北極の葡萄園

呑んだワインをひたすら記録しています。

【1861】Joseph Drouhin Bourgogne Pinot Noir 2017

  
ジョセフ・ドルーアン ブルゴーニュ ピノ・ノワール
 
 聞くところによれば、2017年と2018年のブルゴーニュは久しぶりの豊作だとか。ただ、豊作だからって旨いとまでは限らないのがこの世界。それを占ううえで、この平格ブルゴーニュをやってみるのは興味のあるところ。
 
 まず見た目。随分と明るい赤ワイン色をしていて、オーストラリアあたりのロゼをもうちょっと濃くしたらこんな色になるんじゃないか、というような。
 
 香りは、革っぽさをいくらか伴いつつも、テリテリとした照りのあるサクランボ風味。いくらか革っぽさを帯びているせいか、サクランボ風味が迫力のあるお菓子のような風采になっている。サクランボを詰め込んだパイのように思えることもあれば、少し森の下草っぽさを帯びているためか和菓子みたいな雰囲気に感じられることもある。
 
 口に運んでみれば、今度はサクランボだ!これは山形県などの高級サクランボでも、アメリカンチェリーでもなく、もうちょっと普通のサクランボに近い、少し青々としたところを残した、それでいてキュートなサクランボをイメージさせるところがある。酸味はそれほど厳しくなく、ブルゴーニュ赤とはいえ渋みもたいへん穏やかで付き合いやすい。これはすごく良い平格ブルゴーニュ。凄みはないけれども軽くて楽しいところで全部まとまっている。いいですね、とてもいい。
 
 ※翌日は、初日よりも酸味がやや強く感じられる。こちらのほうが食事に合いそうだけど、初日のほうが単体ではバランスが良かったと思う。あまりワインを飲みなれていない人にうけそうなのは初日。
 

【1860】Cono Sur Bicicleta Reserva Cabernet Saubignon 2017

 
コノスル カベルネソーヴィニヨン ビシクレタ
 ※リンク先は、ひょっとしたら「リゼルヴァ」の表記が欠けたものかもしれません。
 
 このコノスルのカベルネソーヴィニオン、一番安い「ビシクレタ」のはずなのに「リゼルヴァ」という表記を伴っている。確か、数年前まではリゼルヴァは格上だったはず。かわりに、実際にはコノスルの上位バージョンの名前は最近「リゼルヴァ エスペシアル」を名乗っていたので、それが十分に浸透したとみて一番安いクラスにもリゼルヴァの名前をつけるようになったのだろう。でも、まあ中身は一番安物という前提で。
 
 まず見た目。まあ暗めの赤ワインではあるけれども、真っ黒というほどのものではない。香りは、煮豆にマジックインキのインクをどっぷり注ぎ込んだようなすごいインク臭、あとは杉の入浴剤たっぷり。すんごくきっつい匂いの奥から、おずおずとチョコレートが来るような気配。
 
 口をつけると、インクと墨汁にくわえて、どこか抑制のきいた、カベルネらしさがある。ただ、果実味はやはり非常に太くて糖度もたぶん高いんじゃないかというおしの強さがある。渋みはそれほど烈しくはないけれど、まあとにかく満腹になりそう。一度にたくさんは飲めないし、飲むべきでもないのだろう。
 

【1859】Domaine Michel Guillard Gevrey Chambertin Vieilles Vignes La Platiere 2012

 
ミッシェル・ギーヤール ジュヴレ・シャンベルタン ヴィエーユ・ヴィーニュ ラ・プラティエール [2012]
 
 まず見た目。ピノ・ノワールとしてもやや早飲みっぽいというか、少し青紫色がかったところがあってあまり濃くないようにみえる。香りは、ややくぐもってはいるけれどもドスの利いた、低音がじーっと聞こえてくるような香り。このあたり、同じブルゴーニュでもひいきにしているヴォルネとはぜんぜん対照的。ヴォルネのかぐわしさはソプラノ的だけど、こいつはテナー~バスといった雰囲気。派手ではないけれど、重たさがある。重たい匂いだ。
 
 口に運んでみると、ビターがほんのり、黒系果実の甘味もほんのり、でもって、重くはないんだけど重心が据わっていて飲みごたえのある口当たり。ボルドー系の落ち着いたたたずまいに意外に近いところがあり、香りでアガってくるのでなく、重心が低めの落ち着いたテイストでじっくり飲ませるところがある。うむむ、こういうのはヴォルネのワインとは明らかに趣が違っているし、平格のブルゴーニュ赤ワインにもあまり無い感じだ。クロード・デュガあたりの(やや高級な)平格ブルゴーニュ赤ともちょっと趣が違う。重心の重い、飲みごたえ抜群のワインだ。でもって、少しずつ黒系果実がじりじり増して、それに応じてかタンニンもスケールアップしていく。なんだこれ、村名格のジュヴレ・シャンベルタンでこれだけパワーがあるとは驚きだ。ジュヴレ・シャンベルタンの村名格はほとんどスルーしていたけれど、こういうの飲むとちょっと考えてしまう。
 
