北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【1985】Luigi Righetti "Capitel de Roari" Amarone della Valpolicella 2014

 
アマローネ デッラ ヴァルポリチェッラ クラシコ カピテル デ ロアリ 2014
 
 このワインは、感染騒動の渦中、イタリアはヴェネト州でお手頃価格のアマローネを作っている、ルイジ・リゲッティのちょっとだけ格上のアマローネ。今まではボルドー型のボトルに入っていたけれども、今回からボトルデザインがローヌの赤ワインやブルゴーニュの赤ワインみたく、なでがたになった。で、ボトルに立派な彫り物までされている。そのせいか、価格は以前よりも200円ほど上がってしまった。中身も立派になっているといいけどどうでしょう。
 
 まず見た目。アマローネは濃いワインだけど、やはりというか、真っ黒黒なワイン、ちょっと赤茶色がかってもいる。香りは、イチゴジャムを濃くしたような香りを少し梅っぽい方向に寄せたような。イチゴやサクランボを想像させるところと、たとえば……ルバーブとか思い出すようなところがある。そういったジャムの横にチョコレートがひとつ置かれているような。
 
 口に運んでみると、まず、檜の入浴剤みたいなフレーバーがぱっと広がり、消えていった。その次はベーコンっぽさを少し帯びたじゅくじゅくした果実味。アマローネは凝縮系ワインだけど、もう果実味が強烈にじゅくじゅくとしている。アマローネはイタリア語で苦いといった意味らしいけれど、こいつはちょっとビターチョコレートっぽさを帯びてはいるけれども、まっすぐな凝縮果実の主張のおかげか、ちょうどよいバランスと感じる。飲み進めると、コーヒーめいたコクと先述のベーコンが噛み合って、滋養豊かなワインという体裁になってくる。アマローネは瞑想のためのワインと言われたりしているけれど、ゆったりとした気持ちになってくるいいワインだ。それでいて、ローヌ産のワインたちに比べて堅苦しさや癖の強さが少なく、イタリアっぽいおおらかなワインだとも思う。凝ったワインを追求したいとか、ピノ・ノワールカベルネを理解したいとか思わないなら、これでいいんじゃないかなぁ。美味いです。
 
 ※二日目。鉄のように雄々しい香りと胡椒をはじめとするオリエンタルな香辛料の香りがばんばんに来て大変立派な風采になった。ローソク系のフレーバーもいい。[!]タグをつけるべきか迷ってぎりぎりつけなかったけれども、大変良いワインです。

【1984】Filipetti Pinot-Chardonnay Vino Spumante Brut (N.V.)

 ピノ シャルドネ スプマンテ ブリュット フィリペッティ NV
 
 北イタリアでは新型コロナウイルス感染症が大変なことになっている。これに対してできることは少ないけれども、ワイン飲みとしては当地のワインを優先的に買って消費するのが僅かな応援になるんじゃないかなとか思ったり。このワインは、ロンバルディア州でつくられている安いスプマンテシャルドネでできているとのことだけどアルコール度数は11.5%なので、あまりごついワインではないでしょう。
 
 まず見た目。うっすいレモン色のスプマンテで、泡は...少ないです。とっても泡が少ない。なんなのこれ、フリツァンテ並みじゃないの? 口をひらくと、キンキンとした金属感がある。それでいて酸味があまり強くなくて飲み心地がライト、八朔みたいな。これは一般的なスパークリングワインではだめなやつ、スプマンテとしては妥当なやつだ。イタリアが誇る安いスプマンテは、こういういい加減なつくりで十分いいというか、こういうの飲みながらご飯を食べるのがいいと思う。ただ、こいつはスプマンテにしてはちょっと高い。コスパという点では……おすすめできないかも。
 

【1983】McManis Family Vineyards Zinfandel 2018

 
マックマニス・ファミリー ジンファンデル
 
 このワインは価格の安いカリフォルニア産ジンファンデル。ただ、このジンファンデルを作っている「マックマニス ファミリー ワイナリー」は以前にすごく美味いピノ・グリージョを作っていた記憶がある。ログを確認すると、6年ほど前に記録が見つかった。今回は赤ワイン、はたしてどうだろう。
 
 見た目は非常に黒っぽくて透明度の低い、ごっつい赤紫色。室内灯をワイングラスごしに見透かそうとすると、真っ黒で明かりが見えないぐらいの不透明さ。ジンファンデルは濃い品種だけど、これほどとは。香りは、むんむんとした葡萄果実系+油性マジック。葡萄果実系のフレーバーに少しだけ、ほんの少しだけ生臭さが混じっているかもしれない。イチゴミルクみたいな甘ったるい雰囲気も伴っている。
 
 ゆっくりと試飲。ぐわっとこみあげてくるフレッシュジューシーな果実味に、まさにイチゴミルクみたいなあまーいミルキーなフレーバーが伴う。それでいて、飲み込む談になると舌の奥から喉にかけて、梅系みたいな酸味がぐわーっとこみあげてきて、ワインが酸で支えられていることがみてとれる。タンニンは感じられるけれども穏やか、ちょっと苦いところも+。甘さと果実味が強調された、想像どおりのジンファンデルであると同時に、苦みや酸味といったワインの構成要素にも目配りされたうれしいワインだと思う。やっぱりこのメーカーはアタリなんじゃないか。見かけたら、これからも積極的に買っていこうと思う。おすすめ。
 
