北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【1603】Vina Errazuriz "Estate Series" Pinot Noir 2015

 
ヴィーニャ・エラスリス エステート・ピノ・ノワール
 
 疲れてコルクを抜くのもだるい、けれども今日はワインがちょっと欲しいんだって日に、スクリューキャップのこいつが目に留まった。しかし、このワインはピノ・ノワールだったので飲むのを断念し、日を改めて二日がかりで飲むことにした。
 
 で、再び疲れた日がやってきたのでトライ。スクリューキャップ、とても便利ですね。まず見た目。先日のシャンボール・ミュジニー一級と、そんなに違いが無いような気がする。ただ、ワインの粘性が高いのか、グラスのへりにべったりとワインが流れる(あしがながい、っていうんでしたっけ?)。香りは、「出来たての木の家具に、ピノ・ノワールをぶっかけたらこんな感じ」というような。オーク樽ではなく、それ以外の木樽かなとは思うけれども、木の匂いがとても強い。で、チョコとチューインガムのイチゴ味みたいなやつ。
 
 口に入れてみると、酸味はそれなりあるけれども、穏やかな飲み心地。酸味、甘味、苦みのバランスがとれている。チリ産のピノ・ノワールは、苦み~コーヒー系ビター風味が強いことが多いけれども、こいつも御多分に漏れず、苦みとビターが明確だ。だから悪い、というのでなく、チリ産ピノ・ノワールの個性だと思えば悪い気もしない。おいしいワインじゃあないでしょうか。
 
 ※翌日は、木の匂いが少し落ち着いて、安ワインながら飲みやすくなった。2日目のほうが果実味の濃さを感じる。これはこれで飲めるワインではある。
 

【1602】Willy Gisselbrecht Riesling Vin d'Alsace 2015

 
アルザス・リースリング ドメーヌ・ヴィリー・ギッセルブレヒト
 ※リンク先はヴィンテージが異なります
 
 このワインも、アルザスの格安といって良いメーカーのリースリング。価格からいって、多少の欠点はあっても、とりあえずリースリングしていて、アルザス産っぽければ合格かなと思えるもの。果たしてどうでしょうか。
 
 まず香り。くぐもったような感じではあるけど、蜜のような感じが第一に、その後ろから、辛口リースリングにありそうな、緑色の台所洗剤系の香りがこみあげてくる。ぎりぎり合格といったところ。見た目は、リースリングらしい、黄色っぽさ~黄金色っぽい感じでこれはなかなか綺麗。
 
 口に含んでみると、すがすがしいグリーンな風味が口に広がる。ちょっと石灰岩っぽいゴワっとした感じを帯びていて、苦みの多寡まで考えると、イタリア、特にサルディニア島のヴェルメンティーノ種(の安いやつ)と勘違いしそうなところもある。心配した臭みなどは感じられず、けして典雅なリースリングではないけれども、さっぱりとしていて、蜜の風味とグリーン系の風味が割と調和がとれていている。ところが、飲み進めると酢酸の風味が強くなってきて、急にバランスが崩れてきた。半分二日目に残すけれども、これは駄目かもしれない。
 
 ※二日目。飲み始めは、やはり、すっきりとしていてグリーン系、まさにアルザスの安い白ワインの長所が存分に出ている感じ。ただ、飲み進めるとやはり酢酸が勝ってきて興を削がれてしまう。グラス一杯ならそれなりの評価でも、時間が経つとめっきがはがれてくる感じ。価格帯を考えれば、そこまで求めてはいけないのかもしれないけれど。
 

【1601】Villa Annaberta "Canaja" Rosso Verona 2012

 
カナヤ ロッソ 2012 ヴィッラ アンナベルタ IGP.ヴェローナ
  
 このワインは、イタリア北東部・ヴェネト州ヴェローナ近郊で作られていると思われるワイン。ヴェネト州は赤ワインの当たり外れが激しい地区で、立派なアマローネやヴァルポリチェッラ・クラシコがある反面、なんだかぐしゃぐしゃした赤ワインもあって、かなり難しい印象。
 
