北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【1743】Domaine Louis Latour Chevalier-Montrachet "Les Demoiselles" 1999

 
ルイ・ラトゥール シュヴァリエ・モンラッシェ 2001
 ※リンク先はヴィンテージが異なります
 
 このワインは、ブルゴーニュの白ワインのヒエラルキーではトップクラスに位置する、シュヴァリエ・モンラッシェ。作はルイ・ラトゥールで、6年前に2002年モノと対峙したことがあり、その時のワインはそれまでで最高の白ワインだった(そして以後出会ったいかなる白ワインもこれを越える印象を与えていない)。今回、その同じワインの1999年モノを丸ごといただく貴重な機会を得た。いくら特級とはいえ、19年の歳月を経た白ワインは本当に大丈夫なのか?心配ではあったけれどもソムリエさんは「ぜんぜん生きていると思います」と。
 
 まず色彩チェック。かなりオレンジ色寄りで、最初っから杏っぽい甘い匂いを伴っている。このあたりはさすがに年を取った白ワインという印象。蜂蜜の香りは控え目ながら、あの、忘れようもないミネラリーな・大理石の部屋のような匂いがぶわっと来る。
 
 味は、初手ではローソクの香りが強すぎるシャルドネ。苦みもやや強く、お世辞にもおいしいとは言えない風味。しかし大理石の風味の強さは、記憶にあるいかなるワインよりも6年前の、あの時の思い出と合致している。口のなかにいつまでもいつまでも残る大理石の余韻。こんなに大理石が長く口に残るシャルドネは他に無い(ソゼやルフレーヴが作った一級や特級でさえ、これには及ばない)。でもって、このワイン、前菜その他に出てくるあらゆる肉料理と互角に渡り合い、興味深いことに料理を蹴散らすでもない。前回は軽いパンのようなものしかあわせなかったけれども、今回、オマールエビのロールケーキや簡単な燻製、さっぱりとした羊肉料理などと合わせて悪い気がしなかった。
 
 この手のクラスのワインにありがちなことに、すごくつっけんどんな態度を取る時と、蜂蜜がドカーン!と来る瞬間がある。醤油、樟脳が強く匂うこともあるし、塩分が強く感じられることもある。時間がたつにつれて、果実味が黄金色に輝きだし、非常に若々しい姿になってきた。バタークッキーや蜂蜜も濃くなり、「爆発するシャルドネ」といったありさま。これらが、例の大理石の余韻と合わさって完全試合。前回の2002に比べると熟成が限界に近づいた感はあるけれども、それだけに風味は一層複雑・多彩になり、熟したシャルドネの可能性を思い知ることになった。もう、このワインを買い求めて飲むことは無いだろうけれども、決して忘れられないボトルとなった。文句なし。