北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【1729】Pieropan Soave Classico 2017

 
ピエロパン ソアーヴェクラシコ 2017
 
 どうも、ソアーヴェクラシコという白ワインジャンル自体が不人気なのか、ワイン値上がりが続くおり、名門・ピエロパンのワインはいっこうに値段があがらない。こんなに美味しくても不人気なのは、味わいが淡くて印象が薄いから、なんだろうか。ファンとしてはありがたい限りだけれど。
 
 グラスに注いでみると、今回は気泡がちょっと入っている。見た目は、薄い麦わら色の、いわゆる「薄めの白ワイン」な感じ。香りにほんわりと温野菜風味を伴っているのはいつものとおり。
 
 口をつけると、ライトな酸味とフワフワとした口当たり。ワインの風味にインパクトを求める人には、ふにゃふにゃと頼りないワインと感じられるに違いない、曖昧なやつが来た。グレープフルーツや八朔のような、かんきつ系の酸味と甘味もあるけれども、キリっとしていない。一般に、キリっとしていないのは白ワインとして評価されなさそうだけど、ここのソアーヴェはそれが売りだといわんばかり。でもって非常に潤いがあって、水よりも水っぽい。暑い盛りに涼みながら飲むとたまらない。いまどきのワインとして低評価なのはわかるけれども推したい。好きなやつだ。
 
 ※当直業務の中一日をはさんで対峙。意外にワインが壊れていない。繊細なワインだけにぶっ壊れているかと思いきや、まだ息していた。夏の夜を涼しくしてくれた。

【1728】Santero Pinot Chardonnay Spumante (N.V.)

 
サンテロ ピノ・シャルドネ スプマンテ
 
 暑い日の定番スパークリングワイン。サンテロのそれは「イタリアのスプマンテ」らしい出来栄えで価格も手ごろで割と好き。
 
 で、グラスに注ぐとほんのり黄金色のスパークリングワインで、細かな泡が早い速度で立ちのぼる。粘りのある雰囲気ではないけれども、そこまで言うのは期待のしすぎというもの。香りは、夏蜜柑のような香りとメレンゲ-トースト系の匂いが混じっていて思ったよりもスパークリングワイン然としている。
 
 で、口に入れると夏蜜柑系の泡。夏場で冷やしが足りなかったのが心残りながら、それでも持前の酸っぱさ、夏蜜柑らしさで爽やか。シャンパンに期待するような重厚感や奥行きはないけれども、夏場にざくざく飲むにはこれで十分。お値段ぶんの仕事をしてくれた。
 

【1727】Golan Heights Winery "Hermon" Galilee-Galilaa 2015

 
ゴラン・ハイツ・ワイナリー ヘルモン
 ※リンク先は現行ヴィンテージです
 
 グラスにうつすと、ほんのり赤茶色の不透明度の高い赤ワイン。我が家ではカベルネソーヴィニヨン~メルロー系のワインを飲まないので割と珍しい感じのもの。で、香りは杉の入浴剤の匂いがバンバン感じられて、そこにピーマンとプラム、やっとその奥に果実の匂いが漂っている。香料や香水の匂いを思い出すニュアンスが強い。
 
 口に運んでみると、香りほどストイックではなく、包容力のあるほっこりとした飲み心地。酸味もあるはあるけれども、ミルキーな口当たりとキャラメルを思わせる甘味を伴っているので、そんなに飲みにくくない。ボルドーの同系ワインに比べると甘味が強く、抑制的というよりは享楽的。ワインのラベルに載っている魔法のランプのよく似合うワインでもある。別にボルドーのコピーである必要はないので、これはこれでいいんじゃないかと思う。
 
 ※翌日は、より肉付きの良い飲み心地になり、ちょっと肉系の風味さえ漂うような。ゴランハイツワイナリー、赤ワインも結構いけているのでは。おいしかった。
 

【1726】d.A. (Domaines Astruc) Pays d'Oc Chardonnay 2016

 
d.A. シャルドネ 2016 d.A.ワイナリー (ジャン クロード マス)
 
 今日の夕食はグラタンと豚肉スープ中心のもの。これは難しくないワインでいいだろうと思い、このフランス産のものをあけてみた。
 
 まず見た目。わりと普通の白ワインのレモン色っぽさ。で、やけに粘性率が高く、ワインのあしが長い。香りは、フルーツポンチのような甘い香りを漂わせつつも、意外に石灰岩の香りが漂っていて、キリッとしている。南仏産としてはあまりこういう趣向はみたことがない。
 
