北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【1573】La Pousse d'Or Volnay 1er Cru En Caillerets 2011

 

  
 まず見た目は、ヴォルネとしては比較的濃くて暗い部類なんじゃないかというような。香りは、湿ったチョコレート&梅系のフレーバー。若く、あまり香り立ってきているとは言えない感じ。
 
 口をつけてみると、これがなんとも軽い。すっごく軽い。アセロラっぽさを帯びた軽い甘味と、かなりふさふさとしっかりしたタンニン。軽いワインのボディにこのタンニンは、あまり良い組み合わせではないような気がするけど、無茶苦茶熟成させればなんとかなるんだろうか。とりあえず、これはすぐに飲めたものではなさそうなので、試飲ぶんも含め、残ったワインを6時間放置することにした。
 
 待ってみた後、森の下草のような香りがしっかりと漂うようになり、タンニンの剣呑さがだいぶとれて、飲み心地がツヤツヤしてきた。ピノ・ノワールなのに蜜を煮詰めたような熱っぽい香りも伴っている。
 
 ※二日目。果実味が強まり、鉄っぽく力強い調子になってきて、ああ、カイユレだ、カイユレが来たぞという感じ。ヴォルネの一級ワインのなかでは、カイユレはいつも二日目にこんな姿になる。でもって、初日と同じく、蜜を煮詰めたようなあまーい香りを伴っている。2011年はあまり良いヴィンテージではないという話をきくけれども、まだ眠らせておいてみよう。

【1572】Cavicchioli Lambrusco Grasparossa Amabile (N.V.)

 
カビッキオーリ ランブルスコ グラスパロッサ アマビーレ
 
 暑い夜に呑むランブルスコは、無条件で旨いけれど、今日の品は、カビッキオーリの定番品。絶対にはずさないでしょう。
 
 まず見た目。ランブルスコとしては濃いカシスレッドで、なにより、泡がピンク色にきれいに染まっていて、生ビールよりももっとモコモコとした泡が吹き上がる。香りは、ほんのりと飲むヨーグルトブルーベリー味っぽいやつが来る。
 
 で、飲んでみると、今回は意外と苦みと果実味がしっかりしていて、後味には甘い味が来るけれども、ランブルスコの中甘口にしてはビター。苦みと、ランブルスコにしては豊富なコクのおかげで本格派赤ワインに近いかな、と思ったりした。でも、少し経つと飲むヨーグルトブルーベリー味っぽい雰囲気がせりあがってきて、いつもの雰囲気に寄ってきた。にしても、あいかわらず美味くて、生臭さがなくて快適。もうランブルスコというジャンルは、これ一種類でいいんじゃないかとも思ってしまった。
 

【1571】Golan Heights Winery "Yarden" Galilee-Galilaa Chardonnay 2015

 
ヤルデン シャルドネ [2015] ゴラン・ハイツ・ワイナリー
  
 このワインは、イスラエル産のシャルドネ。なんとなく目に留まったので買ってしまったもの。コテコテなんじゃないかと予想しつつ抜栓。
 
 まず、グラスに注いでみると、かなり山吹色側に傾いた黄色っぽい色をしている。なかなか生意気な面構えをしている。で、香りを確かめると、白桃と台所用洗剤の香りがどっかんと来て、その後に、もうちょっと黄色っぽい果物の香りと、蜂蜜っぽさがやってきた。あとはあれだ、フルーツポンチの液体の匂い、ああいう甘い匂いが漂ってくる。
 
 口にしてみると、まさにフルーツポンチのような甘い味わいが口のなかに炸裂、その後に、すこしゴワっとした酸味が口のなかに広がった。酸味にはある程度の苦みと僅かなえぐみがあるかもだけど、一番印象に残る点は、サルディニア産の白ワインにでもありそうな、スカッとしたニュアンスを伴っているところ。あと、百合やヒヤシンスを思わせる、妙にさっぱりしたところがあって、クッキーや蜂蜜やナッツもなくはないんだけど、ムルソーを真似た、というのとは雰囲気がだいぶ違う。
 
 とはいえ、風味が豊かでバリエーションもなかなか、価格を考えればお買い得の部類に入るシャルドネではありそう。これは、また買うような気がする。
 
 ※二日目。苦みを帯びた強いミネラル、です。蜂蜜クッキーと、爽やか&ミネラルがせめぎ合っていて、とても飲み心地が良い。昨日も感じたけれども、サルディニアの、たとえばアルジオラスがシャルドネを作ったらきっとこんな感じになるんじゃないのかな、というような。これは意識しておこう。
 

