っていく。さすがという感じだけど、さすがに1995年の七色のポリフォニーには及ばない。こればかりはオフヴィンテージの影響はあるかも。

【1948】Coche Dury Bourgogne Pinot Noir 2005

 
コシュ・デュリ ブルゴーニュルージュ ピノ・ノワール 2013
 ※リンク先はヴィンテージが異なります
 
 続いては、平格ブルゴーニュとしてはおかしな値段になってしまったコシュ・デュリの赤ワイン。グラスに注いだ色はきれいなワインレッド、明るく輝くピノ・ノワールらしい見た目。香りは、フランボワーズにいくらか桐箱化粧箱の香りが伴うけれども押し付けがましくない。
 
 口に運ぶと、赤系果実が口のなかいっぱいに広がる。タンニンはすごく少なくて、ふんわりとした飲み心地、いくらでも飲ませてくれる気安さがある。このワインは二つのボトルの差がそこまで顕著ではなかったけれども二本目のほうが化粧箱っぽい香りが強くて、一本目のほうがアットホームでがぶがぶ飲める感じだった。いいワインだと思うけれども値段を考えると自分じゃ買えません。ハウスワインとして飲むなら、このワイン間違いなく最強なんだけど。
 

【1947】Louis Latour Corton Charlemagne Grand Cru 1988

 
ルイ・ラトゥール コルトン・シャルルマーニュ 2014
 ※リンク先はヴィンテージが異なります
 
 ルイ・ラトゥールのコルトン・シャルルマーニュはミネラルたっぷり系のシャルドネの頭領みたいなやつ。今回は、31年前につくられたやつがまたも二本構成。どうしてくれよう。

 まず一本目の見た目。オレンジ色、というよりへたなロゼみたいに朱色っぽさがある。わずかに濁っているかもしれない。香りは……米酢みたいなやつ。あまりはっきりと匂わない。口をつけると残念ビネガー系。ミネラルがだんだんなくなってまるっとしたワイン。おつまみのパテにはよく合う。しばらくすると、このワインは猛烈なピーナッツの風味と段ボールの香りを伴って面白い姿になってきた。色も、少し輝きを伴ってきたかもしれない。とはいえ、やはり衰弱したワインには違いない。
ところが二本目はミネラル!ミネラル健在、ミネラルがそびえていてそれでいてまろやか。余韻、どこまでも長い!めちゃめちゃリンゴもあり酸が残っている。二本目もピーナッツを伴っていて、しかもだんだんまろやかに。これはうまい。飲み頃のピークは過ぎているかもだけど旨いものには違いなかった。

【1946】Krug Vintage 1985

 
クリュグ ヴィンテージ 1995
 ※リンク先はヴィンテージが異なります
 
 高いシャンパンはキチンと寝かせる根気が必要で、つまり自分には不可能なジャンル。で、こういうのはよそでいただくに限る。
 
 まず一杯。かなりヤマブキ色をしている。というよりオレンジ。香りは、すごいつけもの、それも鉄砲漬けみたいなやつがぶわんと来る。ただそれだけではなく、そこに甘い白パン、りんごの香りがしっかりと伴っていて年季の入ったシャンパンとしては大層立派。後味には、その甘い白パンがきれいな酸を伴って果てしなく続く。遠くを見つめたくなる長い長い余韻が何度もくる。こりゃとんでもない、何もかも揃ったシャンパンだ。 で、二つ目のボトルの二杯目は、少しタンニンがあって、いわばリンゴの芯のような締まった印象がある。こちらも華やかだけど、一本目のほうが開ききった感じがある。 素晴らしかった。

【1945】Obikwa Cabernet Sauvignon 2018

 
オビクワ カベルネソーヴィニョン
 
 ヴイオニエが思ったよりも良かったので、じゃあもうひとつということで、グラスワインで飲めそうな赤ワインを。グラスワインとしてリストアップされていたのは、チリ産のカベルネソーヴィニヨンとイタリア産サンジョベーゼとオーストラリア産シラーズとこいつ。
 
 まず色。南アフリカカベルネだけあって、さすがに色が濃い。しかしカベルネというより南アフリカ、香りも味も第一に果実味で、安ボルドーとはまったく挙動が違う。果実味がしっかりしていて穏やかというよりやたらチャオチャオ挨拶してくる黒系果実。なんというか、節操なく魅力をあけっぴろげにしてくるワイン。とはいえ、そこはそれカベルネソーヴィニヨンだけあってか、底堅い。重たいワインではないんだけど、口のなかでバリトンが効いているような重心の低さを備えている。ここらへんで木の板みたいな風味も伴ってきた。ワイン不毛の地で飲むなら、こういうのでいいと思う。
 
 このお店、店員さんがそこまでワインに詳しい様子ではないし、ワインリストをみると、日本でいう高級ワインは扱っていなかった。だいたい高いほうから数えて、日本円で5000円ぐらいまでのラインナップで、だいたい値段は楽天価格の2倍弱ぐらい。気温を考えると、これぐらいでたぶんいいんだろうと思う。