北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【1763】Ca Rugate "Sam Michele" Soave Classico 2016

 
カ・ルガーテ サン・ミケーレ 2016
 
 暑い日に頑張って働いた後は涼しくなるようなワインが欲しい。そういう日にスッスッと飲めるワインを選ぶなら、ソアーヴェクラシコはひとつの選択肢だと思い、これをやってみることにした。前回、2014年産をいただいた時には、ソアーヴェクラシコにしては蜜やミネラルを強調したようなつくりで初日が美味かったとのことなので、初日に半分以上飲んでしまうつもりで。まあ、暑い日なので大丈夫でしょう。
 
 まず見た目。黄金色からは遠い、いかにも白っぽい白ワイン。世間の人がイメージする標準的な白ワインってこんな感じでしょう。香りは、わずかに花畑の甘い蜜っぽさがあるけれども、それより気になるのは緑色野菜系~ブロッコリーを煮たような、ほんわかとしたフレーバーソアーヴェクラシコ系(やアルザスのシルヴァネール系)に感じるようなやつ。こういうの、ブラインドでちゃんと当てられるんだろうか。
 
 口をつけると、アタックがものすごく柔らかい。その後に、八朔みたいな酸味と苦みは来るけれども、その味すら柔らかい口当たりにコーティングされているようなところがあり、ソアーヴェの面目躍如。前回のやつは、ソアーヴェ以外の白ワインの長所をくっつけたようなワインだったけど、2016年産はソアーヴェの柔らかさをとにかく磨き上げたような味わい。このジャンルにはピエロパンという偉大な先達がいるけれども、こいつはその路線にかなり近い。ひょっとして乳酸混ぜてごまかしているのかもだけど、とにかくこいつは口当たりがマイルドで、それもそれでソアーヴェらしい。美味い!やってくれましたね。ここも定期購入の対象にしようかとちょっと思った。
 
 ※二日目になると、やっぱり少し凡庸に寄った。初日の印象は2014と2016は違ったけれども、二日目の印象は割と近い。

【1762】Brown Brothers Cienna 2017

 
ブラウンブラザーズ シエナ
 
 このワインは、オーストラリア独自品種のシエナという赤ワインでつくられた、甘口の赤ワイン。アルコール度数は5.5%、甘口とあるのでコンセプトとしてはランブルスコに近い感じなのだろう。そういえば、ボトルの形もちょっとランブルスコに似ている。でも、違う品種・違う地域なので果たしてどんなものか。
 
 まず、グラスに注いでみると、やや青紫側に寄った色調。少なくともランブルスコそのものよりは青々とした色調をしている。香りは、あまりはっきりしない。ランブルスコにありがちなヨーグルト系のフレーバーもなし。
 
 口をつけてみると、かなり甘い。ファンタグレープに近い味で、ぶどうジュース、という感じがする。ランブルスコに比べるとあま「ったるい」ところがあり、酸味の質感に違いが感じられる。こいつは後味に酸味よりも甘味が尾をひく。しばらく飲むとヨーグルトっぽさも出てくるけれども、主となるほどではない。赤ワインに慣れていない人を喜ばせそうだけど、一般的なワインのコンセプトからはかなり遠い。甘口ワインがいける自分でも、後半はかなりきつかった。新世界ワインの、味のスカラー量がやたら強いところがここでは悪く出ていると感じた。ランブルスコの、飲み疲れない感じがこいつには無い。
 

【1761】Poivert Jacques Champagne Brut (N.V.)

 
シャンパン ブリュット ポワルヴェール ジャック)(ポルヴェール ジャック)
 
 このワインは、楽天市場ヴェリタスでしばしば売られている、やけに安いシャンパーニュ。ここの安いワインは、しばしば独自の卸さんを経由して入ってきているっぽいラベルが張られていて、これもそのひとつ。楽天のワインショップにはしばしばありがちなことだけど、ここも安く仕入れるルートか何かがあるんだろう。
 
 まず見た目。シャンパーニュとしてはかなりオレンジ色がかった、「ピノ・ノワールピノ・ムニエがいっぱい入っていそう」な雰囲気。いわゆるシャンパンゴールドではないけれども、こういう作風のシャンパンはあるので、とりあえずいいと思う。泡立ちはしっかりしていて、細かな泡がどんどん立ち上ってくる。香りは、焼きリンゴ系の匂いが前景で、これも、オレンジ色がかったシャンパーニュとしてはありそう。
 
 口をつけると、やはり、リンゴ系の味わいがメイン。ちょっと焼きリンゴっぽくもあり、ちょっとグレープフルーツめいた苦みを帯びてもいる。苦みと柑橘っぽさが相まって、それと色のせいもあるかもだけど、ロゼシャンパンっぽさもあるかもしれない。あと、少しばかり金属っぽい感触を伴っていて、このあたりはカヴァにも似ている。
 
 色も含めて、世間で期待されるシャンパーニュのゴールドスタンダードからはちょっとズレた感じながら、激安タイプのシャンパーニュとしては、これはこれでアリなんじゃないかなぁ、という感じの一品だった。

【1760】Jermann Cosi Sia 2011

 
イエルマン コジ シア
 
 このワインは、イタリアはフリウリ-ヴェネツィア-ジューリア州の定番メーカー、イエルマンが作っている土着品種系ワイン。このワインは最近まで日本国内に入っていなかったもので今回が初対峙。このメーカーのワインとしては上位ラインナップなので、お手並み拝見。
 
