ニュイ・サン・ジョルジュ 1級畑 アン・リュ・ド・ショー(ベルトラン・アンブロワーズ)
※リンク先のヴィンテージは異なります
世の中には、疲れた日には呑みたくないワインというのもあって、自分の場合、それは骨格のしっかりした大柄なワイン、そして高級な鑑賞対象と言われがちなワイン。で、このベルトラン・アンブロワーズというメーカーは、以前に平格赤を呑んだらまさにそういうワインで、今回選んだニュイ・サンジョルジュ村はがっしり系ワインで有名だったはず。ということは、このワインはワインを鑑賞してやろうという気分が強い日にこそふさわしいはず。2008年産なので、酸っぱくて渋いタイプのワインかもしれないけれど、今日ならそういうワインとも対峙できそうだったので開けてみることにした。どうせこの価格帯のワインをきちんと熟成させるだけの甲斐性とキャパシティはないんだし。
さて、抜栓。色は、やっぱりというか、ちょっと薄めのブルゴーニュ色で、予想以上に茶色がかっている。なんだか年寄りみたいで、「長命なニュイ・サンジョルジュ」というイメージを裏切りまくり。匂いはさすが、チョコレートのような甘い匂いを甘酸っぱいラズベリーにぶっかけたような。アルコールっぽい揮発臭もたちこめていて、とても派手。
口に入れてみると、おっコクがあってまろやかだぞ!タンニンも思ったより煩くない……と思ったら、すごく酸っぱい芯が来た!舌と上顎を突き抜けるような、真っ直ぐで甘酸っぱい酸がピーンと張り詰めて、その後からタンニンがじわじわーっと追いかけてくるような後味。うーん、コート・ド・ニュイだけどモロに2008年の酸っぱい系、薄い系だぞ?こういうの好みだけど、せっかくニュイ・サンジョルジュの一級なんだから、もっとがっしりとした、濃いやつが呑みたいなぁ。
そう思いながら呑み進めると、森の切り株のような匂いが漂いはじめ、少しずつワインがどっしりし始めてきた。おったまげるほどではないにせよ、頑張ってはいる。ただ、残念ながらそこから先が来ない。いいワインだと思うけれど、凄いワインとまではいかないような。