北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【1510】Tenuta di Trinoro "Le Cupole Trinoro" Rosso Toscana 2013

 
レ クーポレ ディ トリノーロ
 
 トスカーナ地方の国際品種系ワイン(スーパータスカン)はお金がかかるし、イタリアワインとフランスワインのキメラみたいだしでご無沙汰だったけれども、ちょっとおすすめな情報を耳にしたので久しぶりに買ってみることにした。
 
 まず見た目。まずまず濃くて不透明、グラスに注ぐ時は青紫系かと思ったけれども、注いでみると少しオレンジ色がかっているようにもみえる。香りの第一印象は梅。梅のような香りがぶわーっときた後に、チョコレートを思わせる甘い香りがこみあげてくる。それからミルクチョコレート。
 
 口に入れると、うっそうとした果実味、苦みと柔らかなタンニンの風体も良く、落ち着いているけれども底力がこみあげてくるような。甘味はあるけれども、苦みやタンニンを妨害するほど顕著ではなく、気持ちの良いところでそれぞれの味のベクトルのバランスがとれている。呑み進めると、とにかく葡萄酒の王道を行くような濃い葡萄果実風味と湿った雰囲気、苔の生えた土のような雰囲気もあって、するする入ってくる。享楽的ながら揮発臭をぷんぷんさせるようなものでなく、若い果実味で押してくるようなワインだった。パレオロッソにどこか似ているなぁと思ってネットで調べてみたら、カベルネフランがたくさん入っていると書いてあったので、たぶん、そのせいなんだろうと思った。果たして、明日はどうなっているのやら。
 
 ※二日目は、少しやせた&苦い状態でスタートしたかな?と思ったら二時間ほどでエンジンがかかってきて結局昨日にかなり近い雰囲気に。ローソクと苔の生えた土の香りもぷんぷんと、優れた姿に変わった。二日目もなかなかのもの、この価格帯のスーパータスカンは完全スルーしていたけれども、ちょっと見直した。
 

【1509】Rosier Crémant de Limoux Chateau de Villelongue (N.V.)

クレマン ド リムー シャトー ド ヴィルロング
 
 今日の夕食は、イタリアっぽい前菜、鰤のカルパッチョ、スズキのポワレ、鴨の焼肉、蟹パスタという内容。これに合わせるのは、南仏の泡ワイン、製法はシャンパーニュと同じってやつ。
 
 まず見た目。びっくりするほど黄金色をしていて、泡の立ちのぼるスピードもゆったりしている。なんちゃってシャンパンな雰囲気。香りは、新鮮なシトラス系に加えてイースト系のフレーバーがふんわりと漂ってなかなかに本格派。
 
 口に入れると、シトラスと同時に苦みと少しの漬け物っぽさもあって、さっぱりしているけれども軽すぎない。新鮮なノリながら、腰が落ち着いているというか、シャンパーニュにあって欲しいどっしりとしたところを伴っていて、変なえぐみや金属感に悩まされるところもない。かといってパッパラパーなわけでもなく、それなり理性的なワインでもある。
 
 結局、飲み終わるまでしっかりしたスパークリングワインでした。
 

【1508】Masciarelli Montepulciano d'Abruzzo 2013

 
モンテプルチアーノ ダブルッツォ マシャレッリ
 
 まず、見た目。色は不透明で暗いワインレッド、液面がトロトロしていてなんだか濃そう。グラスに注いですぐの香りは、木の樽のような、あまり良く無さそうなものだったけれど、ちょっと待つと、深い葡萄系の香りがフワーっと沸き上がってきた。スミレ系を連想させるイタリアワインにありそうな香りなんだけど、こいつは紫色が濃そうというか、紫色のお香を連想したくなる。
 
 口をつけると、グワーっと果実味、タンニン少なめ、酸味はそこそこだけど果実味がとにかく濃い。真っ直ぐに濃くて爽やかな呑み心地。今日の夕食はツナとキャベツの和え物、芋とイカの煮物を中心としたシンプルなものだけど、意外とワインによく合っている。なにより、出来の悪いモンテプルチャーノ・ダブルッツォにありがちな生臭さが無く、とても清潔な感じがする。7年前に呑んだ時の記憶よりも、今回のほうが良いように思った。楽しいデイリーワイン。
 