 念のため、ジュヴレ・シャンベルタンの地図でこの「La Platiere」を確認すると、国道の東側エリア、特級や一級の畑からは遠く隔たった「あまり評判の良くないエリア」でつくられていることがわかる(でもって、関連情報をちゃんと公開しているウメムラさんは偉いと思う)。へえ、「あまり評判の良くないエリア」でもここまでの仕上がりになるだなんて。こういうタイプのピノ・ノワールはあんまりよその地域に無さそうので、代替可能性が乏しそうでもある。ちょっと見直した。
 

【1858】Alpha Zeta Garganega Verona 2017

 
アルファ・ゼータ ガルガネガ
 
 このワインは、イタリア北東部ヴェネト州で安いワインをつくっているアルファ・ゼータの単独品種ガルガネガで仕立てたワイン。ガルガネガとは、本来ソアーヴェ(・クラシコ)系のワインの主力品種として用いるものだけど、こいつはブレンドが一切なくて、しかも産地がソアーヴェではなくヴェローナとある。正直、ここのソアーヴェはややかったるく、名門がつくるソアーヴェクラシコに見劣りすると感じていたけれど、以前に飲んだガルガネガのやつはイイ線行っていたと思うのでちょっと期待して抜栓。事前に冷やしていただくことにした。
 
 まずグラスに注いでみると、僅かに緑色がかった薄い白ワイン色。このあたりは、ソアーヴェ系らしい外観だ。抜栓した時から、あたりにはほんわりと温野菜系と、ザボンみたいな柔らか系柑橘の香りが漂う。
 
 口に運ぶと、ソフトな口当たりにほんわりと包容力のある曖昧な味覚。まさにソアーヴェ系の白ワインに期待したくなる(そして他の白ワインにはほとんど期待しない、例外があるとしたらアルザスのシルヴァネールか)後味の淡い感じがいい。ミネラルが意外にあって、ちょっと石灰岩寄りではあるけれども飲み応えの一部を形成しているザボンっぽい酸味がちょっと感じられる。ピエロパンの指標ソアーヴェクラシコに比べると、ミネラルも含め、くっきりとしているところがいくらかあるけれども、とはいえソアーヴェ系の良さはしっかり継承されていて、このメーカーのソアーヴェよりもはっきり飲み応えがある。アルファ・ゼータの白ワインでは、これがおすすめ。

【1857】Grati Chianti 2015

 
グラーティ キアンティ
 
 このワインは、お値段が控えめだけど比較的おいしいキアンティ・ルフィーナを作っているグラーティのベーシック品。ベーシック品なので、適当に飲めるワインでしょう。 
 
 見た目は赤茶色のちょっと薄いワイン。香りは、まさにイタリアっぽい軟膏っぽい香りがぷーんとする。ときどきこのワインブログでは「イタリアっぽい軟膏」という表現を使っているけれども、本当のキアンティにはやっぱり敵うものはない。本当に、軟膏みたいな匂いがする。それとザクロ。
 
 口に運ぶと、ああ、これがサンジョベーゼ本来の風味!といわんばかりの典型的な味がする。膏薬っぽい香りに加えて、コクのある味わい、でもってキアンティ・クラシコではないキアンティらしい、ちょっとあっさりとした、後味のすっきりとした味わい。タンニンは一応あるけれども、その点を除けば後腐れのない、ざくざくと飲めるワイン。全く凄みはないけれども、食事の友としては十分だし、イタリアはトスカーナのワインという風情もある。いいんじゃないでしょうか。
 
 ※二日目。ちょっと森の下草っぽくなって、良い意味で少し時間が経ったワインの雰囲気。膏薬っぽさは健在、食欲が高まる。やはり、デイリーワインとしては十分な出来栄え。評価できる。
 

【1856】Juan Gil Moscatel Seco 2017

 
Juan Gil Moscatel Seco
 
 このワインはスペイン産の見たことも聞いたこともないメーカーのもの。品種はモスカテル(辛口)となっているのでフランスでいうミュスカデなんだろうか?ともあれ、飲んでみよう。
 
 まず見た目。薄い!少し緑色がかっていて、辛口のミュスカデ系としては矛盾しない外観。香りは……意外にもイタリア産のモスカート(甘口)に近い。すんごく甘そうなお菓子の匂い。ただし、イタリア産のモスカートにありがちな生姜っぽさはここには無く、かわりに生食マスカットっぽい甘い酸っぱさが潜んでいそう。
 
 口に運ぶと、ううむ、マスカットを辛口仕立てにしたような感じながら、わずかに生臭いかも。これは、もっと冷やして飲んだほうが良いのかもしれない。涼やかな飲み心地でミュスカデ系らしさはあるけれども、まあ、良くも悪くもミュスカデとはこういうもので、価格を考えるとちょっと物足りなくはある。こういったワインなら、もっと低価格で手に入るものではある。
 
 ※二日目。なんかシャルドネに少し寄ったような。すいすいと飲めるし、生臭さはもうない。涼しい飲み口は健在。二日目のほうがいいと思った。