北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【2596】Domaine Francois Carillon Saint-Aubin 1er Cru Pitangeret 2020

 
フランソワ・カリヨン サン・トーバン 1er ピタンジュレ [2020]
 
このワインは、かつて我が家ではブルゴーニュ白のハイローミックスのローを担当していたフランソワ・カリヨンがつくっているサン・トーバン一級。ブルゴーニュ高騰によって、もうローだなんて言えないような価格になってしまった。今回は平格ブルゴーニュ白→サントーバン村名格→この品の三本飲み比べのトリとして登場。果たして結果を出してくれるだろうか。
 
まず見た目をチェックしてみる。単体ではやや緑色がかったレモン色。昨日の村名格のサン・トーバンと比較すると、こちらのほうがわずかに色が濃いけど、これは隣あわせに比べてぎりぎりわかるぐらいのもの。
 
香りは……あまり感じない。若すぎる抜栓だったことにお怒りのようにも感じられる。それとも廊下に置いておいた温度が低すぎたのか? 仕方なく口に運んでみると、うわっとミネラル感全開! 酸味全開! 昨日のサン・トーバンとよく似ているけれども、こちらのほうがミネラル感が強く、それでいてフローラルな花の香りがいっぱいなのと、ちょっとフルーティーだ。酸の余韻の長さはだいたい同じなんだけど、こちらには甘やかなところがあり、ミネラル感が強いにもかかわらず寛がせるところがあってサービス精神旺盛だ。一方、あちらは酸味が鋭い、というか険しくてがさがさしている。テクスチャははっきりとこちらが上だ。飲み進めるうちに香りが開いてきて、花畑系のフレーバーが強まった。
 
一級なのにスッと口に入ってくる・飲む者の懐に入ってくる当たりのやわらかさ、飲んでやさしい感じはこのワインのすばらしいところ。この作り手のピュリニーモンラッシェ一級もそうだけど、人を威圧するところがなく、付き合いやすく、それでいて一級らしさを捨ててしまうわけでもない姿には好感が持てる、というか自宅に置いておきたいのはこういうワイン。超一流の作り手の特級や一級と並べるとさも平凡にみえるだろうけど、好みなのはこういうやつです。
 
※二日目。ここでも飲みやすい風味は健在、気難しい感じからは程遠い。でもって、青々とした香りが良かったり、ときに強い梅系の香りがよぎったり、変化のほどもある。
 
 

【2595】Domaine Gachot Monot Saint-Aubin 2021

 
ドメーヌ・ガショ・モノ サン・トーバン ブラン [2021]
 
まず見た目。これはうっすらとした緑色を帯びていて、かなり色は薄い。飲み比べ対象の平格ブルゴーニュ白と比較しても、こちらのほうが薄い。そして緑色が明白。香りは、こちらも青々しさの目立つさわやか系で、比較的似ている。でもこちらはローソクの香りが初手から伴っている。
 
口をつけてみると、違いはかなり明白。こちらは酸がしっかりしていてその余韻が長い。かなり長いぞ! あちらはふっくらとしたボディだったけれども、こちらはそれよりスリムで、代わりに石っぽさ、シャブリ寄りの風味がかなりある。化粧品みたいな香りもこちらには伴っている。うん、いいんじゃないでしょうか。
 
※翌日。フランソワ・カリヨンのサン・トーバン一級との比較。ヴィンテージのおかげか、酸味はこちらのほうがしっかりしているけれども、こちらのほうががさがさとしている。あちらのほうが滑らかで丁寧なのはフランソワ・カリヨン節って感じだ。こちらは風味では勝っているぐらいだけど、飲み比べてみると、こちらには「びり」っとしたニュアンスがある。ということは僅かに痛んでいたりしたのだろうか? 一般的には飲める部類だし、平格ブルゴーニュ白と比較すれば圧倒的にこちらのほうが品質が上なのだけど、同じサン・トーバンの一級を相手取ると、さすがに格の違いがあるかもだ。あと、終盤に少し木材のような香りをおぼえた。
 

【2594】Cave de Lugny Bourgogne Chardonnay " Eugene Blanc " 2022

 
カーヴ・ド・リュニー ブルゴーニュ・シャルドネ [2021]
※リンク先はヴィンテージが異なります
 
このワインは、そんなにすごくないワインをつくっているブルゴーニュのカーブ・ド・リュニーの平格ブルゴーニュ白。今回はブルゴーニュシャルドネ3本飲み比べの一番手としてお出ましいただいた。
 
まず見た目。まあまあ黄色く、薄すぎず濃すぎず。ちょっと緑色がかっているかもしれない。香りは、さわやか系ブルゴーニュなんだけど少しクッキーもよぎる。ここでいうさわやか系とは、南国フルーツ系でなく、もっと青々しい感じのさわやかさがよぎるって意味合い。
 
口に運んでみると、しかし飲み心地は少し南のシャルドネ風。というか、このシャルドネ、いわゆるミネラル感、石・大理石・石灰岩などを連想させる力がそこまで強くない。あと、このワインは酸が弱い。いくらかシャブリに似ているけれどもシャブリに比べると酸がかなり弱い。とはいえ、ふっくらとした飲み心地にだれない香りが伴うのは好ましいことではある。それと、いつもより少し多めに飲んでいるけど酔いが回りにくい。飲めてしまう。そういう点でもなんとなく好感がもてるワインだった。
 
