北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【2058】Comtes Lafon Monthélie les Duresses 1er cru 2012

コント・ラフォン モンテリ一級 レ・デュレス
※リンク先はヴィンテージが異なります
 
このワインは、ムルソーで高いワインを作っているコント・ラフォンが手掛ける赤ワイン。場所はモンテリというマイナーな土地で、いちおう一級ながら、三年ほど前に飲んで土っぽさの豊かな表現に驚いたことがあった。ブルゴーニュ赤ワインをなぞる旅第三弾はこのワインをチョイス。
 
まず抜栓。なかなか立派なコルクに「コント・ラフォン モンテリ一級」としっかり印字してある。ちょっとうれしい。ワイングラスに注いでみると、少し茶色が勝ったダークな赤茶色。ワインのあしが思ったより長く、グラスのへりはべとべととしている。透明度はまずまず高い。香りは、意外にもぐっと迫ってくるチョコレート系。ただ、グラスに鼻を突っ込んでしばらくすると苔や日陰の植物などを掘った時のような、すごく湿った土臭い香りが立ち上ってきた。生き物、という感じがする。あるいは、なぜかここで古タイヤを連想した。とりあえずいい調子だぞ。
 
ところが口に含むと、甘さ控えめ、苦みと渋みのしっかりとした、えらく生真面目な赤ワインがやってきた。最近飲んだブルゴーニュの一級はどちらもモンテリの隣、ヴォルネの一級だったけど、両者に比べるとワインの重心が重く、生真面目だ。それでいて香りはますます土っぽさを帯びていき、生き生きとしている。やがてアルカリ土類金属を連想させる土っぽさ(モルゴンぽさ、と言い換えたほうが妥当かもしれない)が全開になって土砂のようなにおいがしてきた。およそチャーミングなワインとは言えないが、ブルゴーニュ赤ワインという体系のなかではこのようなワインは珍しい。チャーミングではないからおよそ万人受けする品とは思えない。ブラインドで飲んだら、まかり間違ってアルゼンチン産の1500円ぐらいのマルベックのブレンドワインと答えてしまうおそれもあるかもしれない。それか、クリュ・ボジョレーのモルゴンあたりとか。ブルゴーニュ赤ワインという曼荼羅のなかでこの位置にある、というイメージで捉えるものなのだと思う。
 
※翌日。いくらかまろやかになって果実味に親しみが持てるようになった。それでもゴボウをかじっているような気分になることしきり。コント・ラフォンともあろうものが、わざわざゴボウのようなワインを作っているのだから、モンテリは土っぽいアペラシオン、という理解でよさそうだけど、これは一般受けしなさそうなワインだ。少なくとも、高級ワインにこういう趣向を期待する人は少ないはずで、あくまで「モンテリを理解するための教材」という印象は変わらない。それにしても、二日目のしり上がりの展開をみるに、このワインは開けるのが早すぎたんじゃないか。コント・ラフォンともなればモンテリといえども長命、ですか。