このワインは、長野県は小布施ワイナリーでつくられているというスパークリングワイン。 「Père et Fils」ということは、これの格上として「Domaine」モノもあるんだろうか? 調べた限りではあるらしい。ともあれ、まずは飲んでみなければわからない。
で、さあ飲むかーと注いでみてびっくり!なんと、これは赤の泡だ!薄目のランブルスコに近い色なんだけど、それよりは明るく、ランブルスコでいえばグラスパロッサではなく、もっとチープなソルバーラに近い。それか、ブルゴーニュ赤のなかでも薄さの目立つヴォルネの正統派にも似ている。香りは……よくわからない。なんか香った気がするけど、ちょうど直後にくしゃみをしてしまったのでわからなくなってしまった。
口をつけると……おお……これは、ピノ・ノワールっぽいぞ! それでいてふくよかな甘味があり、シルキーで泡にふさわしい感じのタンニンを伴っている。これがもし、濃いロゼだったら柑橘のニュアンスがロゼらしく漂うだろうところが、こいつはピノ・ノワール勝負している感じだ。赤のスパークリングワインで我が家で頻出なのは、同じくピノ・ノワールでつくられたルイ・ピカメロの品なんだけど、あちらよりもモノが丁寧、金属感に悩まされることはなく、こちらのほうがこってりしていてしかも全体的に円やかでふっくらとしている。飲み慣れてくると、サクランボっぽい甘酸っぱさと口当たりの良さ、爽快さ、普通のスパークリングワインとはまた違った、もちろんランブルスコとも一線を画した旨さだ。後味の酸に伸びやかな感じがあるのもクオリティの高さを想像させて良い。ロゼに比べてこってりしつつ、爽やかさを失わないのがこのワインの持ち味なのだろう。珍品のたぐいながら、良い経験をさせてくれた。