北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【2288】Denis Carre Savigy-Les-Beaune Vieilles Vignes 2019

 
ドニ・キャレ サヴィニ・レ・ボーヌ・ルージュ ヴィエーユ・ヴィーニュ
 
このワインは、ドニ・キャレというメーカーが作っているサヴィニ・レ・ボーヌで結構楽しみにしていたもの。ところがなんと、もっと格下のブルゴーニュのボトルと間違えて、ボトルがまだ休み切れていないうちに抜栓してしまった。こんなミスをしたのは何年ぶりだろう。よほど集中力が落ちていたとみえる。他にも何本かブルゴーニュの平格~村名格がたむろしているなかで、よりによってこれを抜栓してしまうとは。
 
開けてしまったものはしようがない。まず見た目。輝きのある朱色の液体で、透明感が高い。香りは……複雑だ。くせになりそうな甘くて後を引く香りは、甘納豆のようにもイチゴミルクのようにも感じられる。で、その奥にはキノコがいる。マッシュルームっぽい。香料のような成分もよぎる。
 
口をつけてみると、目の覚めるような酸味に加えて、この濃さは一体なんだ? サヴィニ・レ・ボーヌらしい溌剌とした果実味に、べっこう飴のような甘味とコクがあり、例のマッシュルームも鼻先をよぎる。で、このワインの凄いところは、まるでアルマンルソーのシャルムシャンベルタンの時を思い出すような、「果実に粘り気がある」ところ。先日の大したことのなかったクロ・サン・ドニに欠如していた、果実味の粘りけはどうだ! ああ、なんて良いワインを間違えて抜栓してしまったのだろう。いったいこのワイン、どれだけ潜在力があるのだろう?
 
グラス二杯目になると、果実味がにわかに重厚さを帯びて、およそサヴィニ・レ・ボーヌらしからぬ、むしろシャトーヌフ的な香料さがよぎる瞬間すらある。かと思えば、再びサヴィニ・レ・ボーヌらしい軽さに回帰することも。いや、なんだこのワインは。非常に強い興味をおぼえた。村名格、しかも主要なアペラシオンではなくサヴィニ・レ・ボーヌでこれとは、いったいどういうことか。期待度が高い。
 
※二日目。初日に比べると、変化の豊かさが乏しくなった。や、そこらの安ブルゴーニュ赤よりはずっといいのだけど。初日の神通力には及ばない。してみれば、案外ハッタリめいたところのあるワインなんだろうか。それでも初日の凄さを思えば今後も期待したいワインではある。