北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【2067】Aubert et Fils Champagne Brut (N.V.)

 
vinica.me
 
グラスに注いでみると、うっすらとした黄金色の液体で、もうもうと泡がこみあげてくる。あまり赤銅色っぽくもなく、かといって薄レモン色すぎるでもなく。シャンパンのカラーとしては中庸だ。香りの第一印象は米ぬか。シャブリもかくやというような米ぬかフレーバーがこみあげてきて、北のシャルドネを予感させる。そこから、りんご系のあまい香りが追いかけてくる展開。
 
口につけると、炭酸が!はじける!いや、シャンパンなんだから当たり前なんだけど、炭酸がゴワゴワっと肌に迫ってきた。リンゴのエッセンスは芯付き、すなわち少し金属的で緊張感のある風味と苦みを伴っている。けれどもそれ以上のことはない。ただ、やっぱりシャンパンとしては低価格帯だけあって、その金属感が少しえぐいというか、モエやマムなら円満に進行するだろうところで"とうがたつ"部分がある。とはいえ、苦みや金属感のおかげで一定の飲みごたえを伴っているあたりはさすがシャンパーニュ……というか安スプマンテや安カヴァ、安クレマン等とは趣が違う。新世界でつくられたシャンパンっぽいスパークリングワインとの識別はできそうにないけど、、十分おいしくはあります。
 
 

【2066】Galilee Galilaa Golan Heights Winery "Yarden" Chardonnay 2018

 
【ゴラン ハイツ ワイナリー】 ヤルデン シャルドネ [2018]
  
このワインは、我が家では定番になっているイスラエルはゴランハイツワイナリーのシャルドネ、そのベーシック品。しょっちゅう飲んでいるつもりだったけど、一年以上間があいてしまっていた。今回の品は初稽古の2018年ヴィンテージ。例年どおりおいしいシャルドネだといいのだけど。
 
グラスに注いでみると、黄金色の白ワインが。ただ、思ったよりは色は薄め。ここのシャルドネは割と濃かった気がしたけれども今回はそれほどでもない。緑色っぽさすら帯びていて、みようによってはブルゴーニュの平格シャルドネみたいにもみえる。香りは、すがすがしい台所洗剤系の香りにくわえて、ショートケーキのような甘い香りがぷんぷんしてくる。クッキーというより、ケーキだ。
 
 口をつけると、ローソク風味とケーキのような甘い香りが。南国系シャルドネにありがちなフルーツポンチみたいな感覚もあるけれど、それを覆うように蜂蜜クッキー系の風味が迫ってきて、結果として、とてもリッチなシャルドネに仕上がっている。石灰岩系のミネラリーな感覚も健在で、ローソク風味とあわせて上位のシャルドネっぽさがあって良い。味わいまで含めると、今回はブルゴーニュっていうよりカリフォルニアのような飲み心地だけど、やっぱりこれはコスパの良いシャルドネ。おいしいリッチ系シャルドネです。
 
※二日目、ちょっと南国系すぎると感じてグラスをブルゴーニュグランクリュに変えてみた。すると、少ししゃっきりとした、クッキー風味も強い味わいと感じるようになり、グラスの影響ってやっぱりあるなと再確認した。
 

【2065】Torbreck GMS Old Vines Barossa Valley 2017


トルブレック GMS [2017]
 
見た目は、まずまず赤茶色のワインレッド。暗いけど透明感があっていい色をしている。香りは、黒系果実のジャムっぽい香りに加えて、化粧箱や化粧品系のなんだか上品な香りが伴っている。いい香りだ、ローヌの動物丸出しグルナッシュとは様子がちょっと違う。
 
口をつけると、初手はちょっと堅い感じがする。果実味と苦みがまだ溶け合っていない感じ。こういうのは、ワインの辻褄をあわせるのに少し時間がかかるだろうから、ゆっくり飲もう。時間が経ってくると、果実味と苦みがうまく合ってきて、と同時にグルナッシュらしい動物感がだんだん伴うようになってきた。ただ、このワインは毛むくじゃらというには遠くて澄ましたところを残している。それもまたいい。
 
※翌日は、果実味がますます強くなって、まるでフルーツ爆弾のよう。初日よりもやや単調だけど、初日と雰囲気が異なるのでこれはこれで楽しめた。でも、今回の抜栓は初日のほうが総合的な面白さがいろいろあって良かったと思う。
 

【2064】Strong Peyror 14% (N.V.)

