北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【1501】Domaine Michel Lafarge Bourgogne Passetoutgrain "l’Exception" 2012

 

 
 
 朝の段階では久しぶりにブルゴーニュのまじめな一級を飲もうと思っていたけれども、喉が少し痛いので鼻が利かないかもと思い、格下げしてパストゥグランにした。これなら飲みやすくて元気が出るでしょう。メーカーは、ヴォルネ村のお気に入り、ミシェル・ラファルジュ。
 
 まず見た目。オレンジ色がかっていて、ものっすごく薄い。ヴォルネのメーカーが作っているせいか、すっごくヴォルネっぽい((でも、このラファルジュのつくるヴォルネのワイン自体は、ヴォルネにしては濃いほうだと思うけれども))。香りは、甘酸っぱいベリー系のやつと、和菓子系のようなほっこりとした粉っぽい甘い香りもする。
 
 口をつけると、甘酸っぱさが炸裂。さっぱりとした飲み心地でタンニンはかなり少ない。口当たりが柔らかくてスルスルと入っていく。ちょっとアセロラっぽく、軽々としている。軽々としているんだけど、ちょっと引っかかりどころがなさすぎる第一印象。その後も、内実がこみ上げてこないというか、2012年の平格ブルゴーニュの良くないところを彷彿とさせるところがあって合格点がつけられない。ラファルジュですら2012年が駄目ってことなのか、ラファルジュに限って駄目なのか、このボトルがたまたま駄目なのか。でも、今まで呑んできた印象と総合すると、2012年はやっぱりアレなんじゃないか。手元にもう少し2012年のボトルがあるので、もうちょっとだけ調べて、音沙汰なければもうやめよう。
 
 ※二日目。少しだけ、華やかなミルクチョコレート系の風味を帯びるようになったけれども基調は変わらない。残念。
 

ワインの記録が1500回を超えた

 

 
 ワインの記録もこれで1500回。ちょっと飽きた、というと語弊があるけれども、「凄いワイン」を気合入れて飲む根性がだいぶ廃れて、「貯蔵エリアに転がしておけばまあいいや」的な気持ちになってきた。
 
 「世の中には凄いワインがたくさん存在する」。もう、そんなことは十分にわかっている。じゃあ、これより高みを目指しますか、そのためにウン十万円も積み上げますかと言われると、ちょっと怯んでしまう。ワインの道に「コスパ」という概念はすこぶる相性が悪いけれども、美食家でもあるまいに、これまでに経験した以上の超絶体験を求めてバクチを撃ち続けるのはどんなものなんだろうか。既知の十分に素晴らしいワイン達とそのストック、それと普段飲みには十分に耐えられる低価格帯~中価格帯のワイン達で、それで十分なんじゃないか。
 
 まだ、ワインのフロンティアは沢山あって、例えばシャブリの特級、例えばボルドーのあれこれには興味あるけれども、あまり無理はせず、のんびりやっていきましょう、みたいな気持ちになってしまった。現在のブルゴーニュとイタリア中心のワインライフでも、なんにも困っていないのだ。困っていないことに、困っている。
 

【1500】Louis Latour Corton-Charlemagne Grand Cru 2005

 
ルイ・ラトゥール コルトンシャルルマーニュ 2006
 ※リンク先はヴィンテージが異なります
 
 まず見た目。すごく黄色い、というよりオレンジ色がかった色で輝いている。香りを確かめると、第一印象は「石」。すごい石の香りだ!蜂蜜みたいなフレーバーは控え目で、石と、寒い地方のシャルドネにありそうな清々しい香りが漂ってくる。あと、少しローソク。
 
 口に入れてみると、ここにはバッチリ蜂蜜が存在していて、ほんの少しアンズっぽさも伴っている。ムルソーほどじゃないけど、リッチな果実味も伴っていて、余韻の広がりが素晴らしい。ミネラルな構造性もカチカチとしていて、このあたりは上級シャブリの骨太さに相通じるところがある。
 
 二杯目。アンズとキノコがもうもうと立ち込めて、今度は酸がキリリとしているような。これは楽しい!さすが特級、表情が豊かで、どれも印象深い。そしてコントレックスのようにミネラルがきつい。さらに飲み進めると、蜜蝋が物凄い勢いでグワーっとこみ上げてきたりもする。かと思えば、やけに乳酸めいた、ヤクルトのような甘味がこみあげてくることも。
 
 以前のシュヴァリエ・モンラッシェに比べるとキメが荒いとは感じるけれども、そんなのは些末な問題、なるほど、たいしたワインでした。これが特級とみなされることになんの違和感もありません。
 