 グラスに注ぐと、わずかに緑色の入った、かなり黄色っぽい色。まるでどこかのシャルドネみたい。香りも、少なくとも初手ではまるでシャルドネのよう。我が家でよく飲むヤルデンのシャルドネから石灰岩風味を抜いたのような、カスタードがかった甘さと少し南方っぽいフルーツポンチめいた甘さを伴ったはちみつ系の匂いがこみあげてくる。
 
 口に含むと、なんとも甘くて、カスタードプリンのような甘さに白ワインの酸味や果実味が伴うような。このイエルマンの作でいえば、トラミネール・アロマティコが近いか。口のなかに含むと、どこまでもカスタードが追いかけてきて、そこに夕張メロンのような甘くてうるおいのあるニュアンスが伴う。このワインの甘さはかなりのもので、ソーテルヌやハンガリーのトカイほどではないけれども、はっきり甘く、液面もとろみが強い。そのくせ、白ワインにあってしかるべき酸やミネラルは一人前に持っていて、そうした甘味とフルーツっぽさがかなり長く後をひく。
 
 このワインは、土着品種・フリウラーノを主体につくられているらしいけれど、フリウラーノがこんなに甘めにつくられるとは想像していなかった。てっきりトラミネール・アロマティコ主体だと思いきや。こういうワインは個人的には結構好きだけど世間にはあまり売られておらず、はやってもいない。もうちょっと低価格帯に、こういう筋がいろいろ揃っていたら嬉しいのだけど。
 
 ※二日目。リッチなシャルドネのような豊満さとさっぱりした感覚、クッキーや蜂蜜に、やはりカスタードプリンや夕張メロンが伴って、とにかくこってりとリッチな甘口。本領を発揮しているのは二日目。ここまできてようやく、価格にみあったワインであることがわかってきた。また買うかと言われると躊躇するけど、いいワインなのは間違いない。
 

【1759】まるき葡萄酒造株式会社 まるきRouge (N.V.)

 
まるき葡萄酒 まるきルージュ
 
 このワインは、ふとしたことからいただいた日本製のワイン。ノンヴィンテージでスクリューキャップ、ということは日本ワインのあまり良くない側面が全面に出ているのかも、とちょっと心配しつつ抜栓。
 
 まず見た目。普通の赤ワイン色、ちょっと黒っぽいボジョレのような色をしている。透明感もあり、そこそこ粘りもある。で、香りは、すごく明るい感じのストロベリーな香りがパーッとこみあげてくる。黄色系ベリーのジャムってこんな感じだろうか。ほっこりとした雰囲気のフレーバーを伴うところはボジョレーっぽい。そういうのに寄せているんだろうか。
 
 味も、パッと明るいストロベリー系。ワインの味をストロベリーに例えることは多いけれども、こいつは抜きん出て明るくフレッシュな路線、わかりやすい。ボジョレーの明るくチープな果実味を、いっそう明るくわかりやすくしたような。とても飲みやすく、ワインを呑み慣れない人をターゲットにしているようにみえる。タンニンやコクはあまり感じられずスイスイ入る。で、日本ワインの安物にありがちな「和風麹系の風味」は感じられない。うんうん、これは悪くないぞ、正統な美味さを追求したワインではないけれども、これはこれで目的を追求したワインとして理解できるものではある。
 
 後で調べたところ、このワインはマスカットベリーAでつくられているとのこと。それにしては、あの品種にありがちな変な獣くささが感じられず、スムーズで明るいワインに仕上がっていたと思う。こんなにクリアに仕上がるものなのか。
 
 ※二日目。なんとなく前日より色が濃くなったような?それと、少しばかりコクが出た感じが。ただし、初日の異様に明るい旨味はいくらか衰えた。初日のほうが個性的、二日目のほうがワインらしい雰囲気。
 

【1758】Galilee Galilaa Golan Heights Winery "Yarden" Chardonnay 2016

 
ヤルデン シャルドネ 2016 750ml ゴラン ハイツ ワイナリー
 
 このワインは、我が家の定番と化しているゴランハイツワイナリーのシャルドネ、そのベーシック版。最近、楽天ショップでもじりじりと値上がりしつつあって、嬉しいよりもちょっと悲しい。でも、これだけおいしいんじゃしようがないという気はする。
 
 まず抜栓すると、いつも以上に石灰岩の匂いが広がって驚いた。こんなに石灰岩していたっけ? そのあとに来るのは蜂蜜と水あめ。すごく甘そうな匂いがする。ちなみにグラスに注いだ見た目はとにかく黄金色。わかりやすい旨そうな白ワイン、といった雰囲気。
 
 口をつけてみると、もう、果実爆弾といわんばかりの豊かな果実味。わかりやすい甘味と適度な酸味。このワイン、やはりわかりやすい。すがすがしさと石灰岩っぽいミネラルがあるので、高級ワインの芯の強さほどではないにせよ、それなりサマになっているし、バターの香りや香料系の香りまで伴うのもうれしい。傑出した高級ワインに比べるとかなわないところはそれなりあるし、一部の熟成ブルゴーニュ白ワインや高級カリフォルニアワインが身に付けているような、桐箱のような風味はこのワインには欠如しているけれども、総体としてはコストパフォーマンスの良いワイン。ガンダムシリーズに例えるなら、ジェガンのようなワインだ。ありがたい限り。
 
 ※翌日は、もう少し酸味が強まってこちらのほうが一般的シャルドネとしてバランス良いように思った。こってりしているのは初日のほうなので、人によって評価は分かれそう。