フィリップ・ボレール クレマンダルザス
寒くなってくると、泡モノもアルザスも呑まなくなりそうなので、今のうちにこいつを。まず、色は予想以上に黄金色めいた、「シャンパーニュです」と言われて出されたら欺されてしまいそうな色。しかも、細かな泡が、前回呑んだシャンパーニュとだいたい同じぐらいの速度で&豊かに立ち上ってくるから、なかなか頑張っている。しかも、匂いをかぐと、蜜のたっぷり入ったリンゴのような、青リンゴとは違った完熟感のある匂いがキツいくらい漂ってくる。これはいいぞ!
で、試飲。口当たりは非常にまろやかで、まさに完熟リンゴのような甘みと、ごく軽い酸味がやってくる。苦みもライトなほうなので、スパークリングワインとしても軽量級という感じがする。けれども、甘みと酸味のバランスがいいのと、破綻しないぎりぎりの金属感があるお陰で、軽くて甘めのスパークリングワインのくせに背筋はシャンとしている。
慣れてくると、次第にメレンゲと八つ橋の中間のような、シャンパーニュに感じるような匂いが混じってきて、これはこれで良い感じ。重厚感に欠ける点を除けば、よくできたスパークリングワインだと思うし、あまりワインを飲まないような人と一緒にやるなら、シャンパーニュよりこれのほうがウケると思う。