北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【2147】Chateau Pesquie "Terrasses" Rouge 2017

 
シャトーペスキエ テラス ルージュ
※リンク先は現行ヴィンテージです
 
このワインは、先日飲んだ白ワインがなかなか良かったローヌ地方のペスキエという作り手の赤ワイン。ペスキエはうちでは世話になりまくっているジゴンダス地域の少し南でワインを作っているとのこと。こいつもグルナッシュとシラーを混ぜて作った、ローヌ地方っぽいつくり。はたしてどんなワインなのか。
 
まず色。濃いといえば濃いけれども透明度は保たれていて、水面がピチピチと弾けて活きが良さそう。香りは、ベーコンやハムや肉の香りはそれほど強くなくて、甘さとお線香っぽさが中心、まず親しみやすい感じでくせが少ない。
 
口に運ぶと、フレンドリーな甘さがジャムっぽさを伴いながら来た。果実味がはちきれそうだ。ベーコンやハムや肉っぽさはほとんど感じられない。タンニンは大柄、甘さも果実味も大柄でごつく感じる。でも飲み進めるとだんだんスルスルと飲めるようになって付き合いやすい。香りにちょっと香水っぽさが混じるのも立派。高級ワインほどの音域の広さは感じられないけれども、この価格・この地域でできるだけ気持ち良いワインを仕上げようとしたらこうなるんじゃないかと思うような付き合いやすさがある。エルミタージュやシャトーヌフといった有名エリアはもちろん、ジゴンダスですらない地域でワインを作っているだけに、エリア名に依存しただらしないワインづくりをしていない感があって好感が持てる。この作り手のワインは、もうちょっと色々試してみようと思う。
 
※翌日は、昨日よりも雄々しく、少し飲みにくいけれども逞しい感じのワインになった。ローヌらしさという点では、今日のほうがローヌらしくある。二日目の顔もなかなかだ。
 

【2146】Gavioli Lambrusco Grasparossa di Castelvetro Amabile (N.V.)

 
ランブルスコ ガヴィオリ・ランブルスコ・グラスパロッサ・ディ・カステルヴェトロ・アマービレ
 
このワインは、ガヴィオリというメーカーが作っているランブルスコ。このメーカーのランブルスコとは以前に対戦成績があって、このときは「気軽に飲めるつくりだけどイマイチ」という評価だった。じゃあ、なぜこれを買ったかといえば、当時の品が辛口だったのに対しこちらは中甘口(アマビーレ)であること、それと品種がソルバーラ種でなくグラスパロッサ種であること。ランブルスコは、今までソルバーラ種はだいたい負けでグラスパロッサ種はだいたい勝ちだった。果たしてこいつはどうだろうか。
 
まず色。カシス色だと言えるけれども、あまり濃くない。グラスの下のほうはブルゴーニュ赤の一番薄いやつぐらいの色合いだ。泡がたくさん立ち上っていて、ピンク色の泡の膜を水面につくっている。香りは……あまりよくわからない。
 
口に運ぶと、甘酸っぱい果実味が口のなかいっぱいに広がる。中甘口のランブルスコらしいブルーベリーヨーグルト系の風味もしっかり漂っていてらしい感じがする。微炭酸も手伝って、とても飲みやすい。

【2145】Palvin Campagna Rosso IGP (N.V.)

 
カンパーニア ロッソ/フェデリチャーネ
 
このワインは、以前に飲んだ白ワインがぜんぜんダメだったメーカーの赤ワイン。あのときは弁護のしようがない、良くない風味があった。今回はその赤ワイン版で、どきどきしている。知らないメーカーの赤白ワインを同時に買うなんてすべきじゃなかった。うーん、こわい消化試合だ。でも抜栓。
 
まず見た目。まずまず黒々と帆透明で、ややカラースペクトルは青に近い。というか赤黒いワインというには「紫色」の色彩が混じっているとみえる。香りは、カベルネソーヴィニヨンから煙突っぽい香りを除去したような雰囲気(このとき、イカを焼くにおいが混じってきたのでここからはわからない)。
 
口に含むとまずまず穏やかな口当たりで、酸味ほどほど、タンニンやさしめで飲み干しやすい。同名のBianco(白ワイン)が変な風味がしたのに比べると、こいつは穏当な風味でホッとした。後味に、ほんのりとした甘味があるのも助かる。あとはこのやさしい感じがどこまで続くか、だ。
 
ところが1時間もしないうちに、ワインから変なにおいがするようになった。肯定的にみれば、土臭さ、野良臭さともとれるのだけど、何か引っかかるような、合成樹脂のような奇妙なにおいを伴っている。このときの赤ワインの生臭さを思い出すような気配がある。このワイン、もしかして変なワインコンサルの入れ知恵でいじくりまわされているのではないだろうか、などと疑いたくなるような、へんなやつ。口当たりは穏やかで、だいたいは飲みやすいんだけど、この変なにおいがどうも好きになれない。半分以上残して明日へ。
 
※二日目。あの変なにおいがだいたい落ちて、もっと普通の赤ワインがあらわになってきた。こうなると、飲みやすく扱いやすいデイリー赤ワインになる。が、初日のあれがどうにも受け入れがたいのでリピートはなし。
 