 口をつけると、たっぷりとした果実味!ただ、フルーツポンチ系の甘さに加えてグレープフルーツもかなり混じっているような、酸味のしっかりとした果実味。味の段階ではそれほど石灰岩系ミネラルは強くないけれども酸がしっかりしていてダレる気配は少ない。あまり冷やしきっていない状態で抜栓したので危ないかなと思いきや、温度に負けてダレることのない姿に感心した。南の地域のシャルドネ、というテンプレートからそれほど遠くないにせよ、そこのところでよくできたものを提供している。ちょっと気にしておこう。
 
 ※翌日も雰囲気はあまり変わらず、南のシャルドネとしてはバランスがとてもいい。このワイナリーは誰だろうと思ったら、ジャン・クロード・マスが手掛けていたわけか。なるほど納得。

【1725】Domaine Robert Chevillon Nuit-Saint-Georges Less Cailles 2009

 
ロベール・シュヴィヨン ニュイ・サン・ジョルジュ・プルミエ・クリュ・レ・カイユ
 ※リンク先はヴィンテージが異なります

 本格的に暑くなってくると、高いワインがだいたい飲みたくなくなる。でも、非常に珍しいことにいいワインと対峙したくなったので、ニュイ・サンジョルジュの一級を出してみた。
 
 グラスに入れてみると、かなり赤茶色がかったワインレッド。この品種にしては暗い色をしているけれども、そこはそれ、透明感はあるし赤茶色でちょっと弱そうな印象。香りは、梅系の酸っぱさと濃いチョコレートの匂いがもうもうと立ち込めていて、いかにもブルゴーニュのちょっといい赤ワインという雰囲気。
 
 口をつけると、うわっ酸っぱい!このワイン、もしかして悪くなっていたのでは。このボトルは、ブルゴーニュ本拠地・ボーヌの酒屋の店内に2ダースほど積み上げられていたものなので、ちょっと傷んでいたか?いや、しかしチョコレートの吹き上がりかたは異様な水準で、ココアをぶっこんだのかと疑うような感じ。舌触りもだんだん落ち着いて、ほっこりした雰囲気になってきて、総じて、ニュイ・サンジョルジュの赤ワインらしい姿をとってきた。ローソクやベーコンを思わせる雰囲気もある。おお、いいぞ!そうこうするうちに、苦みが加わり、滋養のある雰囲気が醸し出されてきた。加えて、森の精気あふれる凄みまで加わって下手な特級よりも根性のある展開に。当たりです。大当たり。でも、これは2009年のヴィンテージ修正がついているので、いつもこうなるとはちょっと思えない。
 
 ※翌日も森の精気は健在、でもって、チョコレートやベーコンといったこの地域らしい雰囲気も満点、ぜんぜん元気だった。2009年のヴィンテージにふさわしい逸品だった。
 

【1724】Sella e Mosca "Monteoro" Vermentino di Sardegna Superiore 2016

モンテオーロ・ヴェルメンティーノ・“ガッルーラ・スペリオーレ”[2016]年
 
 サルディニア島のワイナリー、セッラ&モスカのつくっているヴェルメンティーノ種はいつもお買い得な酸っぱいワイン。で、今回はその格上「スペリオーレ」に相当する品を買ってきた。以前にも飲んだことがあり、このときは好評だった様子。さてどうでしょう。暑い日だったので冷やし気味にしてのチャレンジ。
 
 グラスに注ぐと、白ワインとして標準的な、それこそシャルドネで言えば「ブルゴーニュの平格」の典型のような色合い。香りは、華やかな花畑系の香りと、ちょっとハーブっぽくもあるグリーン系の香り、それから石灰岩みたいなやつ。なかなかいい香りで、ブラインドで出されたら「ちょっといいヴィオニエ」種を疑ってしまうかも。
 
 口をつけると、酸味がゴワゴワとした、サルディニア島産のヴェルメンティーノ種の典型。この暑い季節にはたまらない、ちょっと炭酸水っぽさのある酸味で、そこにハーブっぽい苦みが乗っていておつまみが捗る感じ。「ワイン、特に白ワインの本態は酸」と言いたくなる一品だった。 
 
 ※翌日は、もう少し酸味がまろやかになり、ふっくらとしたワインのボディが前景に出るかたちとなった。こちらのほうがトータルバランスは優れていると思うけれど、初日のほうが好みではあった。ともあれ甲乙つけがたい。