北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【2222】Costa Mediana Amarone della Valpolicella 2017

 
コスタメディアーナ アマローネ デッラ ヴァルポリチェッラ 2017 モンド デル ヴィーノ

このワインは、かなり安い値段で購入できたアマローネ。価格的にはとうていアマローネではなく、その下位互換であるリパッソやヴァルポリチェッラクラスの価格。こんなのでアマローネしているんだろうか。
 
まず見た目。まずまず来い赤黒ワインで透明度は低い。これはアマローネといってもおかしくない。で、香りは……酒くさく、なんだか酸っぱさがある。きつい。
 
口に運ぶと、初手はこの酸っぱさに苦さが伴う、あまり心地よいとは言えない第一印象。うっへすっぱ。でもってアマローネの苦みとがぐしゃぐしゃに組み合わさってなんとも飲みづらい飲み物になっている。これでもう少しベーコンみたいな香りがしたら南仏系のワインと間違えそうだ。しかし飲み慣れてくると、この酸っぱさがアタックではなく後味として活きてきて美味さの一部となってくる。でもって完全とはいえないけれどチョコレートっぽさを伴うようになり、どうにか濃系赤ワインとしてまとまってきた。荒っぽくて少しまとまりが弱い点を除けば、まあ、アマローネしてると思う。
 
※二日目。二日目になると、こじんまりとした感じにまとまって飲みやすくなった。チョコレートらしさが全面に出て、適度に森の切り株っぽい香りもある。付き合いやすさでいったらこっち。
 

【2221】Planeta La Segreta Rosso 2018

 
プラネタ ラ・セグレタ ロッソ 2018
 
このワインは、シチリアの大手メーカー、プラネタが手掛けているお値段の安い赤ワイン。プラネタというと、彗星の描かれた「コメータ」という高価な白ワインが印象的だったけど、最近はあれをあまり見かけなくなった。かわりに、シラーだのカベルネフランだの、赤ワインの品種を見かけることが多い。ところがプラネタは白ワインしか飲んだことがなく、赤ワインはこれがデビュー。さてどんなワインなんだろう。
 
まず見た目。これは青紫がかるでもオレンジ-レンガ色がかるでもなく、普通の赤ワイン色をしている。香りは、これ普通のボルドーブレンドじゃない感じがする。水飴みたいなあまーい香りと杉系入浴剤の香りが混じっていて、妙だ。いや、これはシチリアのIGTワインだから何をどうしたっておかしいわけではないのだけど。
 
口に含むと、プラムがかった果実味が大爆発する。すごい、プラム濃縮だ。のどの奥にかけて、酸っぱい感じが張り付くよう。これ絶対なんかおかしい。そう思って販売サイトをみてみると、なんと、メインのぶどう品種はシチリア土着のネロダヴォラで、そこにメルローやらシラーやらをブレンドしているとのこと。しかもこれ、なんでもアリのIGTワインでなくシチリアDOCという、多少は歴史と関係のある造りなのだとか。今日は、カベルネとかメルローの多い落ち着いたワインが欲しかったので、この、すんごく酸っぱいヤンチャ&新鮮なワインにはびっくりしてしまったけど、いやいや、悪いものじゃあない。森の下草のような、それか畳のような香りがこのワインには混入していて、強いプラム風味と相まって和風だったりする。
 

【2220】Primosic Ribolla Gialla 2018

 
リボッラ ジャッラ 2018 プリモシッチ

このワインは、イタリア北東部のフリウリ-ヴェネチア・ジューリア州でつくられている土着品種リボッラジャッラのもの。この品種はしばらくご無沙汰していたので、久しぶりにぐいーと飲んでみたくなったのだった。ところが昔よく飲んでいた銘柄は手に入らず、見知らぬこれが手許に。どんなワインだろう。
 
まず見た目。結構黄金色している。見たところ、村名格のムルソーみたいな色合いか、それより少し照りのあるような。においを確認すると、掘ったばかりのネギのような香りがする。シャルドネの香りではない。
 
口に含むと、なんと、ムルソーもかくやというナッツな香りがふわーっと広がる。それでいて、ネギ。ネギがいるからムルソーではない。酸味の性質はやはりシャルドネ寄りではなく、すーすーする成分を伴っている。苦みは強くも弱くもない。少し経つと、蜂蜜をつけて炒ったようなナッツの香りとハーブの香りがあってますます楽しいワインになってきた。いいんじゃないかと思う。
 
※翌日は、少し小柄なワインになってしまったけれども、ナッツとネギの効いた基調は変わらず、とても飲み心地が良い。鮭料理と良い相性を示しているのは、このワインが結構こってりしているおかげじゃないかと思う。翌日も良好、リボッラ・ジャッラという品種の良さを存分に楽しめるひとときだった。
 

