カレラ セレック 2013
※リンク先はヴィンテージが異なります
ブルゴーニュのピノ・ノワールを巡る旅の終着駅として、何が今飲めるのかをいろいろ考えた結果、選んだのはカレラのワインのなかでもトップクラスの品のひとつ、セレック。なんでカリフォルニアなんだと言われたら「だってコルトンの次に飲めそうな飲み頃の特級が我が家になかったから」。でも自分の知る限りではカレラのピノ・ノワール(の上位)はブルゴーニュっぽい、というか超ブルゴーニュ(またはブルゴーニュのシミュラークル)って感じがするので、これを最後に選んで考えられることもあるんじゃないかとか。
まず、見た目は普通のピノ・ノワール。あまり茶色がかっておらず、グラスに注ぐ時には少し蛍光色っぽいかな?という印象も受けた。注いでしまった後は、暗すぎず、薄すぎないワインレッドと感じる。香りは、まず抜栓してグラスに注ぐ段階で猛烈にチェリーな香りが広がった。うわー凄くわかりやすい香りだぞ。グラスに顔を突っ込んでみると、そのチェリーの奥から、バニラとローソク香がむんむんと来る。バニラの横に、苔の生えた切り株みたいな香りも伴っているけれども、まずは、享楽的な香りが怒涛のようにやって来るのが目につく。
口をつけてみると、口当たりがまず柔らかくて、包容力がある。まったりとした口当たりで、上顎に、ふんわりとした甘さ、イチゴミルクみたいな甘さを伴っている。カレラでは比較的飲んでいるミルズと比較すると、こちらのほうが鷹揚でふっくらしている。ミルズの貝殻みたいな雰囲気を減らして、カリフォルニアらしさを増強したらこうなる、といった感じだろうか。タンニンはほどほどにあるけれども出しゃばることなく、イチゴミルクみたいな甘さと相まって独特の後味とコクを生み出す一助となっている。文句なしに美味い。
少し時間を置くと、ローヌの赤ワインみたいな凄い香料の香りがこみあげてきた。いったい何なんだ。ちょっとエキゾチックでもある。ブルゴーニュ赤に求める資質かどうかはさておき、面白いワインなのは間違いない。高騰してしまった今はリピートする気になれないけど、昔の価格帯ならこれは納得できる。
※翌日は、前日に比べて少し勢いが落ちて、ふんわり感が乏しくなった。そのかわり、胡椒系のスパイシーな側面が強調されるようになった。初日のほうが美味かったが二日目も面白い。そして就寝時間になってもずっと強烈な果実の後味がのどの奥に残って気持ち良かった。秀逸。