【1570】Argiolas "Perdera" Monica di Sardegna 2013

 
アルジオラス ペルデーラ
 
  
 このワインは、以前に飲んでおいしかった記憶のある、サルディニア産のワイン。抜栓してすぐから、翌日にかけて十分おいしいワインだったと記憶している。はたして今回も大丈夫か。
 
 まず見た目は、透明度の低い、かなり暗い赤ワイン。香りは、初手では梅系お線香っぽかったけれど、すぐにおはぎや草餅のような、和風の甘い香りが混入してくる。その奥に梅ジャムみたいなニュアンスも。初手でこれだけ香りが来れば十分。
 
 口に入れると、コクのあるしっかりとした口当たりの次に、梅ジャム~梅お線香じみた梅系の果実味が鼻腔をかけあがってきた。酸味はほどほどで、タンニンはそれなりあるけれども口当たりが良く、バサバサ感は気にならない。
 
 で、今回は、フランス・ローヌ地方のジゴンダスや、イタリアはヴェネト州のアマローネもかくやというような、ギュッとした果実味がミルキーな口当たりを伴って立ち上がってきて、人をたぶらかすような甘さを伴ってもいる。それでいて堕落するほどでもなく、思ったよりも品が良い。やはり狙い目か。
 
 ※翌日になると、香りの集中力が一層高まって、お香を炊いているかのように突き抜ける香りになってきた。エキゾチック!良かったです。

【1569】Louis Latour Bourgogne Chardonnay "Cuvee Latour" 2015

 
ルイ・ラトゥール ブルゴーニュ キュヴェ・ラトゥール ブラン [2014]
 ※リンク先はヴィンテージが異なります
 
 色は、あまり黄色っぽくない、平角ブルゴーニュとしてはよくありそうなもの。香りは、ツーンと爽やかな香りが中心で、蜜っぽさはあまりない。
 
 口に入れると、くせの少ない、なで肩のシャルドネ。苦みや酸味はしっかりあるけれども、肩をいからせるようなところがなくて、軽いところでバランス良くまとまっている。ルフレーヴのつくったマコンなんかと比べても、いっそう爽やか系・スレンダー系だけど、そこに割り切ることでシャープな飲み味でとても良い。たとえばアルファ・ゼータの割とおいしいシャルドネに比べると、このワインのほうが生命力の発露はみられず風味も弱いんだけど、生命力や風味を抑えて品の良いところでまとめているのはこちらだと思う(で、新世界の同価格帯シャルドネの多くは、アルファ・ゼータよりも更に生命力や風味の強い領域にいるとも思う)。そりゃあ偉大なワインには遠いけれども、普段呑みはこれぐらい軽いほうが望ましいし、雑味も感じられず、終始良い感じだった。
 
 ※二日目も、とても軽やかでさわやか、少し苦みが増したかな? 程度。おいしかったです。
 

【1568】Marcel Lapierre Raisins Gaulois 2016

 
ラピエール レザン・ゴーロワ 2016
 
 このワインは、先日とても良くて来たモルゴンに遭遇してびっくりした、ラピエールが作っている格下のがぶ飲みワイン。とはいっても、全部の葡萄をモルゴンの区画から摘んでいるというので、どこか、モルゴンらしさのあるがぶ飲みワインであって欲しいところ。少し冷やしてから飲むことにした。
 
 まず見た目。明るい!そしてショッキングピンクみたいな、異様に明るい色彩を帯びていて、蛍光塗料でも混じっているんじゃないかと思うような、明るい色合いをしている。香りは、すごく粘土臭い。嫁さんは「このワインは納豆臭い」と言っていたけれども、ただの土とか、いつもの森の下草とか、そういう比喩ではなく、もっと臭くて独特な、凄い匂いを宿している。
 
 口に含んでみると、そんなに濃くないアタック、でも滋養たっぷり、こってりとした口当たりで、タンニンは非常に柔らかく、果実味がじわじわと口のなかにこみあげてきて、後味の段になると「うめえなあ……」としか言いようがない。
 
 ※二日目も、初手では納豆のような臭みが感じられた。これがこのワインの弱点なのか。ただ、そこを通り過ぎれば円やかな口当たりで元気の出そうな滋養たっぷりなボジョレー-ガメイ系のワイン。スミレのような香り(ただし、イタリアのキアンティ系のそれとは系統が違う、語彙力が欲しい)もたっぷりとしていて満足感がある。たいへんおいしくいただけた。