北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【2121】Vigneti del Salento "I Muri" Puglia Negroamaro 2018

 
ヴィニエティ・デル・サレント  イ・ムーリ ネグロアマーロ
※リンク先はヴィンテージが異なるかもしれません
 
このワインは、イタリアはプーリア州でつくられている土着品種ネグロアマーロを用いたワイン。この品種じたいは、いわゆる「コスパの良い濃いワイン」をつくっているイメージがあって、カフェオレやコーヒーの風味を伴っていたような。今回は、まったく知らないメーカーの品に挑んでみることになった。購入した時の価格は1200円。
 
で、さっそくグラスへ。すると、意外にもあんこ・おしるこみたいな、ちょっと不透明感のある暗いワイン。赤ワインの色調をみておしるこを連想することは稀なので、こう自分が連想するのはちょっと珍しい。香りは、梅系の果実フレーバーに僅かに毎日香のような気配、それと酸味のありそうなコーヒーだ!ニスや木工ボンドのような、揮発性物質の香りも少しある。
 
口に運んでみると、豊かな果実味がわわーっと襲ってきて、数秒後にはちょっと牛乳の少ないカフェオレみたいな風味と、ざらついた口当たりが口のなかを更新していった。タンニンは結構あるけれども嫌な感じでもない。やがて、梅系果実風味とカフェオレ風味が融合してえもいわれぬ旨さとなりちょっとびっくり。後で知ったところでは、このワインはアブルッツォ州で旨安ワインをつくっているファルネーゼがプロデュースしているのだという。さすがの出来栄え。
 
※二日目は、酸味が立ってきてカフェオレみたいな風味が酸味のきいたコーヒーぐらいに変わった。初日のほうが豪華さがあったけど二日目の質実な感じも嫌いではない。いずれにせよ、デイリー価格のワインとしてはすこぶる上等。
 

【2120】Chateau de Pez Saint-Estephe 1998

 
シャトー ド ペズ [2017]
※リンク先はヴィンテージが異なります
 
最後はボルドーサンテステフの品を。色はさすがに濃い。黒々としていてライトを当てるとやっと向こう側が見えるぐらい。香りは、ピーマンがいる。ちょっと酔いが回っているせいか、その他は標準的なボルドーと感じる。
 
味は、ひとくちめからゆったりとした包容力がある。酸味は存在しているけれども、ミルキーでしっとりとした口当たり。甘さを伴いつつも控えめな存在感に胸をうたれる。ああ、ボルドーの赤を飲んで良かったと思わせる佇まい。高級ブルゴーニュの絢爛はないけれども、落ち着いていて、押し付けがましくなく、背筋が通ったこの感じ。やがてピーマンも気にならなくなり、むしろ香料系の香りが漂うようになってきた。それとタンニンが良い。かなりしっかりとしたタンニンなのだけど、キメが細かくて気持ち良いのだ、タンニンは少ないほうが良いことが多いけど、こいつはかえってそこが良いように思う。じっくりとした、飲みごたえのある一品だった。

【2119】Joseph Voillot Volnay 1er Les Fremiets 2006

 
Volnay 1er Les Fremiets Joseph Voillot 2016
※リンク先はヴィンテージが異なります
 
続いて知らないメーカーの2006年産フレミエと対峙。もう、これぐらいのオフヴィンテージのヴォルネを飲む機会はなかなかなくなってきた。
 
まず、色が明るい!朱色の輝く色調で、これぞヴォルネといった感じ。で、香りは少し夕張メロンがかっていて熟成が予感される。これも、化粧箱やら香料やらは弱め。
 
口に運ぶと、軽い!そして酸っぱい! 目が覚めるような酸っぱさで、舌の真ん中を酸味がキューっと滑り落ちていき、これが主な余韻を構成している。そこに赤系果実の果実味やふっくら感が伴うけれども、このワインの味の中心は間違いなく酸味。あまり高くないさくらんぼ、懐かしい昔のさくらんぼみたいでもある。そういえば、昔、もっとヴォルネが安かった頃のやっすい一級にはこんな酸っぱいやつがたくさんあった気がする。そういう意味でも懐かしさがこみ上げてきた。飲み進めると酸味に身体が馴染んできて、飲み心地がまろやかになってきた。こうなるといよいよヴォルネらしい、軽々としたワインになってくる。2006というヴィンテージを考えると、これはこういうワインでいいのだと思う。違うヴィンテージ、違う畑名だったら評価は変わってくるかも。