 
ストロング ペイヨール 14%
 
グラスに注ぐと、赤茶けたワインレッド。黒々とはしているのだけど、どこか、茶色っぽさを連想させるものがあり、あまり青紫色っぽさがない。香りは、線香っぽいというより、ちょっとパラフィンみたいな香りがする。このワインはテンプラリージョ100%というけれど、同品種にありがちな醤油っぽさはあまり意識されない。
 
口に運ぶと、かなりしっかりとした苦みと上顎にはりつく渋みがわっと広がる。それらをおしてでも湧き上がってくる強烈な果実味。たしかに「ストロング」だ! そして口のなかに残る、冷蔵庫のなかにずっと置いていた古い醤油のような風味。やっぱり来た!へんな醤油来た! とっても強いテンプラリージョだ。名前に偽りなし。あとで判明したけど、このワインは500円ほどで手に入る安物だったらしい。その値段を考えればワイン然としていてよくできていると思う。古い醤油のような風味が嫌いでなければ、飲める。
 

【2063】Roederer Estate "Quartet" Brut (N.V.)

 
ロデレール エステート カルテット アンダーソン ヴァレー ブリュット
 
 このワインはシャンパン代替物をさがすプロセスで浮上した、カリフォルニア産の泡。ロデレールが手掛けているんだそうで。
 
 まず見た目。あまり濃くない、普通にレモン色~麦わら色のスパークリングワイン。香りは、メレンゲのお菓子、というより菓子パンのような甘くてふっくらとした香りにあおりんごの清々しさが差し込む。ちょっとザラメ糖っぽさもあるかもしれない。ともかく、まるでお菓子の権化のようだ。泡は非常に豊かで、水面には泡がたくさん浮かび上がっている。
 
 口をつけると、焼リンゴと青りんごが融合したような味わいと酸味、それからリンゴの芯を思わせる少しキンキンした風味と苦みの混合体がやってきた。そこに泡のビールめいた雰囲気が加わって飲み心地も良い。苦みとキンキンした感覚とリンゴ系果実が合わさることによって、シャンパン互換性の高い雰囲気ができあがっており、そこにクリーミーな舌触りまで加わってなかなか。スパークリングワインとして決して安いとは言えないけれども、できの悪いRMシャンパンは越えているとは思われた。
 

【2062】Cusumano "Disueri" Nero d'Avola 2018

 
ディズエーリ ネロ ダヴォラ 2019 クズマーノ

このワインは以前にも飲んでいて、価格を超えたクオリティをみせてくれて驚いた品。二度あることは三度あるを期待して、三度目の挑戦。
 
まず色。黒々と不透明なワインで、赤ワインのなかでは僅かに青紫側のカラースペクトルだと思う。香りは、干しブドウがそのまま香りになったような甘くて果実っぽい香りがブランデーっぽさや濡れた森の下草っぽさと一緒に漂ってくる。複雑ではないかもだけど、いい香りだ。
 
口をつけると、まろやかでいて後味に酸味が長く続く果実味、ばさばさのタンニン。酸味と干しブドウみたいな甘みをつなぐのは、タンニンとも地続きと感じられる苦み。この苦みを感じながら飲むと、ちょっとインキ―な雰囲気と思い込んでしまう瞬間もある。
 
※二日目。ベーコンや森のオーガニックな香りがぷんぷんする。苦みも健在、全体的に価格を思えばよくできたワインで今回も感心した。より上位のワインらしさがあり、それでいてお手頃ワインとしておすすめできそう。