 ※翌日。臭みが無くて清潔なところは相変わらずながら、酸化の影響か、やや軽く、やや集中力の乏しいワインになったと感じた。抜栓したらサクっと呑むのが良いのかも。
 

【1507】Stocco Pinot Grigio 2015

 
ストッコ ピノ・グリージョ
 
 今日の夕食は、サーモンのホイル焼きとチキンナゲット中心の、ちょっと濃い白ワインが良さそうな雰囲気。そこで、イタリア産のピノ・グリージョ(ピノ・グリ)をいただくこととした。
 
 まず色は普通の白ワイン色、強いて印象をあげるなら元気の良い照りをしている。香りは、澄んだ台所洗剤のような雰囲気ですがすがしい。蜜はあまり感じられず、あくまで清々しい系。
 
 口をつけると、甘みと酸味がしっかり。膨張感とトロピカルフルーツで押してくるフランス産のピノ・グリとは趣が違って、あくまでさっぱりとした味わいがメインで、そこにある程度のオイリーさと膨らみを伴っている感じ。もったいぶったところのない、バランスの良い白ワインだ、
 
 ※二日目は、さらにイタリア白ワインっぽいさっぱりとした雰囲気になった。安いピノ・グリージョっぽいというか。でも、それがまたいい。

【1506】Domaine la Mereuille Cotes-du-Rhone-Villages 1999

 
コート・デュ・ローヌ ヴィラージュ [1999]ドメーヌ・ラ・ムルイユ
 
 このワインはローヌの平格赤ワイン。ただ、ヴィンテージが妙に古くて1999年、ここまで古い平格のローヌは飲んだことがない。いったいどんな状態になっているんだろうか。
 
 まず見た目。びっくりするほどレンガ色!オレンジ色っぽさが目立ち、不透明で濃い。普通のワインレッドよりも紅茶の色に近い。グラスに注いだ瞬間に、古酒にありそうな、ベンゼン環のついていそうな揮発臭がフワッと舞い上がった。熟れたメロンのような香りがした後は、あまり香りが感じられないので口をつけてみた。
 
 口をつけると、これまた古酒っぽい感触。近いものとしては、いつぞやの古スペインワインで感じたものの廉価版、あそこまで線が細かくもないけれども、安物なりにうまくまとまっている。熟成メロンのような甘い風味、漆喰のようなフレーバー、飲み進めると少しずつ明らかになってくる健在な果実味。あとはなんだろう、シラーかガルナッチャ(グルナッシュ)由来とおぼしきジャムのような濃さは意外と生き残っている。長い時間が経っているからか、渋みの攻撃性はそれほど高くはない。
 
 ※翌日はいくらか痩せたがメロンっぽい熟れた雰囲気は残存。ある程度は飲める状態だった。
 

【1505】Comtes Lafon Monthélie les Duresses 1er cru 2002

コント・ラフォン モンテリ レ・デュレス
 ※リンク先はヴィンテージが異なります
 
 続いていただくのは、コント・ラフォンのモンテリ一級。まず見た目は、わりと普通のブルゴーニュ色、濃すぎず薄すぎずといった感じで透明感がある。
 香りを確かめると、ものすごく土臭い。石とか石灰岩とかじゃなくて「土」、ゴボウを引っこ抜いた直後のような香りがもうもうと来る。そこにビャクダンのような熟成ブルゴーニュ赤ワインにありそうな風味が合わさって、野良臭いところで調和がとれている。
 
 口にしてみても「土~!!」それでもって果実味が土っぽさを裏支えしていて、滋養たっぷり、分厚い飲み心地と感じられる。いつぞやのルフレーヴ・アソシエの軽い感じとは無縁、重いわけではないけれども、ワインにずっしりとした手応えが感じられて、派手さは無いけれども、しみじみと美味いワインだ。妙に口のなかに粘りが感じられるのも良い。
 
 モンテリなんて軽視していたけれど、これを飲んで「作る人が作れば、野良っぽい個性がちゃんと出る」ということがわかった。ちょっと買いたいかも。