【2144】Francois Carillon Puligny-Montrachet 1er Cru Les Folaieres 2013

フランソワ・カリヨン ピュリニ一級 レ・フォライテール 2013
※リンク先はヴィンテージが異なります
 
このワインは、2013年に作られたピュリニーモンラッシェの一級。うちには2013年のブルゴーニュ白がいくつかあって、そのなかでは飲み頃っぽいのであけてみることにした。
 
まず見た目。かなり黄色っぽい。ピュリニーモンラッシェとして、こんなに黄色っぽいワインってあるのか。僅かに緑色っぽさがあるかもしれない。香りは、ほんのりほんわか、クッキーよりもミネラルと木の枝を引きちぎった時の精気、それとこれはショートケーキだ!ショートケーキみたいな香りがワインから漂ってくる。ミネラル+ショートケーキでとてもいい。ピュリニーモンラッシェってこんなにケーキっぽかったけ。
 
口に含むと、すらりとした酸味が口のなかにいい姿勢のまま入ってきた! まるでモデルがカメラの前でポーズをとったかのように端正。酸味に刺々しさが無く、適度に柑橘系甘味を伴っていて、ミネラリーな大理石系のフレーバーも帯びている。端正なのに包容力・温かみがあり、余韻もかなり長い。特級ほどの威圧感はないけれども、存在感と総合力ではとても優れたワインだ。
 
……などと思っていたのだけど、中盤以降、じりじりと黄金味と個人的に呼んでいる、ムルソーや特級モンラッシェあたりが持っている黄金味が来た!(トートロジー) それか、コシュ・デュリのぜんぜん平格っぽくないブルゴーニュ・ブランに似た感じというか。加えてこのワイン、精気が上がり調子で黄金味と相まって集中力と情熱がどんどん高まっていく。まさか、こんなに凄いワインだったとは。価格を考えれば優れた内容で感心させられた。いや、購入時の価格と現在の相場もまた違うので単純比較はできないのだけど、特に総合力と後半の伸びに関して、並みのシャルドネではこのワインに対抗できるとは思えない。家族でボトルを独り占めして大正解なワインだ。
 
※二日目も黄金味は健在で、至福のシャルドネ感が残っていた。
 

【2143】Minini "Terre Avare" Primitivo di Manduria 2016

 
ミニーニ テッレ アヴァーレ ネロ ディ トロイア IGT プーリア 2018
※リンク先はヴィンテージが異なります
 
このワインはイタリア南部でつくられたプリミティーボ種のワイン。この品種はカリフォルニアでいえばジンファンデルで、大当たりは珍しいかわりに大外れも少ないと記憶している。アルコール度数は14%と高め。
 
まずグラスにうつすと非常に透明度の低い、赤茶けた黒っぽいワインが登場。ボルドーのワインや新世界のワインと比べても黒々している度合いが高い。香りを確かめると、甘くてふんわりした、いかにもフレンドリーな香りが漂ってくる。その奥に、梅系線香の香りが僅かに感じられるけれど、相対的には目立たない。
 
口に運ぶと、ほっこりとした甘みと僅かに爽やかさを伴った酸味が口腔をまっすぐに降りてくる。ほっこりと甘いのだけど、だからといって酸味が弱いわけではなく、爽やかさを伴った酸味がかなり強い。ここでもボルドーの赤ワインとは趣が違っていて、とてもフレッシュで、なんというかピチピチ弾けるような元気さがある。そのぶん抑制をきかせた落ち着きみたいなものはなく、活きの良さが身上のワインという感じ。イタリア産のお手頃赤ワインとしてはよくできているけど、酸味がそこそこ強いのでプリミティーボやジンファンデルに酸味の少なさを期待する人には向かない。酸味があること、食事と一緒にやることを身上とするならこれはいいと思う。
 
※二日目。二日目はもっとほっこりと果実の甘味の強いワインになり、プリミティーボらしい雰囲気になった。ただ、これは短所というより長所というべきだけど鉄っぽさや雄々しさがせりあがっていて、いわゆる男性的な雰囲気にもなってきた。
 
※三日目。豊かな果実味とますます強まる雄々しさにびっくり。香りも、森の下草みたいな雰囲気になっている。いわゆる高級ワインのような立派さはないけれども、工業製品ではなく農産品であることを強く意識させる展開。これはいい感じだ。
 

【2142】Charles de Marques Champagne Brut (N.V.)

 
シャルル ド マルケス (N.V.)
 
このワインは、詰め合わせセットに入っていた見知らぬシャンパン。ワインボトルのラベルというか装飾がやけに立派だけど、装飾が立派だから中身も立派とは限らないのがワインというもの。こいつはどんなシャンパンなのやら。
 
まず見た目。かなり黄色っぽい。そして赤みがあまり入っていない。ということはシャルドネがそれなり多いタイプなんかな。香りは微弱。あまりわからない。うーん大丈夫かなこれ。
 
口に運ぶと、かなりキーン!とした金属感、または緊張感を伴ったやつ。酸味よりも苦み優位、または金属感優位なシャンパン。悪い品質のカヴァなどに比べればまだバランスがとれているというか、黄色柑橘系の果実味が救いになっているけど、もう少し金属感や苦みが優位だったら辛かったと思う。そのぎりぎりのところで成り立っている。とはいえ苦みや金属感が悪い風にばかり働いているわけでもなく、背筋としては機能している。平日にいただく泡物としては、これぐらいのクラスでいいです。