北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【1545】Prunotto Barbera d'Alba 2014

 
プルノット バルベーラ・ダルバ
 
 見た目は、暗めのワインレッドながら、透明度と幾らかの明るさがある。有名品種でいえば「ピノ・ノワールの一番暗いぐらいの部類」にみえる。香りを確かめると、ちょっと酢酸を連想させる酸っぱい匂いを伴って、クリーミーな線香風味が来た。しばらくすると、酢酸っぽさが薄れて梅っぽい酸っぱさが増したような。
 
 口に含むと、うわっ酸っぱい!酸味が強いんだけど、香りと同様、酢酸、あるいは穀物酢を思わせる酸っぱさを伴っていて「きつい」。その後に、梅とブラックチェリーを混ぜたような、あるいは、最も酸っぱい年のブルゴーニュ平格赤のような、果実味のきついところがキューンと来る。それと、イタリアワインでは滅多にないことなんだけど、「日本でつくられたワインにありがちな麹っぽさ」に近い感覚があって、これもイタリアワインとしては違和感がある。重くてだるいワインではないけど、飲みやすくはない。
 
 ただ、肉料理やパスタやグリッシーニと合わせると、スイスイと入るワインに変わる。テーブルワインとして飲むならいいけれど、価格を考えると、もうちょい頑張って欲しいところ。いろいろイマイチ。
 
 ※翌日は、あの酢酸めいた苦しい感じが緩和されて、口当たりが滑らか。梅風味が梅キャンディ風味に変わってだいぶおいしくなった。日本産ワインっぽさは若干残存。これ、一体なんなんでしょう??
 

【1544】Benard delagrange Volnay Clos du Village 2008

 
ドメーヌ ベルナール ドラグランジュ ヴォルネ クロ・デュ・ヴィラージュ
 
 このワインは、定点観測エリア・ヴォルネ地域の、あまりみかけない一級畑「クロ・デュ・ヴィラージュ」のもの。この畑のワインはなかなか見かけなくて、今回が初見。メーカーは、お手頃ながら手堅いヴォルネを手掛けている、ベルナール・ドラグランジュ、ヴィンテージは酸っぱいハズレヴィンテージの2008。
 
 まず、見た目。かなり赤茶けた色をしていて、このワインが年を取っているってことがうかがえる。辺縁が赤茶色で、明るい、というより薄い色合いをしている。香りは、トーンの高い揮発臭に、チョコレートとイチゴ菓子とカシスの中間のようなきつい香りが漂っている。
 
 ところが口をつけると、とにかく酸っぱい!うわっ! ザ・2008年ブルゴーニュという雰囲気。目の冴えるような、口をすぼめたくなるような酸っぱいブルゴーニュワインだ。それでいて、味にローソクのような風味と、ザクロや桑の実に近いような、あっさりとした甘味を伴っている。そうだ、2008年のブルゴーニュワイン、特にヴォルネ周辺ってこんな雰囲気だったなと、記憶がよみがえった。それでも、さすがに一級の毛並の良さか、舌触りが滑らかで、ヴォルネに典型的な軽さをみせている。とはいっても、香りの変化とボリュームが少しずつ萎んでいく傾向で、2008年、やはり弱ヴィンテージという印象は否めない。一応、いくらか残して明日飲んでみよう。
 
 ※二日目。驚いたことに、香りは初日よりも湿った土っぽさが漂い、豪華。そして口当たりがなだらかになって、酸味も丸まって穏やかな、それでいてフレッシュな果実味を残したワインとなった。旨さという意味でも、複雑さや構図という点でも、二日目のほうが勝った。ということは、初日に「これはあかん」と思って飲み進めたのは失策だったのかも。驚きました。
 

【1543】Louis Jadot Saint-Amour 2014

 
サン・タムール セリエ・デ・クロ
 
 このワインは、クリュ・ボジョレーのひとつサンタムールの品。最近、このクリュ・ボジョレーはモルゴンという地域一本槍だったので、このサンタムールはすごく久しぶりの品。卸しているのは、ブルゴーニュ大手のルイ・ジャド。ここのワインは本来長期熟成前提なので、2014年産は「超早飲み」の部類に入ると思って、反省しつつ抜栓。
 
 抜栓して二時間放置した後、グラスに注いでみると、少し青色がかった暗い色彩。グラスの向こう側が見通せないぐらいには暗い。香りは、酸っぱそうな梅の匂いが最初は気になったけれども、ボジョレー・ガメイ系にありがちなチープなチェリー系菓子の香りを伴っている。
 
