北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【2410】Doudet-Naudin Bourgogne Pinot Noir 2019

 
ドゥデ・ノーダン ブルゴーニュ ピノ・ノワール [2019]
 
ブルゴーニュ高騰のおり、強い味方と感じられるのが、だいたい1万円ちょいぐらいで詰め合わせセットになっている、各社のブルゴーニュ赤セット。この価格帯のブルゴーニュ赤は比較的値上がりしていない一方で品質は底上げされていて、1万円ちょいぐらいのセットでも各メーカーの顔つきの違いが結構わかるので、舌を鍛えるにも良し、おいしく飲むにも良しだと思う。今回、そのセットにまぎれこんでいたまったく知らないメーカーのワインとやってみることになった。
 
まず見た目。ブルゴーニュの赤にしては濃いほうで、紫色がかっておらず、僅かに茶色側の色あいをしている。香りは……なんだろう、これは。メルローから連想されるような、野菜系の香りが思い浮かぶ。そんなバカな。もちろんメルローの一部にありがちなピーマン臭ほどではないけれども。黒系果実の香りだってあるけれども、なおも野菜系の香りが残る。はっきり野菜系だ。こんなブルゴーニュ赤ワイン、あまりないぞ。
 
口をつけてみると、なんだこれは。どろどろと濃く、えぐみがある。これってピノ・ノワール? いや、まあ、そうかもしれないけれどもやけに濃いな、本当は違う品種なんじゃないの? と思ったりもする。いつぞやのマランジュ一級に似ていて、これも上物のシラーっぽいといえばそうかもしれない。シラーシラー言いながら飲んでいるうちに、濃い飲み口、その後味に香料のような飲み心地とトマトスープのような一層野菜っぽい風味が宿るようにもなってきた。本当にブルゴーニュワインっぽくないな! 後味の旨味と香りはなかなかのもので、舌がざらつく感じも良いっちゃ良いのだけど、ブルゴーニュ赤らしいワインとは言えない。ブラインドテイスティングだったら、これ何って答えるだろう? そう思いながら改めて液面を眺めれば、ルビー色に輝いているようにもみえ、一応ピノ・ノワールなんだろうと思いたくなる。でもブラインドだったら混乱して、最後に「メルロー主体のスーパータスカン!」とかわけのわからないことを言って、ラベルをみてうなだれると思われた。
 
そうやってつべこべ言いながら飲むうち、ピノ・ノワールらしい、さっぱりとした果実が濃さの向こうからおずおずと顔を出してきた。こうなると俄かにピノ・ノワール、それもニュイ・サンジョルジュの子分みたいな雰囲気になって旨味も良い。逆に考えてみる。自分は、こういうタイプのブルゴーニュ赤を他品種と早とちりしやすいのかもしれない。しまいにはバラ系の香水みたいな風味まで宿るようになってきた。気が付けばすっかり満足。
 
※翌日になると、果実味の濃さが引っ込んでしまい、苦みが目立つ展開となった。昨日の後半は重たいなりにバランスのとれた構成だったけれども、今日はそこまで至らず。ワインのバランスとは、微妙なものなんだなぁと改めて確認。