 こいつはなんでもアマローネと同じ製法でつくられていて、ヴィンテージも2012と少し時間が経っていてお試しには良さそうなので、やってみることにした。
 
 まず香り。煮豆系ですね。小豆とかを煮詰めたような甘くて田舎っぽい匂いがする。マッシュルームのような匂いとお線香、アセロラと来て、木の匂いもする。見た目はアマローネ同様、とても黒っぽくて不透明、少し赤茶色っぽい。
 
 口に入れてみると、穏やかな口当たりで、なかなかに奥深いというか、果実味に奥行きがある。甘さが強いわけでも、タンニンがごついわけでもなく、フレッシュなわけでもない、ただ、喉の奥までじっとりと残るような飲み応え、手応えがあって、この価格帯のワインとしてはかなり珍しい喜びがある。正規のアマローネ達と比較すると甘味が乏しく、苦みも足りないかもしれないけれども、商品としては面白いワインだと感じる。ローヌ産の濃い赤ワインとも少し路線が違うし、カベルネソーヴィニオンでつくられたワインほど穏やかでも杉/檜っぽくもなく、高級/低級メルローともまた違う。
 
 ※二日目は、少し野趣を帯びたジュクジュクのジャムに、ワインらしくてそんなにわざとらしくもない酸味がくっついていてなかなか良い。少しワンパターンだけど、森&オーガニックな風味が確かに効いていてワイン然とした美味さがある。純正アマローネとは少し違うが、見込みのあるワインではある。たぶん、また買いそう。
 

ワインの記録が1600回を超えた

 

 
 今年は久しぶりにワインを飲むスピードが早いほうで、半年ちょっとで100回ぶん増えた。人と飲む機会が多いと記録が早く進む。一日でボトル一本空いてしまうことや、グラスワイン単位で飲むことが増えるからだ。
 
 それはさておき、愛好するブルゴーニュワインについて、今、思っていることをちょっとばかりメモしてみる。後世の私が、このメモをどう読むのか知らないけれど、現時点の感触として。
 
 
・このワインの記録で「香木のような」「桐箱のような」と比喩している風味が、良いブルゴーニュワインの基準として以前よりも意識するようになっている気がする。以前は、森の下草、オーガニックな匂い(ともすれば、草食動物の糞に喩えたくなるような)などを重視していたし、それも重要ではあるけれども、加えて、香木系の香りが欲しいと思うようになった。
 
・転じて、これまで重視していたプス・ドールのワインの可能性をちょっと疑うようになった。この疑念が適切なのかどうかは、プス・ドールのストックを空けきるであろう、ずっと未来にならなければわからないが。
 
・数年前まで、中堅どころのブルゴーニュワイン(少しマイナーなエリアorメーカーの一級畑)は数千円も出せばだいたい手に入ったが、今では数千円で買える品はごく限られている。まあ、もうついていけないし、ついていくべきでもないんだろう。たまに良い品は買うとしても、同価格帯のワインはイタリアやローヌにすっかり心変わりしてしまった。
 
ブルゴーニュワインにコスパを求める、という発想自体が駄目だとするなら、奇跡のために少しだけ買い求めて、普段呑みはブルゴーニュワインからできるだけ遠ざかるのが正解、ということになるんだろう。
 
・ということで、現時点で中堅ラインを買うなら
 
 1.カリフォルニアも含めた新世界のワイン(とりあえず値段とクオリティが比例している可能性が高い)
 
 2.イタリア(特にアマローネとソアーヴェクラシコ
 
 3.ローヌ(濃い口な点を除けばまだまだ穴場)
 
 4.クリュ・ボジョレー(親しみやすく、全般にハズレが少ないと思う。文句を言うとしたら、これがボジョレー-ガメイ系って点だけ)
 
 あたりが無難のように感じられる。1.以外は「有名な赤白ワイン品種の王道」とは言えないし、好みの分かれるところなのかもしれないけれども、とにかく、身の丈を超えない範囲でやっていきましょう、と思ったりしています。
 

