北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【1649】Conte Majoli (Tezza) Amarone della Valpolicella 2012

 
アマローネ デッラ ヴァルポリチェッラ ヴァルパンテーナ テッツァ
 
 イタリア北東部の濃いくち赤ワインの有力候補、アマローネ。このワインは、トスカニーが独自に輸入しているマイナーなメーカーのもの。ただ、トスカニー独自輸入は割とお買い得なワインが多いので期待したいところ。 
 
 グラスにどぼどぼ注いでみると、「おしるこ」のような色だと思った。ちょっと赤茶色がかったカラースペクトルかもしれない。透明感はあまりなく、べったりしている。
 
 その時点でミルクチョコレートの香りがあたりにぶわーんと広がり、グラスに鼻をつっこんで息を吸い込んでみると、梅線香系の香り、そこから更に一般線香系の香りがふきあがってきた。つまり、木とか杉とか、そういう連想をさせる香りがこいつには伴っている。
 
 口をつけると、苦みとごつい果実味が第一印象。この段階ではそれほど甘味がなかったけれども、飲み進めるにつれて、甘さをかなり伴ったワインだと感じるようになってくる。果実味に芯の強いところがあるというか、鉄っぽさを幾らか伴っていて、「男性的なワイン」と呼びたくなってくる。二杯目に入るぐらいには森の朽木のような匂いがもうもうと伴ってきて興味深くなってきた。このクラスのワインにはあって欲しい、オーガニックな感じがする。それでいて古びた感じではなく、これはまだ早飲みという予感がする。なかなか。
 
 ※二日目もだいたい同じだけど酸味がちょっと勝つ展開だったかもしれない。
 

【1648】Carreduenas Vin Vino de Concejo Garnacha Joven 2014

 
カレデュエニャス ガルナッチャ ホーベン [2014] 

 寒い季節は白ワインよりも赤ワイン、それも日常用のやつが欲しくなることがある。そんなところで、スペイン産のガルナッチャ(フランスでいうグルナッシュ種)の安いワインが手元にあったので開けてみることにした。
 
 まず見た目。不透明でものすごく濃い、特濃赤ワインといったような。香りは梅系線香を炊いて、その横で梅干を干しているような香りがギューンと飛び込んできた。強烈。その後ろから、もう少しマイルドな甘い香り、葡萄果実らしさがついてくる。
 
 口に入れてみると、甘さ控えめ、アタック控え目とおもいきや、数秒後に酸味どっかんタンニンどっかんな凄いやつが来た。香りもそうだけど、挑みかかってくるようなところがある。口のなかに苦みと墨汁フレーバーが広がり、ビターな味わいを口のなかで転がすような、渋い構成が続く。「スペイン産のガルナッチャ」としておかしな雰囲気ではないにせよ、さすがにちょっと渋すぎる。食事には合うのでそれは良かった。
 
 ※二日目。だいぶマシになったというか、酸味と果実味が少し強くなったおかげで飲めるバランスになった。初日はちょっときつすぎると思う。二日目は、なんというか普通の濃い赤ハウスワイン系というような。元気が出るようなワインとは言えない。

【1647】Santa Digna Chardonnay Reserva 2017

 
サンタ ディグナ シャルドネ レゼルヴァ 2015 ミゲル トーレス チリ 750ml
 
 まず見た目。シャルドネとしてはかなり白っぽい色をしていて、軽い風味のつくりかな?と連想などした。香りを確かめると、爽やかな花の香りがするかしないかで、特徴的なところはほかになし。うーん、いまいちかな。
 
 口に入れると、酸味のしっかりしたシャルドネなんだけど、口のなかで木樽とおぼしき風味がふっくらと膨らむ。ただ、それに果実味のボリュームがついてきていないのか、風味ばかりが風船状に膨らんでいる感があって、ちょっとチグハグな印象は否めない。こういうチグハグさはチリ産シャルドネには割とありがちで、あまり得手ではないかも。同価格帯の南仏産だともう少しトマト野菜系が強くなりそうで、同価格帯のイタリア産だと酸味一辺倒になりそうな気がする。ともあれ、これはこういうものとして楽しんでナンボ。
 
 ※二日目は、植物の茎のようなエグさも加わってますますしんどいワインとなった。こういうの感心しません。このワインに払っていいのは800円まで。
 

【1646】Canaja Gold Rosso Verona 2010

 
カナヤ セレツィオーネ ゴールド ロッソ ヴェロネーゼ 2010
 
 このワインは、だいたいアマローネなワインをヴェローナ近郊で作っているメーカーのもの。ヴィンテージが古いものがみつかったので挑戦してみることにした。
 
 まず見た目。暗くて赤い、いかにもアマローネ系の濃いワインレッド。透明度は低めで、ねばついている。香りは、イタリアワインにありがちな軟膏系の匂いと、カカオのたくさんなチョコレートの匂いがする。すごく濃い。
 
