北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【1567】Marcel Servin Chablis Grand Cru Les CLos 2013

 
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 このワインは、よく通っているワイン屋さんで「シャブリの特級を飲むだけの甲斐性が無い」って話をしたら勧められたシャブリの特級。「2013年モノで、信じにくいかもしれませんが、今が飲み頃です」とお勧めされ、半信半疑で買ってみたもの。
 
 まず、色。シャルドネとしては標準的で、さりとて平格ブルゴーニュ白ほどは薄くない黄色っぽい色。普通だと思う。
 
 香りを確かめると、蜂蜜の匂い、というよりソーテルヌに近い、熟れた南国の果物のようなニュアンスが漂っている。シャルドネなのに、本当にソーテルヌのような香りがする!あるいは、枇杷の匂い。ソーヴィニオン・ブランにもどこか似ている。たまげた!
 
 口に入れてみると、レモネードのようなソフトタッチ酸味で、アタックは柔らか。ところが、そこから沸き立ってくるミネラルはどうだ!圧倒的なミネラルがこのワインの骨格の異様な太さを構成していて、これが、ソフトタッチな酸味を押しのけて骨っぽいミネラルをゴロリと形作っている。香りはソーテルヌに似ているところがあるのに、甘さ控えめにしてミネラル超絶骨太、そして、海の塩で作った食塩のニュアンスすらある。味わいは、先日のルイ・ラトゥールのコルトンシャルルマーニュに似ているところもあるけれど、あちらよりも禁欲的、謹厳な感じがする。
 
 ところが、抜栓から8時間後あたりから、急激に果実味が、それも、よくできた非-主流の柑橘類を噛みしめるような強烈な果実味(ただし、いつも飲んでいるシャルドネとはかけ離れた)を伴うようになってきた。すだちやユズと言いたくなるが、それにしては充実感があって、シュナン・ブランにも似た変な癖がある。で、鉱質風味は相変わらず。これは、へんてこなワインだ!へんてこだけど、シャブリとは元来のシャルドネの性質を持っている、という。だとしたらシャルドネって一体どういった可能性を秘めた品種なんだろう?ただ、このワインは余所の高級系シャルドネなんかに比べると、打ち解けず、偏屈で、変人的で、もしシャブリの上級バージョンがこういう性質だとしたら、高値がつかないのはしようがないと思った。