【2219】Crimson Ranch California Cabernet Sauvignon 2018

 
クリムゾン ランチ ピノ ノワール 2018
 
このワインは、カリフォルニアでつくられたという、あまり値段の高くないカベルネソーヴィニヨン。値段の高くないカベルネソーヴィニヨンって、ほっこりしたい時に飲みたくなる印象があり、カリフォルニア産のこれも、そういうワインであって欲しい。そういう気分を背景にして抜栓した。
 
まず見た目。真っ黒で光を透過しないようなワインでなく、そこそこ透過性があり、光にかざせば暗いガーネットのように輝く色合い。香りは、初手から杉の木やおしるこを思わせる香りを愛想よく振りまいてくれている。杉の木が転じてミントの葉のように香ることだってある。
 
口に運ぶと、やや梅酸っぱさの強い果実味あふれる、情熱的な第一印象。口に含むと杉の木が今度は埃や煙突っぽい風味に変わるのはまあ悪い感じはしない。ただ、情熱はあっても、鎮静力は乏しい。舌の上ではコーヒーのようなコクも感じられ、そうした点も含めて、イタリア南部のアリアニコの亜種、といった風情。安い価格帯で鎮静的な赤ワインを飲むなら、やっぱりフランス産がいいんだろうか。赤ワインに鎮静なんて求めない人にはこれはぜんぜん悪くないワインだと思うけど、おれは、今日は鎮静力が欲しかったのだった。
 
※翌日も、あまり落ち着いたワインではなく、陽気といえば陽気だったかもしれない。
 

【2218】Marcel Lapierre Cuvee MM XIV 2014

 
並行品MMXIX:[2019] モルゴン キュヴェ マルセル・ラピエール
※リンク先は並行品、また、ヴィンテージが異なります
 
このワインは、マルセル・ラピエールの作っているモルゴン、そのなかでもなんか偉そうな名前がついている品。でもって樹脂で蝋栓がしてある。ガメイで作られたクリュ・ボジョレーとしては屈指の品と期待して、さあ抜栓。冷蔵庫に入っていたのでちょっと間を置いて。
 
まず見た目。グラスに注ぐと、透過性の高い、ピノ・ノワールとあまり変わらない雰囲気の液体が出てきた。並べてみない限り、これがガメイかピノ・ノワールかはたぶんわからないだろう。香りは、ポートワインからアルコール臭を飛ばしたような、甘くて少し漆喰がかった香りがぷんぷんと匂い立ってくる。そして土か粘土のような香り。アルカリ土類金属、と昔なら譬えたいたやつ。
 
口に含むと、漆喰&べっこう飴の甘さが初手でワッと来て、そこからワインの酸味と健在な果実味が怒涛のように押し寄せ、口腔を満たす。これまで飲んできたモルゴンと比較すると、土っぽさより、この、ポートワインっぽさのほうが前に立っていて、後味の段にアルカリ土類金属めいた土っぽさ・粘土っぽさが尾を引く。飲み進めると、そうした風味が次第に強まり、飴っぽさや酸味とあわさってうまい具合に調和する。美味い。でもって香りのトーンがやっぱり高い。少し方向性は違うけど、当たりの時のバルバレスコのようだ。ガメイでできているけど、典雅な感じがある。
 
※翌日は、森の下草の風味とアルカリ土類金属っぽさが全体を支える展開、昨日ほど自己主張するのでなく、穏やかに飲ませてくれる。これもいいな。ただ、現在のこのワインは相当な値段になっているので、現在の購入価格では割に合わない感じがする。昔の、5000円以下で買えた頃の前提でいえば十分にペイした品だと思う。
 

【2217】Joseph Gruss et fils Cremant d'Alsace Extra-Brut (N.V.)

 
クレマン ダルザス エクストラ ブリュット NV ジョセフ グリュス エ フィス
 
このワインは、アルザス地方でつくられているクレマン・ダルザスに位置付けられるスパークリングワイン。このクレマン(地方名)のスパークリングワインはシャンパンよりも軽く、それでいて軽すぎず、地方色も感じられる品もあるのでときどきチャレンジしたくなる。夏も終わりを迎えたので、あけてしまうことにした。
 
まず見た目。やや白っぽいスパークリングワインだけど、アルザス産スパークリングワインとしてはそれほどおかしくない。香りは、すだちのような香りが一瞬よぎったけれどもそれほどはっきりしなかった。
 
口をつけると、青りんごジュースといいたくなるほど濃厚な青りんご風味。もちろん泡もあってシュワシュワしているんだけど、なんだか液体にねばりが感じられ、ジュース!っぽさがある。後味は、口のなかいっぱいに青りんご感が広がり、苦みとアルコールみを忘れるとジュースと勘違いしてしまうかも。じゃあ、シードルっぽい? いや、シードルってもっと刺々しいイメージがある。これはもっとグリセリンの利いた飲み物だ。うん、美味い。後半になると、ややスパークリングワイン然としてくるので、これも大人数で短時間に飲んでしまうのがいいのかもしれない。とはいえ、スパークリングワイン然としてきてさほど困るものでもない。基本的に最後まで美味かった。