北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【2242】La Pousse d'Or Volnay 1er Cru Clos des 60 Ouvrees 2010

 
ドメーヌ・ラ・プス・ドール ヴォルネイ 1er クロ・デ・スワッサント・ウーヴレ [2016]
※リンク先はヴィンテージが異なります。
 
このワインは、我が家では安ブルゴーニュメーカーと位置付けられつつあるヴォルネの作り手、プス・ドール。このプス・ドールはヴォルネ一級カイユレを広く持っているのだけど、このワインはそのなかで特別な区画「60ブーブレ」でつくられたもの。これ、カイユレの一区画のはずだけどボトルには(控えめながら)モノポールという表記もある。確かに60ブーブレの区画はプスドールの独占ではある。このボトルを購入した頃、プス・ドールの通常版カイユレと60ブーブレの値段は1000円ほどしか違わなかった。はたして内容は。
 
まず見た目。やや茶褐色がかった、ピノ・ノワールとしては濃い、けれども他の品種に比べればそれほどでもない赤ワイン色。光の透過性は高く、光にかざせば美しく見える。香りは、酸っぱい赤系果実のニュアンスが強い場面もあればチョコレートやローソクが立つ場面、森の切り株みたいなオーガニック風味やメロンが立つ場面もある。温度がまだ低い状態で抜栓した割には美味そうな様子だ。
 
口に運んでみると、なんとも軽い! 11年経っているからってのもあるかもだけど、通常版カイユレよりもこれ酒体が軽いぞ? 赤系果実とチョコレートのミックスに、ほんのりとした苦み、ときどき強調されるタンニン、それとメロン風味と地続きになったマッシュルーム風味があり、とてもいい。飲んだ後、かなり長く伸びるサクランボの余韻も好ましく、同じカイユレでも絶対にこっちのほうがいいと確信する。プス・ドールの作風の一大欠点である「果実味の真ん中が空っぽ問題」もこのワインではそこまでひどくない。ふんわりふわふわ、それでいて万華鏡のような味と香りのいいカイユレじゃないか。っていうか、こっちをこんなにまともに作って通常版カイユレがあんな風に仕上がってしまうのは気の毒なことだ。これを知ってしまうと、通常版カイユレは比較のために飲む以上の意味をもたないのでは。半分飲むまで十分魅力的なワインだった。果たして明日はどうなるか。
 
※二日目。飴のような甘味が強まり、ワインが雄々しくなって飲みごたえはむしろ高まった。乳酸のようなニュニュっとしたのも悪くない。やっぱり全体的に通常版カイユレよりも上等で、こちらのほうがヴォルネの一級というにふさわしかった。