北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【2413】Domaine Herve Charlopin Marsannay Les Longeroies 2020

 
マルサネ・レ・ロンジュロワ[2020]年 ドメーヌ・エルヴェ・シャルロパン
 
このワインは、ブルゴーニュの中核エリア、コート・ドールのなかでも北部エリアのアペラシオンのひとつ、マルサネの品。マルサネは栄えあるコート・ドールの序列のなかでは下から数えたほうが早いけれども、コート・ドール全体が高騰していているなか、少しずつ値段が高くなっているし、考えさせられるワインがつくられることもある。で、このワインは2600円ほどのかなりお値打ち品で、しかも畑の名前がロンジュロワ。ロンジュロワは、一級のないマルサネにあって将来の一級候補と目される注目エリア。にもかかわらずこの価格は何かバランスの悪さがあるのかもだけど、飲まないわけにはいかない。やってみましょう。
 
グラスに注ぐ段から、このワインはちょっと紫色がかった、それかピンク色がかったような色彩を帯びていて、なんじゃこれはピノ・ノワールじゃなくてガメイかね? と思ってしまう。グラスに注ぐと赤茶色にみえるのだけど、注いでいる最中はそうではなかった。先日の平格ブルゴーニュ赤とは明らかにカラースペクトルが違っている。甘酸っぱい香りとこしあんみたいなザラっとした甘い香り、バラのような香水のかすかな香りで、いや、おいしそうだぞ? 苔むしたニュアンスまであるじゃないか。
 
口に運んでみると、酸味が先立ち、そのあとからコクが追いかけてくるような。最近のブルゴーニュ赤のなかではクラシックな、かつて「アセロラっぽい」と比喩したような酸っぱさが目立つのだけど、にもかかわらずバターみたいな厚みがあり、独特の風味になっている。そのバターは、樽の風味に由来しているのか、それともここのワイン自体がそういうものなのか。どっちにしても、こういうワインは肉料理に合うんじゃないかと、ポークソテーと一緒にいただくと、樽の風味? というか木っぽい風味が目立ってくる。もしかしてこのワイン、木チップを使っているのかな? とはいえ基本的には悪いワインじゃない。シルヴァン・パタイユのマルサネなど品に及ばないけれども、ほんのりバラの香水のような風味があるのも、今までに出会ったマルサネに通じるものがあって良い。
 
※翌日は、滋養のしっかりした、同じコート・ドールのワインでいえばモンテリみたいなワインになった。モンテリもブルゴーニュ赤のワインでは格が高くないけれども、それはトーンの高い七色の香りを出してくるポテンシャルを感じさせないからでしかなく、一般的には飲み吟醸、大変おいしくいただいた。してみれば、結構狙いどころの品かもしれない。