※二日目。サントーバン2021との比較。こちらのほうがフルーティーだけど、こちらのほうが酸が弱く、ふっくらしている反面ふわふわし過ぎて散漫と感じる。それと少し苦みが強い? 決してまずいわけじゃないけど格上と対峙するといい勝負ができない。
 

【2593】Farnese Terre di Chieti Rossoreale 2022

 
ファルネーゼ ロッソレアーレ 2022
 
このワインは、自宅の安ワイン入れに入っていて自分でもどういうワインか忘れて久しい、とにかくイタリア産の赤ワインということだけわかっている品。企画はIGT(IGP)なので、特定の産地・品種については不明。せっかくなのでわからないまま飲んでみよう。
 
色は青紫色がかっていて、あまり赤茶けた感じではない。これだけ見ると国際品種でつくられているのでは、と思える。香りはカベルネ・ソーヴィニョンっぽいけれども墨汁や炭のような香りは感じられない。梅っぽさもあるなー。そこがちょっとよくわからない感じだ。
 
口に運ぶと、タンニンがかなりしっかり。ふさふさとしている。梅系の酸味が先行して、果実味もあるけれども甘ったるい感じがしない。じゃあ、これがボルドーっぽいかといったらそうとも言えず、果実味に落ち着いたたたずまいやミルキーっぽさがあまり感じられない。このワインの素性はいったいなんだろう。イタリア産だとして、これなんだろうなあ。シチリアあたりでつくられた国際品種ワイン?
 
蓋をあけてみると! なんとアブルッツォ州でつくられたサンジョベーゼとか! うーん、ぜんぜんわからなかった。そういわれるとそんな気もするけど、初手では見当がつかなかった。修行不足です。飲み進めるとイタリアのサンジョベーゼにありがちな軟膏・膏薬めいた風味もあるような気がするけど、後付けっぽく、やっぱりこれを飲んでいても国際品種が思い浮かんでしまう。梅系の酸味からは、アブルッツォ州のモンテプルチアーノ・ダブルッツォみたいなものまで連想して、これをブラインドテイスティングしたら的が絞り切れなくて絶対に不正解しそうだと思った。
 
※翌日はとても平凡な赤ワインになりました。
 
 

【2592】Domaine Gachot Monot Cote de Nuits Villages Rouge 2020

 
ドメーヌ ガショ モノ / コート ド ニュイ ヴィラージュ [2020]
 
まず見た目。黒々としていて青紫色かかっている。ブルゴーニュ赤のなかでも濃い口な感じだ。カシスリキュールっぽいけど、赤茶けたタイプでなく青紫色が勝ったタイプの、あの色だ。香りは、べったり葡萄系、あまりブルゴーニュ赤に特異的なものとは感じなかった。カベルネフランからヨモギハーブ風味をとっぱらったような印象に近い。
 
口に運ぶと、まったりとコクがあってふさふさふわふわタンニン、そこにコーヒーみたいな強いコクが伴っている。酸味はそこまででなく、舌ざわりにざらっとした感じを伴う。アンヌ・グロのオート・コート・ド・ニュイのボトルを連想させるところがあるけれども、香料でみせるでなく、素直な果実の風味がこちらの長所とみえる。凝ったワインではないかもしれないけれども、これはこれで楽しい品。
 
※二日目。二日目も、なんだかよくできたカベルネフラン(ただしヨモギ・ハーブは除く)みたいなやつがあるなぁ。酸っぱくて、ふわふわしていて、あまーくて。すごいワインではないのだけど、まったりと旨く、その旨さの基調は果実味だ。コケモモって言葉を連想したくなる。それかメルキュレのメルキュレ・フランボワジエールから森っぽいニュアンスを除去したらこうなるんだろうか。個人的には二日目のほうが良いと思う。とてもハッピーにいただきました。
 
 
 

【2591】Pierre de Chanvigne Blanc de Blancs Brut (N.V.)

https://takamuraplus.jp/shopdetail/000000015282/takamuraplus.jp
 
このワインは、フランス産のたぶんヴァン・ムスーと思われるスパークリングワイン。春めいてくると、こういう軽いタイプのスパークリングがうれしい。そんな凄い泡じゃなくて構わないので、軽いところでいっちょお願いします。
 
まず見た目。麦わら色ではあるけれども、かなり薄い。ひょっとしたら緑色が入っているかも? 泡は、意外にしっかりと細かな泡がたちのぼってきて十分にきれいだ。香りは初手ではあまりはっきりしない。
 
口に運んでみると、これは夏みかん系のシトラスだぞ? シャンパン系のリンゴやオレンジでなく、このワインは夏みかんやはっさくといった、白系柑橘を思わせるものがある。レモンほど酸っぱくないしライムほど青々しくもない。ほんのりと苦みが宿っているところまで、夏みかんや八朔に近い感じがする。うんうん、こういうのでいいんだよこういうので。引っかかりどころも無く、どこまでもするすると飲める品だ。