北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【0954】Domaine Jean Grivot Clos de Vougeot 2009

 
ジャン・グリヴォ クロ・ド・ブージョ 2007 特級
 ※リンク先はヴィンテージが異なります
 
 このワインは、一応特級のクロ・ド・ヴージョ。この畑のワインは、出自からしてなんだか面倒だと思って避けてきたけれど、2009年パワーならなんとかならないかと思って早呑みしてみることにした。
 
 色は、意外と透明度の高い、ガーネットな色合いの赤ワイン。透明感のはっきりしたピノ・ノワールとして矛盾しない。ところが抜栓した時からもうもうと匂いがこみ上げてくる……甘酸っぱさとチョコ系のふくよかさ、チョコはチョコでもゴッテリ系チョコというような濃度の高い匂いがする。そして雨の日の裏庭のような、湿って植物めいた凄い匂いが初手から伴っている。ローソク系の揮発臭も奥深い。
  
 口に運んでみると、まず、スルスルと甘くて口のなかいっぱいにクランベリーを詰め込んだような、幸せすぎる味が充満した。その後からやって来る軽い苦みとタンニンもするする入っていく。結構充実感のある口当たりで、ある時はしっかりした苦みが、ある時はローソク系や梅干し系が、ときには柔らかい口当たりが意識されて、万華鏡のようだ。充実感があるから、どんな呑み心地の時も「美味しさ」という点では文句無し。そしてタンニンのお陰か、それとも素性の良さのお陰か、大雑把と感じさせない神経の細かさみたいなものがある。表情豊かなのに、ピシッとした一貫性がある。
 
 いやー、これは素晴らしい、すごく素晴らしい。今が一番美味いのか、これからもっと美味いのかはわからないけれど、ゆったりさと複雑さ、繊細さとおおらかさを併せ持っていて、とても幸せなひとときとなった。