 口に入れてみると、粉っぽいとか充実したではなく、リキッドな果実味。ジャバジャバチェリージュースっぽい。すごく……リキッドで飲み心地がジャバジャバっとしている。根っこのところにボジョレーっぽいホッコリさがあるけれども、リキッドな果実味がそれを上塗りしていて、そう簡単に覆りそうにない。ただ、飲み進めると、そのリキッドな果実味もだいぶ落ち着いて、こしのある、和菓子に相通じるみたいなクリュ・ボジョレーらしい手ごたえが、ミネラルを伴って響いて大変おいしい。で、慣れてくるとザラザラ感とツルツル感の合わさった感触ですいすい飲めてしまう。良いワインだった。
 
 ※翌日は、最初から和菓子っぽさ全開、リキッドな果実味よりも、コクがあって濃度の濃い、ミネラリーだった。凄いワインではないけど、栄養がつきそうな雰囲気だ。
 

【1542】Saint Cosme Little Basket Press Red (N.V.)

サン・コム・リトル・ジェームス・バスケット・プレス・ルージュ
 
 このワインは、おいしいジゴンダスをつくっているサン・コムの量販品なワイン。なんでもシェリーと同じような作り方だそうで、かえって興味がわいたので買ってきた。
 
 まず、見た目。かなり濃い、暗いワインレッド。とても活きが良いのか、グラスに注ぐとぴちぴちはねているようにみえる(良いワインは多かれ少なかれそうだけど、こいつは特にそうみえる)。香りは、梅系お線香のような香りがツーンと来る。すごくアルコールっぽくもある。あと、レーズン。干しブドウの匂いがするぞ。
 
 口に入れた第一印象は、まろやかで濃いワイン。すごく梅酸っぱい感覚がその後にこみあげてきて、パワフルだと感じる。ジャムっぽさがあるし、14%のアルコール濃度よりもやや酒っぽい匂いがするけれども、真っ直ぐなおいしさ。これは、そういうワインだと思うので、ガブガブっと楽しんだ。
 
 ※翌日も、濃くてジャムっぽくて大柄な飲み物。ほとんど昨日と変わらないのでは。でもって、濃さの割に妙に呑みやすい。つい、ごくごくと飲んでしまう。

【1541】Chateau Rieussec 2005 (ハーフボトル)

 
CH.リューセック2005 375ml

 このワインは、だいぶ前からセラーの底に眠っていて、出番が来たので抜栓した。長く寝かせるのもいいけど、こういうワインは、出番がある時に陽の目をみてもらうのが良いでしょう。
 
 まず、見た目はオレンジ色の透明な液体。比喩ではなくオレンジ色そのものといった感じで、当然ベタベタと粘性率が高い。香りは、初手では非常に濃い、和菓子とトロピカルフルーツを足したような、それこそマンゴーとか少しクセのある南洋果物っぽい香りがして、遠い昔に呑んだトカイワインを連想させるところもある。そこから、漆喰やセメダインのようなベタっとした揮発臭、柿、濃厚なバナナセーキ、等々が巡り巡る。
 
 口に運ぶと、柿風味のカスタードプリンのような味わいがゆったりと広がる。甘いは甘いんだけど、妙にさっぱりとしているところがあり、それでいて余韻も果てしなく長い。ずっと喉の奥にワインが残っているかのようだ。このワインには、クセのある南洋果物っぽい香りのなかに、何か暗い雰囲気があるんだけど、味は陽性で、楽しさを帯びている。で、ワインにあるべき酸味は健在。いいですね、辻褄があってます。
 
 

【1540】Cono Sur Sauvignon Blanc Especial Reserva 2015

 
コノ・スル エスペシアル リゼルヴァ
 
 コノ・スルのリゼルヴァ級は、ある時期からエスペシアルという表記が入って、そうなってから、この品種の品は試していなかったので久々に呑んでみることにした。
 
 まず、色はかなり薄くて少し緑色がかっている。ソーヴィニオン・ブランという感じがする。
 香りは、植物系のやつがツンと来て、ちょっとアスパラガス~植物の茎が連想される。あと、ピーマン。これはピーマンだ。その奥から、ようやくトロピカルフルーツが来る。
 
 口をつけると、ややピーマンっぽいながら、黄桃、白桃の缶詰のようなトロピカルな甘い風味がこみあげてきた。うん、おいしいぞ。爽やかでありながら、ワインにボディがたぷたぷとあって痩せていない。ピーマンがやや強いことをのぞけば、ソーヴィニオン・ブランの長所がたっぷり。あと、舌の上にピリッとした刺激があるのは、ピーマン由来かなと思わせるところがある、なんというか、ハラペーニョの気配すら感じられる。
 
 暫く飲み進めると、甘味が強くなってきた。ピーマン風味が強いので、これぐらいが穏当かもしれない。普通においしいです。
 
 ※二日目は、ピーマンも含めてスケールが小さくなったが、そんなに気にするほどでもない。むしろ端正なのは二日目かも。コノスルのソーヴィニオン・ブランって、いつもおいしい。