【2118】Meo Camuzet Fixin 2009

 
メオ・カミュゼ フィサン 2018
※リンク先はヴィンテージが異なります
 
今回のワインは、今までにも時々対峙したことのあるメオ・カミュゼのフィサン。このワインはとても飲み心地の良いものだったけれど、最近はこのあたりも価格が上がってきていてお買い得とは言えなくなった。今回は2009モノと対峙するチャンスがあった。
 
まず見た目。色合いはブルゴーニュとしては少し濃いかしれないが、このメーカーのものとして矛盾しない。香りは、豊かな果実の香りがあるけど派手さはない、たとえば化粧箱のようなタイプは少ない。
 
口に含むと香りを追いかけるような、あまり派手ではないじっとりとしたブルゴーニュ。甘さも控えめながらボリュームは豊かで、ゆったりしている。ただ、二口めには鮮やかな果実味が膨張し、甘味を伴うようになってきた。ボリュームは豊かなまま、そこに土くささが伴う。以前に飲んだ同じヴィンテージの一級に比べると、ストラクチャーはあちらのほうが複雑でこちらが単純だけど、活発なのはこちら。あちらは傷んでいたのだろうか。溌剌とした果実味と土っぽさ、適度な渋みでまた飲みたいと感じるできばえ。フィサンらしいワインであり、村名格として必要十分でもあり、良いと思った。
 
 

【2118】Ray Maurin Champagne Brut (N.V.)

 
シャンパン レ・モラン ブリュット キュヴェ・レゼルヴ
 
これは、なんだかえらく安い値段で売られていたシャンパーニュシャンパーニュとはいえ格安なのであんまり期待はできないかも。でもまあ、飲んでみる。
 
グラスに注ぐと、黄金色、いや、わずかに緑色がかっているかもしれない少し薄めの色合い。泡はコモコモと、ゆっくりわいてくる。まずまずの見た目だ。香りは、少し塩
っぽいのが特徴的。メレンゲとかリンゴの香りもあるのだけど、こいつは塩、または塩化物といった香りが混じっている。
 
口に運ぶと、酸味がきゅわーっと来るタイプ。リンゴとはいっても、これは外国の酸っぱくて小さいリンゴのようだ。苦みだけでなく、少しキンキンした金属感もあって、構成感はあるけれども円満なシャンパンというわけではない。安いシャンパンにありがちな、粗削りな感じがこのワインからは感じる。飲み進めても基調は変わらず、あまり飲みやすいと言えない状態が続いた。飲めない、というほどじゃないけど、これなら新世界の同価格帯のほうが付き合いやすいかもしれない。好んで飲まなければならないほどのものではないと思った。
 

【2117】Joseph Drouhin Bourgogne Aligote 2018

 
メゾン ジョセフ・ドルーアン アリゴテ 現行VT
 
最近、ワインを「身体にやさしい日常酒」カテゴリと「価格とクオリティのバランスに優れた中堅酒」カテゴリ、それから「貴重品」カテゴリにわけて考えるようになり、アリゴテという品種は「身体にやさしい日常酒」の候補として有望じゃないかと思っていたりする。新世界のシャルドネソーヴィニョン・ブランに比べて押し出しは弱いけれど、そういう押し出しの弱いワインのほうが日常酒としての適性が高い気がするからだ。
 
まず見た目。少し麦わら色をした、あまり濃くない色合い。そして香りは少しオイリーな台所洗剤系の芳香がかすかによぎる。強烈な香りを押し付けてくるでなく、これぐらいでいいと思う。
 
口に含むと、八朔系の軽い酸味と果実味、そして苦み。それらも押しつけがましくなく非常に軽いところでバランスがとれている。酸味や苦みがそんなに強いワインではなく、鯛のソテーや根菜スープとも行儀良く付き合ってくれている。すごみのあるワインではないかもしれないけれど、気持ちの良いワインで期待どおりの内容だった。