北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【2111】La Pousse d'Or Clos de la Roche 2010

 
プス・ドール クロ・ド・ラ・ロシュ 2012
 ※リンク先はヴィンテージが異なります
 
このワインは、ブルゴーニュの中核エリア、コート・ド・ニュイのモレ・サン・ドニエリアの特級。ほんらい長熟するワインといわれるクロ・ド・ラ・ロッシュなんだけど、格安で手に入れたものでしかも2本所持していたのでここらで一本飲んでみることにした。メーカーはプス・ドールなので、けっしてこのエリアの専門とはいえない。でもヴォルネで馴染んだメーカーではあるので、比較はしやすいと思う。まずは一献。
 
グラスに注ぐと、赤茶色の液体が出てきて、ちょっと淡いかなと思いきやグラスに置いたたたずまいは意外に濃い。でも色合いはレンガ色っぽくて見栄えはなかなかのもの。香りは……グラスに注ぐだんに夕張メロンがふわっと漂ったけれども、鼻を近づけてみると、調理済みのマッシュルームの気配が強烈に漂う。チョコレートやいちじくもあるんだけど、きのこや引きちぎった直後の生の枝など、生命力を感じさせる香りだ。非常に活きのいい、精気ばつぐんのワインとお見受けする。
 
口に運んでみると、はじめは水っぽいかなと思ったけれども、口のなかに拡がるスケール感はただものではない。コクがある、そりゃもちろんあるのだけど、それより口のなかで圧倒するような広々感が抜群だ、タンニンのおかげだけでは、こうも雄大なワインができるとは思えない。今までに飲んだジュヴレ・シャンベルタンたちを思い出しても、ここまで雄大なワインではなかったと思う。ときに、塩分というかミネラリーな感じが爆発することもある。水っぽい感じ(そして余韻の弱さ)は、なんとなくこのメーカーのヴォルネ一級と共通点があるけれど、この雄大さはまったくヴォルネっぽくなくて、ああ、特級という実感がある。プス・ドールは後味がいまいちで、ここがワインの完成度をかなり削っていると感じる。とはいえ価格の安さ(と自分の場合はヴォルネとの比較がしやすい点)はアドバンテージで、このことを承知でいくつか特級を飲み比べてみようと思う。
 
なお、このワインのあてとしてうなぎの肝を炭火で焼いたものを用意したのだけど、期待通り、ミネラルな感じとこってりとしているところがよく合っていた。うなぎの肝と一緒にいただくと、特級のヴェールに隠れていた酸味と果実味がわかりやすくなる。おつまみと行ったり来たりしながら飲んだ。
 
※二日目、あまり期待せずに飲んでみたら、初日よりも甘味やまろやかさが目立つワインになっていた。初日のほうがやっぱり威勢は良かったように思う。初日に少し多めに飲んで二日目は少し少な目がいいかもしれない。