【1600】Domaine La Pousse d'Or Chambolle-Musigny 1er Cru Les Feusselottes 2011

 
プス・ドール シャンボール・ミュジニー 1er フスロット 2011
 
 1600本目の記念に何か良いワインが欲しくて、ゴソゴソ探し回ったけれども、なんだかちょうど良いワインが見つからない。1000回とか1500回なら、誰がどう見ても立派なワインを連れてきて良い気がするけれども、100回増えただし……と思ったら、いわゆる早飲み系とおぼしきヴィンテージの、記憶にない一級畑のワインが見つかった。これに決定。
 
 まず見た目。明るいピノ・ノワールで、透明感もあり、少し朱色方面のカラースペクトルでまずまず輝きがある。香りを確かめると、チョコレートのような香りがストレートに鼻腔に飛び込んでくるけれども、こいつにはミネラリーな感覚が伴っている。カレラのミルズに少し似ている。同じヴィンテージ、同じメーカーの、このときのヴォルネ・(エン)カイユレと比較すると、はっきりと香りが強く、甘くて豊かで、ミネラリーなためか品が良いと感じる。
 
 口をつけると、やはり弱めのアタック。しかし、その数秒後にはちきれるようなストロベリー系の果実味がパーッと現れて、数秒後にまた消えていった。ストロベリーに、少しアセロラっぽさを足したような軽い甘味が長く続くようになる。ここでも、ほんのりとミネラリーな雰囲気がついて回って、一定の雰囲気をつくりあげている。
 
 飲み進めると、ローソクのような匂い、いや、蜜蝋か?……それと香木、香木っぽさが加わってきた!飲み心地がミルキーになってきて、とても親しみやすい。煮込んだ小豆のような雰囲気もある。ブルゴーニュ中枢部北部(コート・ド・ニュイ)っていうより、よくできたヴォルネイじゃないかと思ってしまうけれども、世間的には逆でヴォルネがシャンボール・ミュジニーに近い、ってなるんだろうか。飲み始めの時期は、ヴォルネのよくできたワインに劣るとさえ感じたけれども、だんだん辻褄が合ってきて面白くなってきた。
 
 ※二日目になると、親しみやすさから始まったけれどもやがて失速、つまらなくなってしまった。ということは、このワインの潜在性は乏しかった、ということか。ここにきて、2011年の良クラスブルゴーニュの非力さを感じることが多いのは、やっぱり、このヴィンテージはバッドということなんだろうか。まだ自宅に残っていたような気がするので、赤については、処分してしまおう。

【1599】Willy Gisselbrecht Pinot Blanc Vin d'Alsace 2015

 
アルザス・ピノ・ブラン[2014]年・ドメーヌ・ヴィリー・ギッセルブレヒト元詰
 
 このワインは、アルザスワインのなかでもえらく安いメーカーの、ピノ・ブラン。ピノ・ブランって、どう楽しめば良いのか今一つわからない時期もあったけれども、「ソアーヴェクラシコか、イタリアの軽い白ワインのような感覚で」楽しみ、評価すれば良いと気づいてからは、お手軽品が欲しくなった。で、こいつは格安のうえ、ヴィンテージが若めなのでトライしてみることになった次第。
 
 グラスに注いでみると、ほんの少し赤みがかっているかもしれない(というより、緑系ではない)薄めの白ワイン色、いかにもピノ・ブラン。ほんの少し、気泡も混じっている。香りは、蜜系ではなく青々しい系、台所洗剤の香りのなかでも、ライムに近いような香りが強い。
 
 口に含むと、温度が足りないせいか、少し日本酒っぽさが感じられる。ゆるい。もっと冷やさなければいけなかったか。温度の問題か、抜栓直後の問題か、それともこのメーカーか輸入経路の良くないところか、飲み口には玉葱めいた、汗っぽさが当初感じられたけれども、やがて焼き葱のような風味に変わって、風味としては落ち着いた。シャルドネなどに比べると、口当たりは柔らかくてフワフワとした飲み心地で、水のように飲めてしまう。水のように飲んでも引っかからないのがピノ・ブランのいいところ(そしてソアーヴェクラシコも同様)だと思う。そこに焼き葱の風味が一枚噛んでいて、意外と面白い。単調だし、これがこの品種の王道とも思えないけれども、気楽でワンポイントのアクセントもあって良かった。
 
 ※二日目も意外と痩せず、焼き葱っぽさが健在。