北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【1963】Tyrrell's Wines Old Winery Pinot Noir 2017

 
ティレルズ オールド・ワイナリー ピノ・ノワール 2017
 
 どうでもいい日に、あいまいなワインが飲みたい。そんな気分の時、在庫のなかからあいまいそうなワインを見つけ出した。小柄なボトルに入った、オーストラリア産のピノ・ノワール。値段も安そう。正直、どんな代物なのかちょっとわからない。チリ産の安ピノ・ノワールみたいな雰囲気なんだろうか。まあなんでもいいや、飲んでみよう。
 
 まず見た目。ちょっと淡い感じの、ピノ・ノワールとしてもかなり明るい色。確か、チリ産の安いやつもこんな明るい色だったかもしれない。グラスに注ぐ段階では、アセロラともちもち駄菓子(四角いかたちをしていて、もちもちして、つまようじでつまんで食べるあれ)のような香りが漂ってきてうまそう。グラスに注いだ後は、革のようなにおい...ただしブルゴーニュの平格赤よりもチリ産のピノ・ノワールに近い香りがばんばん漂ってくる。それと牡丹餅、牡丹餅を食べる前みたいな香りがする。これは、もちもち駄菓子の香りから転じた感じだ。
 
 口をつけてみると、ちょっとクキクキした風味を伴った、でも溌剌とした果実味が来た!これは新世界の安ピノ・ノワールだ! コクがすごくあって、ベトナムコーヒーみたいな飲み心地を伴っていて、そうした濃い風味の奥に立派な果実味を想像したくなるけれども、御簾の向こう側ではっきりそれを捉えられないような。価格を考えれば美味いし、新世界の安ピノ・ノワールと割り切れば十分合格だけど、ちょっともどかしい。もうひとひねり、いや、ふたひねりすればすごく美味い飲み物になってくれそうだけど、そこにはたどり着かない。新世界の安ワインには、そういうひとひねり、ふたひねりが欲しくなるやつが時々あって、これはそういうワインだと思った。や、もちろん安ワインとしては合格です。
 
 ※二日目。なんと、濃い風味が適度に落ち着き、御簾の向こう側にあったとおぼしき果実味があらわれてきた!高貴なピノ・ノワールではないけれどもはじける感じがあって美味い。このワインは2-3日に分けて飲んだらちょうどいいやつとみた。てことは、デイリーワインとしては優れているってことか。良いと思います。