ドクターローゼン リースリング クーベーアー
平日の夜、10時からワインを開けたいとなると、いくら嫁さんが手伝ってくれるとなっても普通のワインはちょっと手が出ない。けれどもアルコール度数の低いドイツ甘口ワインならいいじゃないかと思って、夜10時にこのワインを開けてしまった。
色を見ると、なんとも薄くて頼り無さそうな白ワイン色。でも普通のリースリングってこんなものだよねと思って懼れず匂いをかいでみると、ちょっとオイリーさを伴った花畑の匂い&酸っぱさがこんもりと上がってくる。
口に入れてみると、まず舌の上にレモンクラスの酸っぱさがピーンと入ってきて、その脇から、伊予間のような甘味がジュワーと口のなかに広がってきた。少し苦味があるけれど、グレープフルーツや八朔を連想させるようなものでなく、もう少し甘めのかんきつ類に隠れていそうな苦味に過ぎないレベル。しっかりした酸味と、意外なほど甘い甘味が、拮抗しているような感じがする(融合しているとか喧嘩しているというよりは、38度線を境に向かい合っているような)。このせいで、甘くてダレるでもなく、スレンダーすぎて手に負えないでもないんだけど、ちょっとくつろげない緊張感がある。
これはなんなんだろうと思いながら、冷蔵庫で冷えていた二杯目を呑むと、問題解決、酸味と甘味が綺麗に重なって違和感の無い、呑みやすく、それでいて気品のあるワインになった。十分に立派で気持ちよく飲めた。