北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【2394】Duckhorn "Decoy" Cabernet Sauvignon Limited Napa Valley 2019

 
デコイ リミテッド カベルネ ソーヴィニヨン ナパ ヴァレー 2019
 
このワインは、カリフォルニアのダックホーンさんが作っているカベルネソーヴィニヨン、その裾物とでもいうべきデコイ。ただ、デコイはデコイでも今回はほんの少し格上の「リミテッド」の印がついたものを選んでいる。ダックホーンさんは、近年、あのカレラを買収したとも聞いている。これで品質が良いようなら、いよいよ本命のデコイ(おとり)ではない品に挑戦することになるかもしれない。ちなみにリミテッドじゃない品とは2021年に対峙済み。こちらはナパ・ヴァレー産で、以前の品はソノマ・カウンティ主体の模様。
 
抜栓。先日あけたばかりのブルゴーニュ赤などに比べれば圧倒的に黒々としていて、光の透過率が恐ろしく低い。不透明でくろぐろとしている。グラスを少し動かすだけで、甘い香りが漂ってくる。カベルネソーヴィニヨンらしい杉のような爽やかさ、プラムのような香り、があるのだけど、こいつにはバニラの樽香がふわーんと伴っていて、第一印象において人懐こい感じを受ける。
 
口に運ぶと、おお、墨汁っぽさを伴った、じっくりと濃い果実味だ。果実味が濃ければなんでもいいってわけじゃなく、こいつはなんだろう、芯があるというか集中力があって安物の果実ジャブジャブとはだいぶ違うぞ。や、もちろん格上の高級ワインたちと並べちゃうと馬脚を露すのだろうけど。カベルネソーヴィニヨンらしい抑制のきいた飲み心地と、杉~ミント的なすーすー感も伴っていて、実にバランスのとれたワインで、リミテッドのつかない2021年の対峙と比較すると、バニラが乗っているぶん人懐こく、それでいて、全体的に味が濃いにもかかわらず押しつけがましさが少ない。これははっきりとリミテッドのほうがよくできている。価格差のぶんを奮発する価値はあると思うし、比較して飲むと面白いかもしれない。
 
※二日目も抑制のきいた、それでいて集中力のある状態は保たれた。少しバニラは飛んでしまったかもだけど、たいした問題ではない。グレネリーのエステート・リザーブの時と比較しても、二日目の展開は優れていた。いくばくかの価格差がクオリティにはっきり反映されているのは、わかりやすいことだった。