北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

ワインの記録が1000回を超えた

 
 
 
 「40歳を迎える自分自身に、何かをプレゼントしよう」と思ってスタートしたこのワインログも、足かけ五年半、やっと1000回を迎えた。偏りはあるにせよ、世界じゅうのワインの、その片鱗を飲んで回れたのは良かったと思う。ワインとそれに付随する色々は、随分と視野を広げてくれて、特に「対象物体を鑑賞すること」についてはなるほどと思うところがあった。
 
 自分が長年慣れ親しんできたアニメオタクやゲームオタク的なコンテンツは、原則としてコピー可能・再生可能で、対象をそのまま鑑賞するようなものではじゃない。少ない情報量から成るキャラクターやグラフィックやデータをもとにシミュラークルを脳内補完・二次創作することが当然になっている。それと対照的なのが、コピーも再生も困難で、対象をそのまま鑑賞することを原則とするライブや絵画だけど、ワインもまた、そのようなコピー困難性・再生困難性があって、“ラベルや雰囲気で呑む度合いが高すぎない限り”対象をそのまま鑑賞して楽しめる(鑑賞なんて書くと大袈裟だけど)。どちらが良いとか悪いとかではなく、アナログでコピー不可能な一発勝負のワインと、デジタルで何度でも楽しめるコンテンツの相違を、文字どおり身体で体感できたのは良かった。
 
 SFファンの世界には「SFについて語るなら1000冊読んでから」という格言があるけれど、ワインは1000本飲めば語れるってものでもないと思う。とてつもない本数を飲み干した先達も数多いし。それでも、この1000回というのを一つの区切りとして、これからはワインを呑むペースを減らしていきたいな、と思う。確かにワインは美味いし、“驚嘆”としか言いようのない凄い奴があるのもわかる、けれども肝臓にも財布にも限界があるわけで、この先長く楽しんでいくには、節制が必要だ。果たして、本当に節制できるのかはわからないけれど、修行期間は本日で卒業ということにして、これからは少しペースを落とし、自分が呑みたいワインを呑みたい時に開ける方針に切り替えよう。