北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【2261】Graham Beck Brut (N.V.)

 
グラハム ベック ブリュット
 
このワインは、我が家では便利スパークリングワインとして定着しているグラハムベック。価格も穏当、品質は安シャンパンより上という、ありがたい存在。年始ということで、今回もこいつにお出ましいただいた。前回は半年ほど前に登板している。
 
色合いはやや薄目ながら黄色っぽさがしっかりしていて、泡立ち良く、ふっくらとしたイースト系の香りに僅かによぎる漬物。うんうん、まるでシャンパンみたいだ。
 
口に運ぶと、のどごし、舌ざわりどちらも十分。酸味がきいているだけでなく、苦みもしっかりしていて、爽やかなだけのスパークリングワインとは一線を画している。いやー、シャンパン互換としては十分、おうちごはんともよく合ってくれていた。
 

【2260】Villa Annaberta "Canaja" Rosso Verona 2014

 
カナヤ 2014 CANAJA 赤ワイン
 
このワインは、安アマローネを作っているヴェネトのメーカーの品。ボトルのデザインから、アマローネ-ヴァルポリチェッラ系のワインとみたし、セパージュ(品種構成)をみてもだいたいそれっぽいのだけど、リンク先を読むと、なんとメルローが混ぜてあって、たぶんそのせいで「ちょっとスパイシー」とある。実際のところ、これってどんなワインだろう。アマローネ系と想定し、抜栓して2時間ほど置いてからグラスに注いでみた。
 
まず色。赤黒い感じのワインレッドで、少し茶色がかっているところがある。それほど不透明な感じでもない。香りは、チョコとバニラアイスみたいな香りがグラスからもうもうと立ち上ってくる。おがくずのような香りが少し混じっているように感じられるけれども、これはぶどう&ワインの加工のプロセスでついたものなんだろうか。
 
口に運んでみると、ジャムみたいな甘味にしっかりとした苦みがついてきて、なるほどアマローネの系譜という実感がある。が、ちょっとこれはコーヒーみたいな風味が強くて、同じイタリアでも南イタリアの濃い口赤ワイン、ネグロアマーロに近しい印象かも。とはいえ、最近飲んだこの品などとは明確に違う。特に梅系の風味がこいつはあまり感じられず、もっとチョコが優勢な飲み物だからだ。苦みもコーヒー系よりビターチョコレート系といったほうが実態に合っているかもしれない。で、ちょっとスパイシーかと言われると……うーん……言われてみればそうかも、という気がするけど積極的にそうだとはわからない。どうなんでしょうね。
 
※翌日は、もう少し革の香りが強まった感じで、ちょっと田舎っぽい雰囲気になった。スパイシーっぽさは二日目もあまりはっきりしない。

【2259】Golan Heights Winery Yarden "Katzrin" Chardonnay 2017

 
【ゴラン ハイツ ワイナリー】 ヤルデン カツリン シャルドネ [2019]
※リンク先はヴィンテージが異なります。
 
このワインは、イスラエルで美味いワインをつくっている、ゴランハイツワイナリーのフラグシップシャルドネ。これを、前日に抜栓したエチエンヌ・ソゼの名品と比較してみることにした。
 
まず見た目。シャルドネとしてはかなり濃くて、黄金色をしている。ちなみに、昨日のエチエンヌ・ソゼのピュリニーモンラッシェ一級と比較すると、なんとあちらのほうが色が濃く、オレンジ色っぽい(つまり、あれは完全に熟しているわけだ)。香りは、こちらも大理石の香りがかなりあって、みかんの缶詰の液体の香りがばんばん来る。つまりこちらのほうが南国シャルドネの風情がある。
 
口に運ぶと蜂蜜クッキーの味が爆発的に広がり、ヤルデンのシャルドネ三兄弟のなかでも濃度はこれが一番じゃないかというような。他のヤルデンのシャルドネと比較した時、この品はミネラルの風味がより大理石に近い、いわばブルゴーニュ的だと感じる。そして等号で結んでいいのかわからないけれども、このワイン、簡易ムルソーとでもいうべき輝きがあって、舌の上で転がせるバターのようなコクもおいしく、いやあ、やっぱりこれもいいワインだ。ソゼの品と比較した時、ある程度は高級シャルドネとしての共通点があり、ある程度は方向性が異なっていて、前回よりもこいつはよくできたワインだと感じる。ピュリニーモンラッシェを飲んだ後に飲んでも魅力は色あせず、繊細なあやこそ劣るにせよ、リッチさで健在さをみせてくれた。あちらとの価格差を考えると、これも立派なシャルドネだし、こちらにはわかりやすさがある。
 
※翌日も、ムルソーもかくやという美味さで満足のいく内容だった。このメーカーの下位シャルドネだったら石灰岩やラムネのニュアンスになりそうなところが、こいつはやっぱりブルゴーニュに雰囲気が近い。もちろん石灰岩やラムネっぽい品もいいのだけど、高級シャルドネの一般基準でいけば、やっぱりこのカツリンが一枚上手。
 

【2258】Etienne Sauzet Puligny-Montrachet 1er Cru la Garenne 2010

 