【1499】Torrevento "Bolonero" Castel del Monte Rosso 2012

 
ボーロネーロ カステル・デル・モンテ ロッソ
 
まず見た目。そこそこ明るい赤ワイン色をしていて、普通な感じがする。香りは、ほっこりとした和菓子風の甘味と粉っぽさを予感させるものがあり、そこに梅系線香の香りが混じる。イタリア中南部の赤ワインの酸っぱそうな雰囲気と、イタリアワインにありがちなおおらかさ、どっちもありそう。
 
 口をつけてみると、意外とバランスの良い果実味中心の構成。タンニンは柔らかく、苦みもほどほど、少しトマトのような野菜っぽいエキスもあって、気楽な雰囲気が漂っている。こういうのはランチにつけたらうまそうだなぁとかちょっと思う。明るく快活でさっぱりとしたワイン。とやかく言いながら飲むものではなさそう。
 
 ※翌日。良くも悪くもテーブルワインっぽさ全開。トマトっぽい野菜系エキスは健在で、このあたりが、野菜たっぷりの食事には良い印象をもたらすのかも。悪くないけど、単体ではあまり冴えないワインじゃないかと思った。ガンベロロッソでグラス×3ってのが信じられないけど、イタリアワインらしいといえばいえる。こういうワインは新世界にはほとんど無いわけで。
 

【1498】Louis Jadot Ladoix 2013

 
ルイ・ジャド ラドワ 2013
 
 マイナーで、安くて、一応、ブルゴーニュヒエラルキーのなかでは「村名格」だけれど、どう考えても他の有名な村名におよぶとは思えないラドワ。今回、ブルゴーニュでは大手のルイ・ジャドのラドワという、見たこともないものを発見したので買ってみた。もちろんお値段は平格並み。
 
 まず見た目。グラスに注ぐ段階では少し青色がかっているような気がしたけれど、注いでみると、まずまず標準的なブルゴーニュ色をしている。透明感があってルビー色に輝いている。香りは、ちょっとチョコレートっぽい香りと革のような香りがたちこめていて、果実の香りはその奥からほんのり、といった調子。
 
 口に入れてみると、まずチョコレートっぽいしっかりとしたコクがあったけれども、その後ろに膨大な甘酸っぱさが控えていて、後味になればなるほどじわじわーっと甘酸っぱさがせり上がってくる。タンニンはそんなにキツくないけれども、コクを構成する一要素としてうまくワインにマッチしていると思う。甘みは控えめながら、意識されないほど弱くもない。というより、甘みが控えめなこととコクとタンニンのおかげで、ブルゴーニュの赤としては非-享楽的で落ち着いた雰囲気と感じる。なんだろう、もっと有名な村名ワインから楽しさを引っこ抜いたような雰囲気というか。もちろん、まずいというほどでもないんだけど、ツンツンしていると感じる。ちょっと、寛げない。
 
 ※翌日は、もう少し果実味が籠もってきて、持ち前のコクも相まって、素朴ながら味わい深いワインになった。これはちょっと良い。コート・ドールに含まれない産地にもこういうタイプはいそうだけど(メルキュレとか)、このワインも結構な安物なので、価格を考えれば良かったと思う。
 

【1497】Santa Hellena Alpaca Sparkling Brut. (N.V.)

 
サンタ・ヘレナ・アルパカ・スパークリング・ブリュット
 
 一部の好事家の間で大絶賛の「けものフレンズ」に気を惹かれて、今日は、変なワインを買ってしまった。アルパカの絵が描かれた得体の知れないチリ産のスパークリングワイン。いわゆる「ジャケ買い」ってやつですね。
 
 まず見た目。白ワインとしては割とまっとうな色をしているけれども、泡立ちがかなり弱い。微炭酸、イタリアワインで言えば「フリツッァンテ」に分離されそうな、元気の無い泡立ち。香りは、青リンゴ系が僅かに感じられるかどうかといったところ。
 
 口に含んでみると、焼きリンゴのような強い甘さがギュッと来て、苦み、それから少し金属っぽいキンキンとした感覚を覚えた。じゅくじゅくとした果実味と焼きリンゴ風味で、たいていのスパークリングワインよりも潤いがあると感じる。ただ、金属っぽいキンキンとした風味のせいで、緊張感を帯びているようにも落ち着かない不穏な雰囲気を帯びているようにも感じられる。泡がショボくて寂しいけれども、味は十分に頑張っている部類だと思う。あとはこの金属っぽさを長所と捉えるか短所と捉えるか。長所と捉えるなら、このワインは「お買い得」だと思う。短所だと思うなら敬遠したほうがよさそう。自分は……