 口に運ぶと、じゅくじゅくジャムっぽい果実味がこみあげてくる。初手は苦味やチョコレートよりも果実が優勢で、そこにコーヒーみたいなこくを伴っている。これはこれで旨味のあるワインではあるけれども、アマローネのコピーとしてはちょっと方向性が違う気はする。飲み進めても、あまり奥深さや変化がみられるでもなく、まあ、果実味もあるしジャムもあるしだけど底が浅いし変化も乏しい。決してまずいワインではないけれども特筆するほどアマローネに迫っているとも感じなかった。
 
 ※二日目もあまり姿が変わらない。頑丈なワインではある。
 
 

【1645】Golan Heights Winery "Yarden" Galilee-Galilaa Chardonnay 2015

 
ゴランハイツワイナリー ヤルデン シャルドネ
 
 このワインは、つい先日もあまりの美味さに大喜びしたイスラエル産の白ワイン。お手頃でおいしいので複数本買っていたので、今回また飲んでみることにした。
 
 まず香り。今日は、フルーツポンチと夕張メロンといったシャルドネのなかでもリッチでちょっと南国っぽいフレーバーが初手で来る。クッキーや蜂蜜はその後から追いかけてくる展開。見た目は、あいかわらず黄金色っぽくて、まるでムルソーのようだ。立派な色をしている。
 
 口に言えると、まさにフルーツポンチと夕張メロンと蜂蜜。くつろいだ味で、リッチそのもの。それでいて、酸の気持ち良さを見失うことはない。ときに、石灰岩のような荒々しさを伴うのも似つかわしく、相変わらず面白いワインだ。素晴らしいワインだった。
 
 ※二日目は、夕張メロンのような風味が前景に出て、ちょっと新世界シャルドネ風ではあるけれども満足できる出来。酸と果実味がしっかりしているので、夕張メロンが迫ってきても空虚さを伴っていないのは美点。ブルゴーニュの一級や(ソゼとか、ルフレーヴのつくった)最高級の平格シャルドネのような酸のきめ細かさは無いとしても、総合力とコストパフォーマンスを考えれば十分にお買い得。完成度が高すぎる。
 

【1644】Comtes Lafon Volnay Santenots du Milieu 2013

 
ヴォルネイ プルミエ・クリュ サントノ・デュ・ミリュー [2013] 
 
 このワインは、コント・ラフォンが作っているヴォルネ(ただしサントノ)の赤ワイン。ヴォルネファンとしては捨て置けない名品だし、それでいて価格的にも何とか手に入らないことがないギリギリの水準。でもって、このボトルは市場価格の約半分の値段で叩き売られていたので、「わけあり」を承知のうえで購入してみた。
 
 まず抜栓時にちょっと驚く。なんと、コルクが屑コルクだ!コント・ラフォンの印字はされているし長いコルクでもあるけれども、屑コルクは屑コルク。コルクの上に張られたコント・ラフォンのシールは本物っぽくみえるけれども、こいつは大丈夫なのか?
 
 グラスに注ぐと、他の赤ワイン品種に比べれば明るく薄い、ピノ・ノワールらしい色彩。けれどもヴォルネ産のピノ・ノワールにしては暗いほうだと思う。香りは、初手ではミルクチョコレートが少し弱く匂う程度で、その後から、以前、ヴォルネサントノで感じた香木系の香りが厳かに立ち上がってきた。甘い煮豆やジャムの要素も。香りの押しは正直あまりしっかりしていないけれども、バリエーションはかなり豊か。
 
 口をつけると、ゆったりとした口当たりでお出迎え。ミルキーでこってりしたスタートが、数秒後には凝縮果実系、さらに苦みと適度なタンニンを伴ったしっかりとした口当たりに辿り着く。ほんのりベーコンのような風味もある気がする。若干苦みが強いかもしれないし、若干香りのパワーが弱いかもだけど、風味のバリエーションと迸る生命力からは、コント・ラフォンをほうふつとさせるものがある。もし偽物だとしても、よほど巧くつくられた偽物か。たぶん、本物だけど少し悪い環境に曝されて捨て値で流通していたとか、そういうのじゃないだろうか。定価で買っていたら憤慨していたかもしれないけれども、入手価格にみあった程度のワインなのは間違いない。
 
 そうこうするうちに、果実味と香木っぽさが猛烈な勢いになってきて、ほんの少しスパイシーな風味も帯びるようになった。つくづく魅せてくれるワインだ。
 
 ※二日目は酸味が勝ってしまってバランスのとれたワインとは言えなくなってしまった。やはり、ちょっと弱っていたんじゃあるまいか。それでも、酸が勝っているがために鉄っぽい迫力みたいなものを伴うようにもなった。そして香木っぽさやこってりとした味わいは健在。