[2018] ピュリニー モンラッシェ 1級畑 ラ ガレンヌ エチエンヌ ソゼ

※リンク先はヴィンテージが異なります
 
このワインは、我が家のブルゴーニュ白の主力であるエチエンヌ・ソゼが作っている最も安いピュリニーモンラッシェ一級、ガレンヌ。この一級には過去に何度も世話になっていて、毎回、楽しみにさせてもらっている。今回は購入して7年ほど自宅で寝かした2010年モノをやってみることにした。

まずボトル。このボトルは我が家で寝かせ続けている間に、少しだけかびがついている。でもってコルクの状態、液面はバッチリ。とても良いコンディションにみえる。
 
グラスに注いでみると、山吹色の、すんごく熟成したシャルドネって感じの見た目だ。とてもきれいではある。香りは、ローソクのようなアルコール香の向こうから、なんと、カスタードやナッツ、それから杏のような香りがぶわーっと舞い上がってきて素晴らしい。これは、高級なシャルドネの香りがするぞ!
 
口をつけてみると、誠に残念ながら、僅かにシェリーのような風味があり、熟成のピークを過ぎたかもしれない印象も。ただ、ミネラルの骨格はたいしたもので、バッチリ立体的、甘みと爽やかさもそれなり生きている。それと大理石の香りがじわじわーっと高まってくるのもまたいい。でもって、ミネラルの立体感が時折、塩分のように感じられることがあるのもいい。いや、やっぱりこれはいいワインですよ。たまんねえなあ。飲み進めても、梅っぽい爽やかさが炸裂したり、ムルソーっぽいこってりだったり、とにかく表情が豊かだ。思わず、半分より多く飲んでしまった。
 
※翌日、新たに開けた、イスラエルの名手、ゴランハイツワイナリーのシャルドネの最上級品と比較した。色合いは、黄金色のあちらを圧して、こちらがオレンジがかった熟成を誇っている。二日目はマッシュルームの香りが伴うようになり、大地っぽさが増し、ヤルデンと比較してもどっしりとした香りで驚いた。大理石の香りも、こちらのほうが明確、さわやかなのに風味はこちらが上回る。すごいぞガレンヌ、最後までブルゴーニュ白の一級としてのすごみをみせてくれた。
 

【2257】Domaine Serrigny Bourgogne Pinot Noir 2017

 
ドメーヌ・セリニー ブルゴーニュ・ピノ・ノワール 2017

 
このワインは、聞いたこともないセリニという作り手の平格ブルゴーニュ。特に期待はしていない、まあいくらかおいしかったらいいなと思いつつの抜栓。
 
まずコルクがくずコルク。これ自体は珍しくもない。で、ボトル。なんだかこのボトル、太くて重いぞ? コルクは慎み深いけど、ボトルはすごい偉そう。で、色はまあまあ濃くて不透明、香りは、赤系か黒系かわかんないけど果実の香りに、森の下草みたいなオーガニックな香りが付け加わってなかなか立派。うまそうだ。
 
口をつけると……ん!酸っぱい!ぎょえー!こいつ酸っぱいぞー!この酸っぱさで思い出すのは、2007年とか2008年のブルゴーニュ赤だ。あの、やけに酸っぱかったブルゴーニュ赤を想像させるような、一発で目が醒めるような酸味が襲ってきた。いや、酸味が好きなのでこういうのは歓迎します。でもって、森の香りに加えて、化粧品みたいな上品な香りも伴っていて、いまどきのブルゴーニュ赤らしい雰囲気もある。でもって、飲み始めてから数分程度であの強烈な酸味が他の風味と調和してきて、背筋のしゃんとした、少し小柄ながらまとまりの良いブルゴーニュ赤へと変貌してきた。価格帯からいって、こいつのライバルはジョセフ・ドルーアンあたりのブルゴーニュ赤っぽいけれども、良い勝負をしているんじゃないかと思う。
  
 

【2256】Vigneti del Salento "I Muri" Puglia Negroamaro 2019

 
イ ムーリ ネグロアマーロ 2019 ヴィニエティ デル サレント
 
このワインは、ファルネーゼが手掛けている南イタリアのネグロアマーロ。約1年前に対峙したこともあり、そのときは価格以上の優れモノだったとのことだった。今回はどうだろう。
 
色合いは、赤茶色のかなり濃い赤ワイン。香りは、果実っぽいやつが優勢で思ったよりもふっくらとしている。で、しばらく香りを確認していると、だんだんお線香のような香りが優勢になってくる。
 
口をつけると、香りにふさわしい、かなりくっきりとした果実味がぱーっと口のなかに広がった。でもってジューシー、じゅくじゅくと飲める感じ。ネグロアマーロって濃いイメージがあるけれども、タンニンは意外に弱めで、とっつきやすい。後味にはコーヒーのような風味が広がり、これがネグロアマーロでできていることを思い出させてくれるけれども、とはいえ結構ジューシー、意外とイージー、がぶ飲みワインと言われたらそうかもしれない。おつまみの生ハムともよく付き合ってくれた。
 
※翌日は、少しコーヒーっぽさが増して果実味の強さが退いた。こうなると、割と普通の赤ワインっぽくなる。