 ※翌日は、少し甘味が落ちてフツーの赤ワインに近づいた。ワインが苦手な人を囲んで飲むなら絶対初日だと思う。でもいいワインには違いない。やっぱりおすすめ。
 

【1982】Cusumano Insolia 2018

 
クズマーノ インソリア 現行
 
 クズマーノの白ワインは爽やかで飲みやすいシチリアワイン!という感じなので疲れた日にはぴったり。そう思ってこれをあけてみることにした。インソリアという土着品種、そのベーシック品。
 
 グラスに注いでみると、ちょっと緑色がかった、意外にしっかりとした麦わら色。そう、麦わら色なのにほんのりグリーンが入っているようにも見える不思議。あれっこんなワインだったっけ? 少し気泡が混じっている。香りはほんのりメロンの香りに爽やかな台所洗剤系のシトラスな香りがはじける。ちょっとビワっぽくもあるかもしれない。うまそうだ。
 
 口に運んでみると、非常に爽やかなシトラス風味!すだちとか、そういうのを連想させる風味に、さきほどのメロンの香りやビワの香りが混じり合っている。個人的には、このメロンみたいなやつは新世界ワインにはあっていいけど、イタリアやフランスワインには期待しないので好きではないのだけど、これは好き好きの問題だと思う。爽やかで、うるおいがあって、酸も……あれっ酸が少し弱いのか、口に運ぶ段階では酸味があるんだけど後味まで酸が尾を引かないのは実際には酸が弱く、腰が少しフラフラしているのだと思う。温暖化の影響だろうか?
 

【1981】Meo Camuzet Fixin 1er Cru Clos de Chapitre 2009

 
メオ・カミュゼ・フィサン・プルミエ・クリュ クロ・デュ・シャピトル
 ※リンク先はヴィンテージが異なります
 
 このワインは、コート・ド・ニュイでは有名な作り手、メオ・カミュゼがフィサンでつくっている一級。2009年という強いヴィンテージの品なので10年以上待って、ようやく対峙してみることにした。
 
まず見た目は、かなり黒っぽくてピノ・ノワールとしても濃い。グラスをしげしげと眺めるとじつに黒々としている。香りはチョコレートっぽさが漂う。あと濃度の高そうな、糖度の高そうなサクランボ。ただし、猛烈に香りたつようなものではない。
 
 口に含むと、ちょっとビターでタンニンもばさっとした、割と硬派なピノ・ノワール。濃度が高いというか、口のなかでの充実感が高く、いいワインだなーと感じるけれども魅力たっぷりという感じではなく、なんだかつっけんどんな態度。コート・ド・ニュイの一級にしては愛想が良くないのか、それともこれから化けて華やかになっていくのか、とりあえず様子見。初日、二杯飲んでみたけれども値段にみあった内容とは言えなかった。二日目に期待したい。
 
 ※二日目は、初日に比べると干し草の山みたいな香り、ベーコンみたいな香りが強まったと感じる。田舎くさいワインだけど、フィサンという産地はそこに文句言ってはいけない産地だと思うし、これを堪能しなさい、ということかもしれない。
 

【1980】Klostor Qualitätswein Pinot Noir Pfalz 2017

 
クロスター ピノノワール ファルツ 2017
 
 このワインはドイツ製のピノ・ノワール。普通、こういうのはドイツ名でシュペートブルグンダーと名乗ってそうだけど、これはそうではない。産地はプファルツ、ドイツのなかではそんなに寒くなくフランスに近いっちゃ近いエリア。さてどうでしょう。
 
 まず色。すごく薄い。へたなロゼよりも薄く、ヴィンテージが弱いときのヴォルネみたいな淡い色をしている。香りは、タンニンを伴ったサクランボというような、アセロラ系とはちょっと趣の違う香りをしている。革製品っぽくもある。ブルゴーニュの平格赤ワインを思わせるところがある。
 
 口をつけると、果実味はフレッシュながら、甘みが控えめ、やたら濃いのでなく淡さがあって好感。上品な和菓子のようなフレーバーを伴っていて、ただしフレッシュ系ワインとしてのぴちぴちっとした感じは健在で、それでいて水っぽさとは無縁、飲み干す際にタンニンとあわさってコクが残るという優れた仕草をみせてくれる。グラスから蜂蜜のような香りがたちのぼる瞬間すらあって、クオリティが高そうな面構えだ。これ、いいんじゃないだろうか。ブルゴーニュ本家の高級ピノ・ノワールには勝てないとしても、このワインらしい面白さは確かにある。
 
 ※翌日もほとんど同じ展開。あっさりとした飲み心地で、それでいて雑という感じがしない。価格を考えるなら、優れた旧世界ピノ・ノワールだと思う。近くのお店で見かけたら試していいんじゃないだろうか。